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扉を開けると頭にツノを二本生やし、山田の身体の三倍はありそうな体躯、そして右手に斧を構えた魔物がいた。


「よかった。今回は普通のボスみたいだね。でもグランドミノタウロスか」

「丁度いいですね。前回のリベンジと行きましょう」


基本的にコイツとソロで出会ったら迷わず逃げろが鉄則だが、今この場には僕がいる。

麗奈がどこまで強くなったか、試すにはいい機会と言えるだろう。ここでコイツを倒せるか、否かでSランクの素質があるかどうかが決まる。


「行きます!!」


麗奈は掛け声と共に足元を蹴り上げ、ミノタウロスの背後へと間合いを詰める。


魔物と戦う際のセオリーとしては背後を取るのは常識だ。しかし、A級以降のボスの場合それが悪手となる場合もある。


「ブオオオオオオオオ!!!」

「……っ!?来ましたね威圧。前回はこれで怯んで動けなくなりましたが、今の私は前とは違います!」


麗奈はミノタウロスの威嚇に怯むことなく、何十条もの刺突を繰り出す。


麗奈の剣技は綺麗だな。前回も見たけど的確に急所を狙いに行ってる。しかし、火力が足りないな。


ミノタウロスは麗奈の急所を狙う刺突を上手く躱しながら、反撃を繰り出す。


今の所、五分五分って感じだな……


「やはり火力が足りませんか……ですがこれならどうです?」


麗奈の細剣の周りに光の粒子が集まりだし、剣先へと灯る。


「はぁぁぁぁあ!光技・牙突(こうぎ がとつ)


麗奈が繰り出した剣技は見事にミノタウロスの胸に風穴を開けた。


「はぁ。はぁ。まだ立ちますか……」


ミノタウロスは更に雄叫びを上げ、憤怒した。

そのまま頭を下げ、一直線に麗奈の目掛けて突進し、麗奈の身体を壁へと吹き飛ばし、同時に細剣をも破壊した。


「かはっ……」

「……っ!?麗奈!!」


山田が麗奈に駆け寄ろうとするが、手をこちらに向け来るなと阻まれてしまう。


「……まだ、やれます」

「くっ……。仕方ない、受け取れ」


山田は異空間から、細剣を取り出し、麗奈へと投げつけた。

麗奈はそれを上手に受け取ると、目を輝かせ、胸に持っていき抱きしめた。


「綺麗……。ありがとうございます」


鞘から抜刀し構えを取る。


「これが、最後、です。私は、お前を超える!!」


麗奈は足元を蹴ると同時に違和感を覚えた。


「なに、これ……力が漲る──」


その刹那──麗奈の何十いや、何百と言ってもいいだろう刺突がミノタウロスの命を刈り取った。


「や、りまし、た……」


ミノタウロスが魔石となると同時に、麗奈は意識を手放し、山田は、麗奈が倒れる前に、縮地で移動、そのまま抱き抱えた。



「おっと。よく頑張ったな。麗奈」



♦︎♦︎♦︎




「……っ!?いったぁぁ……ここ、私の部屋?」


目を覚まし辺りを見渡すと、そこは見慣れた光景だった。


「おはようございます。お嬢様。お身体の方は如何でしょうか?」

「おはよう。まだ身体中痛いけれど、傷が見当たらないわね?」

「そうですか。ご無事で何よりです」


ミノタウロスを倒した辺りまでは覚えているのだけれど、その後の記憶がない。


「……っ!?私の剣は!?」

「そんなに焦らなくても、こちらにございますよ」


はぁ。良かった……。これだけは無くせない。

奏くんからの初めてのプレゼント……ん?これは貸してくれたの?どっち!?


「そう言えば奏くんは!?」

「お嬢様、感情が大忙しですね。山田様が運んで来てくれましたよ。血塗れのお嬢様を見た時は屋敷中が大混乱でしたが」

「そっか。奏くんが……」


麗奈はメイドから細剣を受け取ると、それを大切そうに胸に抱えた。


「あ、それと、山田様から伝言が」

「……っ!?なんですの!?」

「…………お前はしばらく外出禁止!!だそうです」

「そ、奏くんのばかぁぁぁぁあ!!!」


でも、私リベンジできたんだ……全部奏くんのおかげ。

恩を返すとか言っといて、また増えちゃった。返す宛もないのに、増える一方ですね。


ふふ。まったくなぜでしょう。この細剣を見てると胸がほわほわする。

この細剣のせいですかね?白を基調にしてあって所々金色の模様がついていて、とても綺麗。


「こほん。お嬢様。伝言はお伝えしましたので、私は失礼致します」

「あ、うん。ありがとね」


奏くん今頃なにしてるんでしょうか……。



♦︎♦︎♦︎



麗奈が目を覚ます少し前─


「はぁ。めんどくさっ。転移」


山田は、麗奈を屋敷に無事送り届け、再度先程のA級ポーターの最深部へと足を運んでいた。


「やぁ、お待たせしたかな?」

『お、本当に戻ってきやがった』

「ちゃんと戻ってくるって言ったじゃん。せっかく彼女を見逃してくれたんだ、僕だって約束を破る訳にはいかないからね」


麗奈が意識を手放した後、コイツは現れた。元からそこに居たかのように。


狙いは麗奈だったみたいだけど、僕のが強いよと話したらすんなり納得してくれた。


「それで?君はなんで麗奈を狙うのかな?」

『あ?俺はよく分からねぇが、あれに会いてぇ奴が居てな。俺はそれの橋渡し役ってわけ』

「なるほど。ちなみにその人のお名前は教えてくれたりするのかな?」

『そうだな。俺に勝てたら教えてやるよ』


そう言った瞬間、目の前からソイツは消えた。

一瞬で山田の背後へと移動。そして首元に短剣を突き刺し──


『なっ!?まさかコイツを止められる奴がいるとは……しかも素手だとぉ?てめぇ、何者だぁ??』

「結構速いんですね!僕ですか?山田ですよ?そう言えばあなたの名前も聞いてませんでしたね!支障がなければ聞いても?」

『はっ!山田だぁ?山田……山田……て、てめぇもしかしてあの山田 奏か!!』

「あの?あの山田かはわかりませんが、山田です」


なんでこの人ぷるぷるしてるんだろう?


『は、はは。こりゃ拾いもんだぜ!俺は李 子軒(リー ジューシェン)。ランキングは七位。てめえを倒して俺様が一位を貰うぜぇ!!』


そして、李は先程よりも速く動き、山田へと無数の斬撃を繰り出した。


「あぁ。通りで、なんで中国語なのかと思えばそちらの方だったんですね」


山田は李の無数の斬撃を気にも止めず、両手で捌いていく。


『ち……。なんでコイツこんな余裕そうなんだ。クソったれ。全然攻撃が当たらねぇ』

「あのぉ。そろそろ反撃してもいいですよね?」


なんか疲れたし、もう帰りたいんだよね。

この人殺す気で来てるみたいだし、ある程度は仕方ないよね。うん。


山田はそう言うと、異空間から刀を取り出し、そのまま軽く李へと刀を横に振るった。しかし、それだけだ。彼からすればただ刀を降っただけ。


李は短剣でガードをするが、勢いを殺しきれず、身体を仰け反らせた。


『ぐっ!?』

「あれ?意外と弱いんですね……ちょっと残念です。そろそろ帰って寝たいので、少し痛いかもですが我慢して下さいね」

『くそが!!舐めやがってクソガキがぁぁあ』


李が山田に向かって突っ込んで来た所で、短剣を弾き、そのまま逆袈裟斬り、そして李の真後ろに転移し肺の辺りを突き刺した。


『かはッ……く、そ……』

「んーちょっとやり過ぎたかな?まぁ頑丈そうだし、大丈夫かな?それじゃ」


あー疲れたぁ。さっさと帰ろう……あっ!!狙ってる奴の名前聞くの忘れてたァ……


まぁ次会った時にでも聞けばいいか。帰ろ帰ろっと。




♦︎♦︎♦︎



山田が居なくなり、少し経った頃、一人の女がコツコツとヒールの音を響かせながら李に近づき言った。


「あらあら。派手にやられちゃって。可哀想に。ふふ。」

『……て…め……さ……さと…』

「ふふ、回復してほしいのかしら?肺を刺されて上手く話せないのね?でもダメよ。貴方はここでおしまい。それじゃさよなら」


胸の辺りからおびただしい量の血を流す李に対して、それだけ言うと、女は指をパチンと弾いた。


『ま……て……』


指を弾くと同時に李の身体は炎に包まれていき、激しく燃え上がった。



「まぁ収穫もあったことだし、良しとしましょう。まさかあの時の邪魔な男が山田 奏だったなんてね。ふふふ。まだまだ楽しめそうね」






ここまで読んで頂きありがとうございます!

誤字脱字など御座いましたらコメント下さい。


「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです

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