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山田は御堂家の華やかな客間へと案内されていた。
広々とした部屋には、壁際に棚が置いてあり、トロフィーや賞状。華美な調度品などで彩られ、真ん中には柔らかなソファとガラスのテーブルが配置されていた。
「飲み物は紅茶でいいかしら?」
「あ、いえ、お気遣いなく」
ソファーに座るように促され、御堂家のメイドさんに紅茶を入れて貰う……どーしてこーなった??
時は少し遡るが、入口付近で御堂さんに捕まり、一度学校に帰ったまではいい。
問題はそのあと。僕の知らない間に早退の手続きをさせられ、御堂家の車に拉致……コホン。乗せらせ、気が付けば今に至る。
「えっと、御堂さん。僕はなぜ連れてこられたのでしょうか?」
「そうですね……まぁ色々聞きたい事があります」
「で、ですよね……それで、なにを話せば」
しかし、御堂はそれ以上口を開こうとせず、ただひたすらにメイドが紅茶を注ぐのを、静かに目を瞑り待っていた。
「どうぞ、お嬢様。山田様もどうぞ。ミルクなど必要でしたらお持ち致しますが?」
「い、いえ。大丈夫です」
「そうですか。それでは失礼致します」
メイドが退出し、扉が閉まるのを確認すると、紅茶に口をつけ一口飲み干すと、御堂がやっと口を開いた。
「あなたは何者なんですか?」
「え?普通の高校生二年生だけど?」
「普通の高校二年生は、ランキングで一位になれません」
「そ、それはなんか気付いたらなってたー。的な?は、はは」
御堂はやれやれといった感じで溜息を吐いた。
「わかりました。詮索はしません。そのかわり」
「そのかわり??」
御堂は再度、紅茶に口をつけると、山田と目を合わせ、屈託のない笑みを浮かべ言った。
「私を世界ランキングに載せてください」
「ごめんなさい」
山田は間髪入れずに謝り、そして土下座をした。
「そ、それはどのような意味でしょうか?」
今顔を上げたらヤバい。これは多分怒っている……
今こそ頭をフル回転させる時だぞ、山田!!
「み、御堂さんの実力だとむ─」
山田が言葉をいい終える前に御堂の持っていたマグカップがパキンっと音を鳴らした。
「誠心誠意頑張ります……」
「よかったです!断られたらどう監禁……お願いしたらいいかと思いました」
「は、ははは」
今監禁って言った!?完全に言い切ってたよね?
言い直してるけど、言い切ってましたからねぇ!!
「それではこれから師匠……いえ、奏くんとお呼びしようかしら」
「いや、今まで通り普通に山田くんでいいんだけど……」
「では奏くん。これからよろしくお願いしますね」
「……はい」
御堂さん、油断ならない人だ……
そもそもなんでランキングに載りたいんだろう?
「あ、それと、私の事は麗奈と」
「え、では麗奈さ─」
「敬称は不要です」
「……はい」
そんな話をしていると山田のスマホが音を鳴らした。
『本部集合。十分以内。遅れたら……』
紗友希さん……僕本来ならまだ学校なんですが、とゆうか文面が怖いんですが。
「どうかされました?」
「あーちょっと呼び出されたから行ってくるよ」
山田はご馳走様。と紅茶を飲み干し、席を立つと扉に向かった。
「あの?どうして着いてくるの?」
「え?私も行きますから」
「なんで!?」
「奏くんの行く所に弟子が着いて行かない訳にはいきません」
そうなの?世の中の師弟関係ってそうゆうもんなの!?
「い、いや危険な依頼かも知れないから麗奈はここに居て」
♦︎♦︎♦︎
「それで?ここに来るまでに二十分も掛かった理由を聞きましょうか?」
「ちょっと色々ありまして……」
「そんな言い訳が私に通じると?そして、さっきから奏くんの後ろに居るその女は誰!?」
「……えーとですね」
結局その後、連れて行け、行かないと押し問答があり、根負けした山田は麗奈も一緒に連れて来たのだった。
「初めまして、御堂 麗奈と申します。奏くんとは……ただならぬ関係と言いますかなんと言いますか」
「ただならぬ関係!?ちょっと奏くん!!どうゆう事よ!いつの間に彼女なんて作ったのよ!!」
「ち、違いますから!彼女とかじゃないです、ただの弟子ですから、揺らさないで下さい」
そんなこんなで誤解を解くまでに三十分程かかった。
「それで?身バレしたから弟子にして口止めをしたと?」
「まぁ、簡単に言ってしまえばそうなりますね」
「奏くんって意外と抜けてるのよねぇ。しっかりと認識阻害だけはするのに、制服着てる所とか。普通気付かない?」
紗友希は溜息を吐くと、話を続けた。
「まぁいいわ、それで呼び出した件なんだけど、奏くんが遭遇したのはキングガルグで間違いないのよね?」
「そうですね、あれは間違いなくキング種でしたね」
「そぅ……ポーターの突然変異。そして、等級に見合わないボス。こっちで色々調べてる途中ではあるんだけど、恐らくは人為的な問題なのよね」
「っ!?誰かが意図的にポーターを変異させ、ボスを進化させてると!?」
「そうなるわ」
果たしてそんな事が可能なのか?
そもそもなんの目的があってそんな事をする?
「そこで調査に上がったのが御堂 麗奈。彼女よ」
「わ、私ですか!?」
蚊帳の外だと思いロクに話を聞いて居なかった麗奈が、突然自分の名前が出てきた事で驚きの感情を出す。
「ええ、奏くんから報告して貰った情報で、唯一共通点があるのは御堂 麗奈だけなのよ」
「麗奈が居るポーターでだけ異常が起こる?しかし何故?」
「そこはまだ調査中よ。あくまで関係があるかもしれないってだけだから、あまり気にしないでもいいわ」
確かに麗奈が居るポーターで異常が起こっているのは間違いない。でもそれを言えば僕だって同じではないか?
あくまでたまたま居合わせただけなのか、誰かが麗奈。あるいは僕を殺そうとしている……?
いや、これは考えすぎか。
「まぁそうゆう事だから、詳しくわかったらまた連絡いれるわね」
「わかりました。僕の方でも少し警戒しておきますね」
「それと……くれぐれも距離感を間違えないように!麗奈ちゃん、あなたもよ!わかった?」
麗奈は相変わらずそっぽ向いてるし、紗友希さんはガミガミうるさいし、僕の平凡ないなった。
♦︎♦︎♦︎
一方その頃
S級ポーター最深部では、白いTシャツを着た長髪の男と絹のようなブロンドヘアーの女が対峙していた。
少しニヤケ面で男は声を掛けた
『よぉ、順調か?』
「えぇ、一応計画通りよ。少し邪魔は入ったけれど」
『わざわざこの俺様が出張って来てやってんだ。失敗するんじゃねぇぞ』
「あら、そんな事言って、あなた日本大好きじゃない?」
『っは!まぁその通りだ、中国の女は抱き飽きちまってな』
そう言うと男はゲラゲラと笑い、その姿に女は顔を顰めた。
はぁ。相変わらず下品な男ね……なんでこんなのがランキングにいるのかしら?
まぁいいわ。私の為に踊って貰おうかしら。
ふふ、あと少し。もう少し待っててね。やっとあなたに会える。
…………麗奈ちゃん。
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