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D級ポーターなんていつぶりだ?かなり久しぶりな気がする。
本当なら一人で楽しみたい所だけど、今回はそうはいかない──
「さて、じゃあ山田くん。私たちも行きましょうか?」
「そ、そうだね御堂さん」
怖ーいお姉さんが目を光らせているからね……
こうなれば、徹底的に弱さをアピール!本気で弱い振りをする。これが今日の目標。
たしか、D級ポーターの魔物はガルグ。大体がこれ、犬系の魔物。
見た目に騙されがちだが、割とすばしっこいし、そこそこ攻撃力もある。油断はできない魔物だ。
「さっそく現れましたね。では最初は私が」
そう言うと御堂は、腰にぶら下げていた細剣を構え、ガルグへと間合いを詰め、何十条もの刺突を繰り出した。
いや、それオーバーキル……
ガルグよ安らかに眠ってくれたまえ。アーメン
山田はその場でガルグへと手を合わせた。
「なにしてるんですか?次は山田くんの番ですよ」
「あ、はい……御堂さんはスキルとか使わないの?」
御堂は首をこてんと傾げた
「使う必要性がありましたか?」
「な、なかった…かな?はは」
さて、どうしたものか……御堂さんの前だし、異空間スキルは使えないから、一応ロングソード持ってきたけど。
「じゃあ行ってきます」
山田は地面を軽く蹴り上げゆっくりと走り出しロングソードを構えた。
ガルグが威嚇をしながら飛び掛ってく来るのを待ち、襲ってきた所で同時に倒れ込み、あたかも偶然を装ってガルグの心臓へとロングソードを突き刺す。
あれ?今の完璧じゃない?
「な、なんとか倒せました……」
「じーーー」
「御堂さん凄い顔してますよ……」
「っ……!?コホン。では進みましょうか」
もう少し上手くやらないとダメかなぁ……?なんか僕を見る目が、ちょっとアレだったし。
山田は麗奈と交互にガルグを倒していき、何体か倒した所で、教師から声が掛かった。
「はーい!それでは皆さん集まってください」
その一声により、バラけてた生徒達は入口付近へと集まった。
「今日は、この辺りで終わりにしたいと思います。皆さんポーターに触れて帰還して下さい」
教師の指示により、続々とポーターに触れていく中、山田はその場で背伸びをし、なんとか乗り切れた事を安堵した。
ふぅ。やっと終わったー!!
よくやった山田!偉いぞ山田!やれば出来る子!
「先生ー、なんか帰還できないんですけどー?」
うんうん。帰還できないかぁ……は!?帰還できないだと!?
「そんなハズないじゃない。ちゃんと触れた?」
生徒と先生が何度か入口に触れるが、変わらず起動しない。
その光景を見る山田の額から、汗が滲み始めると同時に御堂が呟いた。
「まさか……変異ポーター」
変異ポーター。滅多に起きることはないが、ごく稀に起こる。
外から入ることは可能、だが、中から出ることは出来ない。誰かが、このポーターの最下層に居る、ボスを倒さないと出られない。
そして、変異したポーターは決まってA級以上になり、出現する魔物もA級へと変わる。
これに例外はない。E級だろうがB級だろうが、変異が起きれば決まってA級ポーター以上へと格上げされる。
クソったれ!なんでこんな時に!!
山田は急いでスマホを取り出し、紗友希にメッセージを送った。
『D級ポーター。変異。救助申請』
とりあえず、あとは時間を稼げば助けが来るはず。
まずはここがA級かS級、どちらなのかが問題だ。
「せ、先生!!変異ポーターです!!急いで今救助申請を」
御堂が先生に詰め寄った
「そんなまさか……そうなると、ここはA級ポーター?い、今すぐ出し─」
「申請は僕がしたので大丈夫です。それより今すぐ隠れられる場所を探してください。魔物に囲まれたら終わりです」
山田のセリフを聞いて、教師は顔を青くし、すぐさま行動に移し始めた。
よし、大丈夫そうだな。
僕は……確認と、ボスの処理に行きたいんだけど、御堂さんがなぁ。
しかし、そんな事を考えてる間に、魔物の気配は徐々に増えていき、少しの時間さえも命取りになる。
だめだ!考えてる暇はない。
「御堂さん。僕は行く」
「え!?待って下さい、私も─」
「ダメだ!君はここに居ろ」
御堂は悔しそうに唇を噛み締めた。
「私だって役に立てます!」
「昨日の事を思い出しても、同じセリフを言えるのか?ここはA級ポーターだぞ?下手すりゃS級だ」
冷たいようだが、守りながら進んでるほど、時間に余裕は無い。納得してくれると助かるんだが……
「……そう、ですね。わかりました。私はここで皆さんを守ります。あとはお願いします」
山田は、その場で頷くと、異空間から刀を取り出し、その場を蹴り上げ魔物を一掃して行った。
「しばらくの間、ここは大丈夫か。元はD級ポーターだから最階層は十のはず……一気に降りるか」
一層、二層と数分掛けて降りていく。
「魔物の強さからしてここはA級で間違いなさそうだな。S級だとさすがにこうはいかない」
ボス部屋までたどり着き、山田はゆっくりと扉を開けた。
「はぁ。やっぱりキング種かよ……S級のボスじゃん。最近のポーターは異常ばかりだな」
基本的な構成としてはE級が無印、D級がホフ、C級がエリート、B級がジェネラル、A級がグランド、S級がキング、そしてSS級が帝となっている。
そして、今、山田の目の前に居るのはS級ボス。
A級ポーターへと変異したはずなのにボスはS級。この間同様異例の事態である。
相手はキングガルグ。もはや犬なんて可愛いもんではない。
頭が1つのケルベロスと言うべきだろうか。
「さてと、じゃあやりますか!」
山田はすぐさま縮地でガルグの背後へと回り込み刀を振り下ろす。大体の魔物はこれで終わりだ。
しかし、相手はキングそうはいかない。
「……ちっ。さすがに反応がいいな」
振り下ろされた刀を躱し、すぐさま反撃の体制を取り、自慢のスピードと鋭い爪で、山田を切り裂かんとする。
ガルグの反撃を刀で受け流し、すぐさま刀を構え直し追撃を放つ。
「グァァァァァア」
「はは!一丁前に吠えるんだね。せっかくだし色々試させて貰おうか」
山田は刀を異空間へしまうと同時に、短剣を取り出し両手に構え、ガルグの足元へと転移すると、そのまま高速で切り刻んだ。
「んー。硬いなぁ。でも、まだまだこんなもんじゃないぞ」
短剣では歯が立たないとわかると、山田は、禍々しさを放つ鎌を取り出した。
「これは僕のお気入りでね、たまにしか使う機会がないんだけど、お前相手なら相応しいだろう!よっと」
クルクルと鎌を回し、ガルグの攻撃を防ぎつつ、確実にダメージを与えて行く。
「そろそろいいかな。上で待ってる人もいるし」
山田はその場で腰を低くし、鎌を構えると、クルッと身体を回転させ、勢いを殺さずガルグに向かって鎌を振り抜いた。
振り抜いたと同時に斬撃が飛び、ガルグを横に真っ二つに斬り裂いたのだった。
「よっし!任務完了っと」
もう救助隊も到着してる頃かなぁ?紗友希さんにメーセージ送っておくか。
『ボス撃破。キングガルグ。あとよろw』
紗友希さんに会うと面倒くさそうだからゆっくり帰ろうかな。
あと問題と言えば、御堂さんになんて言い訳するかだけど……
んーどう考えても無理な気がする。うん。とりあえず明日また考えるとして、今日は早退した事にしよう。それがいい!冴えてるぞ山田!
♦︎♦︎♦︎
なんて考えてた僕は浅はかでした……
入口付近には御堂さんが居た。
細剣の柄を杖のようにし、立ち尽くすそれはまさにどこぞの騎士と言えるだろう。
か、カッコいい!!アニメとかに出て来そうな立ち姿だ!
テンションが少し上がっている山田を見つけた御堂は、どこか胡散臭い笑顔を作りながら、手をおいでおいでと言わんばかりにし、山田を呼んだ
んー?なんか機嫌よさそう?
あーよかった!あとは適当に誤魔化せばいいや。
「おーい!御堂さん大丈夫だっ──」
山田が小走りで近寄り、声を掛けると、肩を掴まれ、御堂は話を遮るように言った。
「詳しく聞かせてもらえますか?世界ランキング一位の山田さん?」
「ひぇ……」
これだめなやつじゃん……あー吐きそう。
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