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一方、対策本部では山田の帰りをまだか、まだかと待っていた紗友希のスマホがピコンっと音を鳴らした。


「っ!?ちょっと!菅原さんこれ見てくださいよ!!」

「お、おう、なんだ鼻息荒くして……は、はは。さすがは彼らしいね」


菅原は紗友希のスマホに映るメーセージを見て、顔を少し引き攣らせ、笑った。


「笑い事じゃないですよ!これ絶対、面倒事私に押し付けましたよ!そのくせ今ごろ呑気に授業受けてますからね!」

「まぁ落ち着け!本来はこちらの仕事だったんだ。これくらいはこちらで責任を持とうじゃないか。それに──」


先程までの空気と一変し二人は表情を曇らせた。


「グランドミノタウロス……」

「ああ……しかもB級ポーターにだ。そんな報告初めてだ。存外彼に任せて正解だったね」

「そうですね……もし、私が行ってたらあれには勝てません」

「だろうね、あれはA級探索者でも苦戦する。ソロで出会ったら迷わず逃げろが徹底されてるからね。この先何事もなければいいんだが……」



♦︎♦︎♦︎


翌日──


暗い部屋の中に、明るい光が平たい板のような形に射し込んできている。雨戸の隙間から射す朝の光だ。


「ふぁ……あ。うん。いい天気だ。今日はいい事がありそうだ」




前言撤回である。


いつもなら、朝の挨拶が飛び交うクラス内のはずなにに、今日は違う。なぜなら昨日は居なかったハズの顔がそこに居たからだ。


何故……なぜ昨日の女がこのクラスに居る。どこがで見覚えがあると思えば……そりゃそーだわな。同じクラスだったのにすっかり忘れてた。



「御堂さん!久しぶりー!」

「久しぶりに見たけど相変わらず可愛い!!顔小さい」

「あはは、あ、ありがとう」


彼女の名前は御堂 麗奈(みどう れいな)。甘栗色の髪を腰辺りまで伸ばし、黒とも藍ともつかぬ瞳が輝きを放つ。


興味が無さすぎてすっかり忘れていた……

確か、姉も有名人だっな。世界ランキング五位 御堂 楓(みどう かえで)。攻撃魔法スキルを得意とするらしい。直接見た事はないけど、()()()()()。なんて二つ名があるくらいだから、怖い人なのだろう。



「御堂さん。今日はポーター探索行かなくていいの?」

「ええ、実は昨日ポーターで死にそうになったんですけど、助けて頂いて」

「えぇ!大丈夫なの!?じゃあしばらくは探索者活動は休憩するのかな?」

「そのつもりです。それにちょっと確かめたい事もありまして……」


御堂はクラスの隅っこに居る山田へと視線を移しながらそう言うと、すぐに友達へと視線を戻した。


え?今なんかチラってこっち見てた?さすがに気のせいだよな……


「その助けて頂いた方が、実はこの学校の生徒の方なんですよね!お顔はよくわからなかったのですが、同じ制服を着ていたので、その方が見つかるまでは学校に通いますよ」

「きゃー。なんか運命感じちゃったり?いーないーなぁ。私もそんな王子様欲しい」


彼は普段通りの日課である読書の真っ最中だ。

しかし、その本は山田の手汗でほんのり湿っていた。


や、ヤバい。これはやばい。

なんで僕はあの時、制服のままで行ってしまったんだ!落ち着け。落ち着くんだ僕。

顔はバレてない。名前も伝えてない。バレるはずがない!!なにをビビっているんだ。同じ制服が何人いると思ってるんだ。は、ははは。


……ちょっとトイレに行っとこう。





「ちょっといいかしら?山田くん」


トイレから出て教室へと戻る途中、背後から声が掛かり、振り向くと御堂が立っていた。


「…………な、なにかな?御堂さん」

「えぇと、昨日なにしてました?」

「き、昨日?普通に授業受けてたよ」


山田は少し困ったような表情を浮かべながらも、平然を装って答えた。


「そう……それじゃあ聞くけど、ランキング一位の山田ってアナタよね?みんなはただの同姓同名なだけって言ってるみたいだけど」

「……僕なわけないじゃないか。成績も悪いし、実技だって特別な成績を残せた事はないし、ありえないよ」

「あくまで同姓同名だと言い張るのね?」

「その通り。僕じゃないよ」


そう言うと御堂は、胡散臭そうに山田を眺めた。床に落ちたドーナツでも眺めるような目付きだった。


「……まぁ今はそれでいいわ。引き止めてごめんなさい。また教室で」


それだけ言うと御堂は踵を返した。


はぁぁぁ。危なかった。

しかし勘が鋭いな……もう少し慎重に行動した方がよさそうだな。



教室に戻ると丁度鐘が鳴った。それと同時に担任がドアを開け入ってくるや早々に言った。


「はーい、今日は昨日話した通りD級ポーターに向かいます。先生たちは、B級探索者なので安心して訓練に励むように」


なんだって!?そんな話聞いてないぞ!!

もしかして、僕がいない間に……ぐぬぬぬ。恨むぞ紗友希さん。


D級ポーターは学校から少し歩いた場所に位置し、訓練の際は必ずと言っていいほど使われる。

クラスの生徒たちがD級ポーター前に集まると教師から声がかかった。


「よし、みんな集まれ!先に説明しとくがD級ポーターだからと言って油断はするなよ!ちなみに入ったことのあるやつはいるか?」


教師の問に対して、スっと手を挙げたのは、瀬戸と御堂の二人だ。


「お前らはどこまで潜った事がある?」

「僕は下層まで潜った事があります」

「私はB級ポーターまで」


御堂がそう言った瞬間、歓声があがった。


「うるさいぞお前ら!もっと緊張感をもて!下手すりゃ死ぬ事を頭に入れるように。よし!じゃあ五人パーティを作れ。魔物一体に対して五人で対処しろ」


周りが続々と五人パーティを組んでいく中、やはりと言うべきか余った山田。


こうなるのもセルフぼっちの宿命。ここは潔く見学でもするとしよう。


「先生、僕は見学してま──」

「先生、私と山田くんの二人ペアでかまいませんか?」

「は!?御堂さんは瀬戸くん辺りと組んだらいいのでは?」

「…………」


シカトかよ!

しかもなんだその顔は……化けの皮を剥いでやるぞみたいな顔してますけど、鏡貸しましょうか?


「なんだ?溢れたのか?まぁ御堂がいれば大丈夫か。なにかあればすぐに呼べ」

「え、先生。二人はちょ──」

「わかりました!なにかあれば必ず呼びます」


せめて最後まで話させてくれ!!


「では、行きましょうか。山田くん」

「あ、はい。よろしく御堂さん」


皆続々とポーターに触れ転移し、その場に残っているのは山田と御堂の二人だけだった。


山田は御堂の押しの強さに観念したのか、はぁ。とため息を吐きつつポーターに手を伸ばした。



ここまで読んで頂きありがとうございます!

誤字脱字など御座いましたらコメント下さい。


「面白そう」「続きが気になる」と感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです

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