第17話 ここが変だよドラゴンクエスト
皆様、ごきげんよう。
皆様はゲームがお好きだろうか。
私がゲーム好きだということは、ゾンビ回でも話したのでご存知の方もおられるだろう。 私が今までに遊んだゲームの中で印象に残っているものを挙げるとするならば、やはり『ドラゴンクエスト』シリーズとなるだろう。
少し歴史を紹介しておくと、最初の『ドラゴンクエスト』が発売されたのは1986年の5月だ。 なんと38年前で、ファミリーコンピュータが一人勝ちをしていた時代だ。
友人の竹内君の家へ遊びに行ったところ、『はがねのつるぎ』を買うために『がいこつ』を倒しまくっている最中であり、興味深く見守っていたことを鮮明に思い出す。
その8ヶ月後に大ヒット作となる『ドラゴンクエストII』が発売される。 1年も絶たずに続編が出るなんて、今ならとても考えられないペースであろう。
たしか、発売日は平日だったはずだが、なぜか全国の学校が創立記念日(購入者の学生がそう言ったらしい)だらけになるという珍事件も起きていた。
1年後、さらに『ドラゴンクエストIII』が発売される。 相変わらず発売ペースが早すぎなのだが、セーブデータのバックアップ機能がついたことにより、パスワードから解放されるという大きな進歩を遂げる。 このペースの速さこそが、『ドラゴンクエスト』シリーズが成功した理由の1つだと思われる。
ちなみに、『ファイナルファンタジー』は少し前に発売されており、私の周りでは『ドラゴンクエストIII』を入手できていない人が遊んでいたように記憶している。
なお、先述の竹内君は雅人という名前だったので、この頃は『マヒャド(氷系の範囲魔法)』というあだ名で呼んでいた。
2年後、ファミコンで発売された最後のシリーズとなる『ドラゴンクエストIV』が発売される。 今作ではAIが搭載され、事前に設定した作戦っぽい行動を自動的に行なってくるようになったのだが、あまりにもクソ過ぎであった。 中でも僧侶のクリフトが、どんなときも『ザラキ』という魔法を唱えまくるという問題行動を起こすので、そのせいで何度も全滅したことを思い出す。
私の初回プレイ時には、同じく僧侶のミネアのパラメータがあまり上がってくれず、どっちの僧侶を選んでも使えないという悩ましい結果となった。
ここから先は長いので省略するが、現在は11作目まで発売されている。 その間、別の機種に移植されたり、スピンオフ作品が発売されたりと、話題は尽きなかった。 このように、長い期間ゲーマーに愛されたゲームはあまりないだろうと思う。
だが、偏屈者の私の目から見ると、変な設定が多くてモヤモヤすることばかりでもあった。
導入部分が長くなって申し訳ないのだが、今回はそんな変な設定を紹介していこうと思う。
もちろん、『ドラゴンクエスト』を知らない人にも分かるように説明を入れていくので、そのまま読んでいただきたい。
【世界はドーナツでできている】
2作目から船が登場しており、世界中を旅することができようになったのだが、世界地図の上下、左右がそれぞれ繋がっている。 これは『地球のように世界が丸いことを表現したかった』のだと思うが、残念ながら……これではドーナツ状なのだ。
ちなみに、『ファイナルファンタジー』もドーナツであったので、子どもながら由々しき問題だと思っていた。
【狂った場所に住んでいる隠者】
『ドラゴンクエスト』は基本的にお使いクエストばかりなので、最終的に世界地図のほとんどを踏破することになる。 その過程で僻地にあるほこらだとか、小屋だとかに住む隠者のもとへ行かされることも少なくないのだ。
『ドラゴンクエスト』は外を歩けば魔物だらけの危険な世界なのに、こんな僻地で暮らしているということは、相当狂った隠者と思われる。 こんな状況であれば畑で農作物を育てることも、小動物を狩ることも不可能であろう。
仮にこんな所に住まわされていたのであれば、目的のアイテムと引き換えに食料を要求すると思われるのだが、『へんげのつえ』みたいな奇妙なアイテムを要求してきたりする。 やはり狂った隠者と言わざるを得ない。
そういえば竹内君は、この隠者がなかなか見つけられず激怒していた。
【井戸の主】
なぜか、町の井戸に人が住んでいたりする。 ゲリラ豪雨でもあった日には命の危険を感じるだろうし、住まいはカビだらけであろう。
そして、きっと井戸水で体を洗ったりしていると思われる。
住民の皆さん、井戸の中に怪しいやつがいますよ~。
【無能なラスボス】
ラスボスは竜王だとか、魔王だとか、破壊神とかなのだが、どいつもこいつも無能すぎて頭が痛くなってくる。
最前線に最弱のモンスターである『スライム』を送り込み、最強クラスのモンスターは自分の周りに配置しているのだ。 まるで、イエスマンで側近を固めている独裁者と同じである。
この馬鹿げた配置によって勇者は少しずつ強くなってしまい、最終的に敗北することになるからだ。 しかも指揮官が存在せず、それぞれのモンスターが各自バラバラかつ適当に侵攻を行っているように思われる。
特に1作目ではスタート地点の『ラダトーム城』とラスボスのいる『竜王の城』は陸続きではないものの、目と鼻の先なのだ。 こんなの、飛行能力を持つ強力なモンスターを大量に送り込めば、あっという間に落城させられるだろう。 ラスボスが無能なせいで、本来は死ななくてもよい部下が死んでいるのだ。
【ひのきのぼう】
最弱の武器(一部例外あり)として、『ひのきのぼう』というのがある。
秋葉原にある武器屋で、非売品の『ひのきのぼう』が展示されていたものを見たことがあるのだが、これは怖ろしい殺人兵器であった。
この棒で相手の頭を殴れば、確実に致命傷を与えるであろう。
『科捜研の女』だって、ちょっと転んで頭を打っただけで人が死ぬくらいだからね。
【はぐれメタル】
液体金属のモンスターで『はぐれメタル』というのがいる。 倒すと経験値がアホみたいに貰えるので、血眼になって探したプレイヤーも少なくないはずだ。
だが、別にはぐれていない。 群れで出てくる。
そういえば、『はぐれ刑事純情派』も別にはぐれていなかった。
【やくそう】
万能すぎる。
単なる草なのに、どんな傷でも即座に回復させることができる。
しかも、副作用、依存性もないというミラクルな薬なのに良心的でお求めやすい価格なのだ。
【メダル王】
辺境の地の城に住む、イカれた王様。 城の維持費だって馬鹿にならないと思うのだが、民のことを顧みず、『ちいさなメダル』を集めることしか考えていないクズ中のクズ。
こんなことだから、家臣もほとんどいない。 きっと、愛想を尽かして出ていったのだろう。
最近のシリーズでは『メダル女学園の校長』といった感じで、王として登場しないこともあるようだ。
どっちにしても、『ちいさなメダル』を集めることしか考えていないのだが。
【勇者オルテガ】
3作目の主人公の父であり、勇者。
3作目といえば、酒場で仲間を集めてパーティーを組むことができるのだが、なぜか単身で旅をしている。 しかも、盗賊と同じ上半身裸で戦っており、完全に舐めプをしていたら火を吹く敵に殺されるという残念な最後を迎える。
武器屋の親父に『武器や防具は持っているだけじゃ意味がないぞ!ちゃんと装備しないとな!』って言われているはずなのに、人の話を聞かないとこういうことになるという、悪い見本のような存在。 だが、彼に会うのはラスボスの少し前あたりなので、その頃に悪い例を見せられてもあまり意味はないので、まさに無駄死と言えよう。
――
いかがだろうか。
他にも、壺やタンスからお金やアイテムを盗み放題だったりと、ツッコミどころは尽きないのだが、キリがないのでこのあたりにしておこうと思う。
これほど残念な設定だらけなのに、ゲーム史上最も愛されているシリーズと言っても過言ではない。
それも、細かいことを気にしない、心優しいゲーマーに支えられているからであろう。