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最終話.悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生しましたが幸せです

最終話です☆

アイラが目を開けた。


「ここは、、どこ?」


アイラはぼそりと呟いた。


(確か私はジェシカの持ってたナイフで自分の首をかすめたはずよね、、。実際とても体が熱くて苦しかったしね、、。でも今は苦しくないわ、、。)


アイラはボーッとしながらそんな事を考えていた。


(苦しくないどころか何だか体がフワフワするわ、、。)


アイラは体が何だか軽いように感じてそんな事を考えていた。


そして、アイラはふと周りを見渡した。


「本当にここはどこだろう、、。何だかひんやりした空気だし辺り一面霧に包まれてるみたいで何もないというより何も見えないわ、、。」


アイラは周りを見渡しながら言った。


(もしかして、、私はあの時死んでしまってここは天国?かなにかの入口とかなのかな、、。)


アイラはふとそんな事を考えていた。


(転生先でも死んでしまうなんてやっぱりモブはモブってことか、、。)


アイラはフッと笑みを溢しながら考えていた。


(でも、死んでしまっても後悔がないといえば嘘にはなってしまうけどあのままジェシカの思うままになるよりはこれで良かったなって思えるわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


(あのままジェシカの思うがままになってたらと思うとゾッとするもんね、、。あのままジェシカの思うがままになってたら皆どころか国自体おかしくなってたかもしれないしね、、。)


アイラは更にそんな事を考えていた。


(でも、私が死んでしまったらお父様達家族を悲しませてしまうわね、、。家族だけじゃなく殿下やヨハネス様にニーナ、それにローズさんや他の人達にも悲しい思いをさせてしまうのは申し訳ないな、、。)


アイラは悲しそうな表情で考えていた。


(ローズさんは髪飾りの事もあって私の死が自分のせいだと自分を責めないで欲しいな、、。プリラブMのヒロインだからそこはどうにか立ち直ってくれる事を願うしかないよね。お兄様もついてるからきっと大丈夫よね。)


アイラはそんな事を考えていた。


(それにしても、、恐らく今回の事はプリラブMの最終イベントだと思うけど相当ハードなイベントなのは間違いないよね。前世でイベントクリアしてないけどクリアしようと思ったらなかなか大変だったと思うな、、。残念な事に最終イベント後の最終ストーリーまでは見ることができなかったけどね、、。ヒロイン・ローズが幸せを掴む瞬間見届けたかったな、、。)


アイラは残念そうにそんな事を考えていた。


(それにもう一つ残念というよりは後悔だけどヨハネス様に私の気持ちを伝える事が出来なかったな、、。モブの私なんかが攻略対象者でもあるヨハネス様に想いを寄せるなんておこがましい話だけど死ぬならせめて気持ちだけでも伝えたかったな、、。)


アイラは寂しげな笑みを浮かべて考えていた。


その時…


アイラの体がフワフワと浮き動いた。


「わっっ、、!」


アイラは驚き声を出した。


(そろそろお出迎えってこと?)


アイラはそう直感して考えていた。


(第二の人生もここでお別れか、、。)


アイラは寂しげな笑みを浮かべて考えていた。


(果たして次の人生はあるのかな、、。まぁなるようにしかならないわよね、、。)


アイラは決心した様な表情を浮かべて考えていた。


そして体がフワフワと移動するのに身を任せた。


その時…


「「アイラ!!」」


遠くの方に光が差し込み光の先からアイラを呼ぶ声がした。


「え、、?」


アイラは思わず声を漏らして光が差す方を見た。


(皆の声がする、、。皆が私の名前を呼んでるの?)


アイラは光の方を見て考えていた。


しかし、アイラの体は動き続け光が差し込む場所から離れていった。


(何だろう、、。どうしてか分からないけどこのまま流されたらいけない気がするわ。)


アイラは光の方を見ながらそんな事を考えていた。


そして…


アイラは体が流され吸い込まれていく感覚に逆らい光の差し込む方へと一生懸命近づこうとプールの中で泳ぐかの様に動き光の差し込む方へ移動し始めた。


「はぁ…はぁ…。」


アイラは息を切らしながら一生懸命光の差し込む方へ向かった。


アイラは光の差し込む方へ近づくにつれて体に温かさが伝わってきた。


(何だろう。だんだん胸のあたりに温かいものを感じるわ。)


アイラは温かさを感じながらそんな事を考えて光の方へ進んだ。


そして…


アイラがようやく光の差し込む場所へたどり着いた。


すると、アイラは体が光の中に吸い込まれる様な感覚に襲われた。


「何?!」


アイラは自分の体がふわっと光に吸い込まれるのを感じて思わず声を漏らした。


(眩しいっ、、。)


アイラは光の中に吸い込まれながら眩しさのあまり思わず目を瞑って考えていた。


そしてアイラはようやく眩しさがおさまり目をゆっくりと開いた。


(んんっ、、。)


アイラは目を開けたが目の前がぼやけ霞んでいて心の中で言った。


「「アイラ!」」


その時、アイラを呼ぶ何人もの声が響いた。


(えっ、、?)


アイラは自分を呼ぶ声がやけに近くに感じるのに驚き考えていた。


そしてアイラの視界が段々と開けてきた。


「お父、、様?お母、、様?お兄、、様?」


アイラは視界に家族が入り力なく呟いた。


「あぁ、、アイラ、、。良かった、、。」


「アイラ、、本当に良かったわ。」


「アイラ、、目を覚ましてくれて良かった、、。」


スミス達は目に涙を浮かべながらアイラへ言った。


「ここは、、?」


アイラが呟いた。


「ここはアイラの自室よ。」


マリが言った。


(私の部屋?私、、生きてるんだ。)


アイラはどこかホッとした表情を浮かべてそんな事を考えていた。


(あ、、。ついさっきまでいた空間は三途の川みたいなところだったのかな?あのひんやりとした空気に真っ白な霧のかかった空間、、。光の方へ吸い込まれていたなかったらあのまま死んでいたかもしれないな。)


アイラはそんな事を考えていた。


「アイラ、、。本当に目を覚ましてくれて良かった、、。」


カイルがアイラの手を優しく握りながら言った。


「アイラは3日も意識がなく昏睡状態だったのだ、、。」


スミスが声を震わせながら言った。


「本当にアイラが目を覚まさないのかと思うと怖くてたまらなかったのよ、、。」


マリも声を震わせながら言った。


(私、3日も意識がなかったの?!)


アイラは驚きそんな事を考えていた。


「殿下とヨハネス様は大丈夫でしたか?どこかお怪我などは、、。」


アイラがスミス達へ気になっていた事を尋ねた。


(ジェシカ様が持ってたナイフを自分の首に当てた後はとにかく体が熱くて痛くて苦しくてって事しか覚えてないのよね、、。そのまま気を失った様だし、、。だからあの後に殿下やヨハネス様がどうなったかわからない。)


アイラはそんな事を考えていた。


「心配しなくていい。殿下もヨハネス様もお怪我などはされていないから。」


スミスが優しい表情で言った。


「そうですか、、。良かったです。」


アイラはホッとした表情で言った。


「、、ジェシカ様は、、?」


アイラが尋ねた。


「、、。アイラが意識を失っている間に彼女の処罰が決定したのだ。バーレン公爵家は爵位を剥奪される事になった。そして公爵家に処刑が言い渡された。本日の午後にバーレン公爵、公爵夫人、令嬢の公開処刑が行われる予定だ。令嬢の悪事に加担していた者は既に処分が下された。」


スミスが説明した。


「本日ですか?!」


アイラはスミスの言葉を聞き驚きを勢いよく体を起こして言った。


急に起き上がったアイラは体をふらつかせた。


「アイラ!」


カイルがすぐにアイラの体を支えてアイラの体ををベッドの柵にもたれかけさせた。


「お兄様ありがとうございます。」


アイラは頭を押さえながら言った。


(3日も意識がなかったんだから急に動いたらふらつくに決まってたわね、、。驚いてしまってつい、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


「それで、、お父様達は刑が執行されるのを見に行かれるのですか?」


アイラが呼吸を安定させながら言った。


「あぁ。私とマリ。カイルの3人で足を運ぶ予定だ。」


スミスが頷きながら言った。


「そうですか、、。」


アイラが複雑な表情を浮かべて言った。


(私がこんな目に遭ったのだから当然よね、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


(それにしてもジェシカが処刑か、、。それも公開処刑。プライドの高いジェシカには自分の処刑される姿を晒されるのは屈辱でしかないわよね、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


(プリラブMのストーリーのジェシカラストも処刑だったのかしら。ジェシカは悪役令嬢だから処刑エンドの可能性が高いだろうけどゲーム内での処刑とリアルに処刑と聞かされるのは大きな違いね、、。ジェシカがあれだけの悪事を働いたのだからま逃れられない事なのだろうけど複雑な気持ちだわ、、。前世では処刑という言葉自体が身近ではなかったからなのもあるけど、、。)


アイラは更に複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「アイラ、、。アイラが心配する必要はない。ジェシカ嬢のした事を考えれば処刑が妥当だからね。」


カイルがアイラの表情を見て心配そうに言った。


「はい、、。」


アイラは小さく頷きながら言った。


そして…


アイラはその後無理のない程度に水分補給や食事を取り再度眠りについた。


アイラが次に目を覚ました時には既にバーレン公爵一家の刑が執行された後だった。


バーレン公爵家の悪事とジェシカの悪事は国を大きく揺るがす事件となっただけに刑が執行された後も国民達の間ではその話題で持ち切りだった。

特に王都の街でハンドメイド商品を作るアイラは有名で人々から好かれていたこともあり死んだ後もジェシカの事を許す事が出来ない国民が多かった。


アイラが意識を失っている間もアイラが目を覚ます様にと毎日の様に街の人々は祈りを捧げていたのだ。


アイラが目を覚ましたとの朗報が街へ流れた際は皆安心して涙を流しながら喜んだ者も少なくなかった。


それは街の人に限らずアイラが目を覚ましたと聞いてカミラやセナやミサ、ローズもガルバドール侯爵邸へ飛んでやってきたのだった。


カミラ達はアイラの無事を涙ながらに喜んだ。


ローズはアイラの予想通り髪飾りの件をとても気にしていた様で自分を責めていた様でアイラに何度も謝った。

しかし、アイラはローズのせいではないから気にしないで欲しいとローズに直接伝えた。



アイラが目を覚まして3日が経った。


この日、ガルバドール侯爵邸へレオンが訪れた。


「アイラ、、。本当に目を覚ましてくれて良かった、、。」


アイラを見たレオンは涙をグッと堪えた表情を浮かべて安堵した様子で言った。


(アイラ、、。随分痩せてしまっているな、、。それに首の傷もまだ残っている、、。)


レオンはアイラを見て胸が締め付けられる様な感覚になりながら考えていた。


「殿下、、。ご心配をおかけしました。そして、私を早急な対応で侯爵邸まで連れ帰って頂きありがとうございました。」


アイラが優しく微笑みながらレオンへ言った。


「心配などかけてはいない!むしろ、、私のせいでアイラを危険な目に遭わせてしまい、、申し訳なく思っている、、。」


レオンは悔しそうに表情を歪めながら頭を下げて言った。


(私がしっかりと王宮の警備をもっと万全にしてアイラを徹底して監視していればあの様な事にはならなかったはずだ、、。)


レオンはグッと拳を握り締めながら考えていた。


「殿下!頭を上げて下さい!殿下のせいで私があの様な目に遭った訳ではありませんから!」


アイラは頭を下げるレオンに慌てて言った。


(あれは私が勝手にまんまと相手の策略にハマッただけ。それに私が前世でプリラブMのイベントをクリアしてなかったせいでもあるんだし。)


アイラはそんな事を考えていた。


「しかし、、。」


レオンはグッと奥歯を噛み締めながら言った。


「むしろ、殿下達が私を見つけて下さらなかったら私は今頃死んでしまっていたでしょう。ですがこうして生きていられるのは殿下達が私を見つけて下さり早急な対応を取って頂いたからなのです。ですので殿下のせいなどではありません。悪いのはあの様な事をしたジェシカ様なのですから。」


アイラが力強く言った。


(そう。悪いのは他の誰でもなく悪役令嬢のジェシカなの。)


アイラはそんな事を考えていた。


「アイラ、、。」


レオンはそんなアイラを見て困り笑みを浮かべて言った。


(アイラ、君は本当にいつもいつも自分が危険な目に遭っても人の事ばかり心配するのだな、、。私は自分の不甲斐なさに嫌気がさしていたというのに。君の言葉はそんな不甲斐なさを一瞬で吹き飛ばしてくれる、、。)


レオンはそんな事を考えていた。


「、、アイラが自分の首にナイフを滑らせ倒れ込み、、苦しそうにして吐血する姿を見た時に私はこれまで感じた事のない恐怖を感じたのだ、、。」


レオンがその時の事を思い出し恐怖した表情で言った。


「恐怖ですか?」


アイラが言った。


「あぁ。君を永遠に失ってしまうのではないかという恐怖だ、、。」


レオンが切ない表情で言った。


「自分が想いを寄せる相手一人も守れず失ってしまうのかとな、、。」


レオンが切ない表情で言った。


「、、えっ、、?想いを寄せる相手、、?」


アイラはレオンの言葉を聞き一瞬フリーズして呟いた。


「あぁ。想いを寄せる女性だ。」


レオンはフッと笑みを浮かべて言った。


「えっと、、それは、、つまり、、?」


アイラは混乱気味に言った。


(殿下が想いを寄せる女性って、、えぇぇ?!)


アイラはそんな事を考えていた。


「あぁ。アイラ、、君の事だよ。」


レオンは微笑みながら言った。


「えぇぇーっ!わ、私ですか?!」


アイラは思わず声を張り驚きながら言った。


(そんな、、。ヒロインのローズ様ではなくモブキャラの私?!)


アイラは混乱気味にそんな事を考えていた。


「あぁ。君だよアイラ。私は君の事が好きなのだ。もちろん異性として、、一人の女性としてね。」


レオンはフッと笑みを浮かべて言った。


「な、な、何で私なのですか?!」


アイラは戸惑いながら言った。


(頭が追いつかないわ。プリラブの攻略対象者。それもヒロインと最終的に結ばれる王子が何故私を?!信じられない。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ん〜何故と言わても気づいた時には君に恋をしていたんだ。私は随分分かりすい行動をとっていたつもりだが?」


レオンはフッと笑みを浮かべて言った。


「何なのですかその理由は。それに一国の王太子殿下が私なんかを好きになるなど思うわけがないので気づかないですよ。」


アイラは混乱気味に言った。


(気づくわけないでしょうが!そもそもプリラブMのストーリー展開を知ってた訳だし当たり前の様に殿下はローズさんに恋するんだと思ってたんだから。)


アイラはそんな事を考えていた。


「私なんかではないさ。私はアイラだから恋に落ちたのだ。アイラは自分が思っているよりも魅力的で素晴らしい可愛らしい女性なのだ。」


レオンは微笑みながら言った。


「殿下、、いくら何でも褒めすぎます。」


アイラは恥ずかしそうに言った。


(こんな顔も特別美人でもなくハンドメイドだけが取り柄の平凡な令嬢なのに盛りすぎよ。)


アイラは恥ずかしそうそんな事を考えていた。


「そうか?私は思っている事を言ったまでだが?」


レオンはフッと笑いながら言った。


「、、私はアイラを王太子妃にと思っているのだ。」


レオンは少し悩んだあとに意を決して言った。


「え?私を王太子妃に、、?」


アイラは驚き言った。


(ローズさんではなくて?)


アイラはそんな事を考えていた。


「あぁ。君さえよければすぐにでも婚約したいと思っている。父上と母上からも了承は得ているから後はアイラの返事次第で侯爵からもすぐに了承を得られるだろう。」


レオンが微笑みながら言った。


(私が王太子妃に、、?でも私は、、。)


アイラは複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。


「私は、、。」


アイラは何かを悩む様な複雑な表情で言った。


(やはりアイラは、、。)


レオンはアイラの表情を見てそんな事を考えていた。


「そんな表情を浮かべているのは想いを寄せている人でもいるのかな?」


レオンが切なそうな笑みを浮かべて言った。


「え?それは、、。」


アイラはレオンの言葉に驚き言った。


(どうしてそんな事を、、?)


アイラはそんな事を考えていた。


「はぁ、、。やはりそうか。そうなのだな。」


レオンは切ない表情を浮かべて言った。


「それは、、その、、。」


アイラは戸惑いながら言った。


「その相手は、、ヨハネスかい?」


レオンが複雑な表情を浮かべて言った。


「え?何故それを?!、、あっ!」


アイラはヨハネスの名前を聞き思わず言うもすぐにしまったという表情を浮かべて口を手で押さえながら言った。


「やはり、、そうか、、。ヨハネスか、、。」


レオンは何とも言えない表情で言った。


「違っ、、。、、。はい。」


アイラは咄嗟に否定しようとしたが少し悩んだ後に小さく頷きながら言った。


(自分の気持ちに嘘はつけないわ、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そうか、、。」


レオンが切ない表情を浮かべて言った。


(パーティーでアイラがヨハネスに向ける表情とアイラがあの日吐血して苦しそうにしながらもヨハネスに何かを伝えようとしていた様子を見て薄々はそうではないかと感じていたが、、はやりそうだったか。)


レオンはそんな事を考えていた。


「はい。ですのでせっかくの光栄な申し入れですが、、私は王太子妃になる事は出来ません、、。申し訳ありません。」


アイラは申し訳なさそうな表情でレオンへ言った。


(例え、ヨハネスに私の気持ちを伝えて玉砕したとしてもやっぱり自分の気持ちを隠したまま殿下の申し入れには頷けないわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そうか、、。アイラらしい答えだな。」


レオンは切ない笑みを浮かべて言った。


(いざ、こうもはっきりとアイラの口から聞くと想像以上にダメージが大きいな。)


レオンはそんな事を考えていた。


レオンの言葉にアイラは気まずい表情を浮かべていた。


「アイラ。私が気持ちを伝えた事で君が気を病む事はない。私は君に自分の気持ちを伝える事が出来ただけでも良かったと思っているから。それに私の申し入れは断られるだろうとも内心思っていたからね。」


レオンは微笑みながら言った。


(アイラが自分の目の前から永遠にいなくなるかもしれないと思った時にもっと早く自分の気持ちを伝えておけば良かったとあれほど後悔した事はないからな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「殿下、、。」


アイラは戸惑いながら言った。


「だが、もしアイラがヨハネスに自分の気持ちを伝えてヨハネスがその気持ちを蔑ろにした際はいつでも私の元へ来てくれて構わないからな。」


レオンが笑顔で言った。


「殿下ったら。そんな殿下を利用する様な事などできませんよ。」


アイラは思わず笑いながら言った。


(殿下はやっぱり優しい方だわ。ヒロインが惹かれるのもわかる気がするわね。人として出来た方だわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「本気だぞ?」


レオンが微笑みながら言った。


(まぁ、しかしアイラが気持ちを伝えてヨハネスがその気持ちを蔑ろにする事は決してないだろうがな。)


レオンはそんな事を考えていた。


(それに、、アイラの体に毒が回ったあの日のヨハネスの迷いがない行動を目の当たりにした時点で私に勝ち目などなかったのだろうがな。アイラはあの日何があったかをまだ知らない様だが知ったら驚くだろうな。アイラの驚く顔が想像出来るな。)


レオンはそんな事を考えていた。


(あの日、アイラの体の中に回った毒を少しでも解毒するために解毒剤を飲ませなければならないという時にアイラの意識がなく上手く解毒剤を飲ます事が出来なかった際もヨハネスはアイラの体から自分も毒が移される危険を承知で何の迷いもなく解毒剤を口移しで飲ませたのだからな。あの時の私はそんな考えすら思いつかなかった。思いついたとしても自分にも毒が回るかもしれないと一瞬でも躊躇しただろうからな、、。あの時のヨハネスはアイラの為なら自分も死んでも構わないと言わんばかりの迷いない行動だったからな。)


レオンはそんな事を考えていた。


レオンの言葉にアイラはくすくす笑っていた。


「アイラ。これは私の我儘だが今後も今までの様に私に接してくれるかい?」


レオンが言った。


「今までの様に、、ですか?」


アイラはきょとんとした表情で言った。


「あぁ。私の気持ちを知った上で今までの様に気軽に話したり色々な事を教えてくれたり料理を教えてくれたりして欲しいのだ。その、、良き友達としてな。」


レオンが少し気まずそうな表情で言った。


(さすがに都合が良すぎる提案だろうか、、。私の気持ちを知った上で私ばかり特をする様な提案だからな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「はい!もちろんですよ!殿下とお話しするのは楽しいですし、また教会へ行き子供達と一緒に遊びましょう!お友達として!」


アイラは笑顔で言った。


(これは本音だしね。気まずくないといえば嘘になるかもしれないけど殿下とはいいお友達になる気がするからね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「、、っ!あぁ。ありがとう。」


レオンは予想外のアイラの反応に驚くもすぐに嬉しそうな笑みを浮かべて言った。


(あぁ、、やはりアイラはアイラだな。私が恋した相手だ。アイラはいつでも私に明るい光を照らしてくれるな。)


レオンは笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「はい。今後もよろしくお願いいたします。」


アイラはレオンに言うと手を差し出した。


「あぁ。こちらこそ。よろしく頼むよ。」


レオンは笑顔で言うとアイラの手を握り握手を交わしたのだった。




レオンがアイラの元を訪れた翌日ガルバドール侯爵邸へヨハネスとニーナが訪れた。


「アイラ!」


「アイラおねえさま!」


ヨハネスとニーナがアイラの部屋へ訪れアイラを見て安堵した表情で言った。


アイラはヨハネスとニーナとあの事件以来顔を合わせていなかった。


「ヨハネス様、ニーナ。」


アイラは笑顔で言った。


「おねえさま、、もう大丈夫なのですか?」


ニーナは心配そうな表情でアイラへの元へやってきて言った。


「えぇ。もう大丈夫よ。心配かけてごめんね。」


アイラはニーナの頭を優しく撫でながら笑みを浮かべて言った。


(ニーナはまだ小さいし驚かせてしまったわよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「良かった、、。本当に良かったおねえさま。」


ニーナがアイラに抱きつき言った。


アイラはそんなニーナを抱きしめ返した。


「ニーナ?」


アイラは自分を抱きしめるニーナが急に大人しくなったのを感じてニーナに声をかけた。


「スー、、スー、、。」


ニーナが寝息を立てていた。


「え?ニーナ眠ってしまったの?」


アイラがニーナの寝息を聞いて驚き言った。


「あぁ、、ニーナはアイラが目を覚まさない間不安でよく眠れない日が続いていてね。きっとアイラの顔を見て安心した瞬間に睡魔が襲ってきたのだろう。」


ヨハネスがニーナを見て言った。


「そうだったのですか、、。」


アイラは心配そうな表情を浮かべてニーナを見て言った。


(そんなにも心配させていたのね、、。)


アイラは申し訳なさそうな表情を浮かべて言った。


そして、アイラはニーナの体を自分から離して空いているベッドのスペースへニーナを寝かせた。


すると…


「アイラ、、本当に良かった、、。」


ヨハネスがアイラの元へ近づきアイラの頬を優しく触りながら言った。


「ヨハネス様?」


アイラは急に頬に触れてきたヨハネスに言った。


(ヨハネス様、、手が震えてる?)


アイラは自分の頬に触れるヨハネスの手が震えている事に気づき考えていた。


「本当にアイラだ、、。私の目の前にアイラがいる、、。」


ヨハネスは現実を噛み締める様に言った。


(アイラだ、、。私のアイラ。こんなの痩せてしまっている上に首の傷がまだ残っている。だが、、生きているのだな、、。)


ヨハネスは目の前にいるアイラの存在を噛みしめる様に考えていた。


「はい。私はヨハネス様の目の前にいます。」


アイラは満面の笑みを浮かべて言った。


ガバッ!


するとヨハネスがアイラを思い切り抱き締めた。


「え?ヨ、ヨハネス様?!」


アイラは急な出来事に混乱気味に言った。


(ちょっと、、。これは一体どういう状況なの?!)


アイラは混乱気味に考えていた。


「アイラ、、。アイラ、、。」


ヨハネスはそう言うと更に強くアイラを抱きしめた。


(あぁ、、アイラの温もりを感じる。アイラが生きている証だ。)


ヨハネスはアイラを抱きしめながらそんな事を考えていた。


「ヨハネス様、、少し苦しいです、、。」


アイラが言った。


「す、、すまない!」


アイラの言葉を聞きヨハネスはハッとなりアイラから体を離した。


「アイラすまない。どこか痛いところなどないか?!アイラが生きていると思うとつい強く抱きしめてしまった、、。」


ヨハネスは戸惑い気味に言った。


「ふふ。大丈夫ですよ。痛いところなどありませんから。それにちゃんと生きていますから。」


アイラは戸惑うヨハネスを見て思わずくすくす笑みを溢しながら言った。


(ヨハネス様が取り乱すなんて珍しいわ。でも、それだけヨハネス様にも心配かけてしまったのね。)


アイラは申し訳なさそうな表情で考えていた。


「アイラの体に毒が回った日から3日も昏睡状態だと聞いた時は本当に生きた心地がしなかった、、。私の目の前でアイラが血を吐き苦しそうにして意識をなくす姿を見てこのままアイラが目を覚まさなければ私はこの先どうやって生きていけばいいのかとすら考えていた、、。」


ヨハネスは表情を歪ませながら言った。


(あれだけアイラを守ると誓った癖に結局またアイラを危険な目に遭わせてしまった自分がどれだけ憎かったか、、。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「アイラが目を覚ましたと聞きどれほど嬉しくどれほど早くアイラに会いに来たかったか、、。」


ヨハネスがアイラの手をそっと握りながら言った。


「ヨハネス様、、。」


アイラはそんなヨハネスを見て呟いた。


「私はあの日意識をなくしたアイラを見てどれほど後悔したことか、、。」


ヨハネスが悔しそうな表情を浮かべて言った。


(あの日、アイラにもう少し早く自分の気持ちを伝えていたら何か変わっていたのではないか、、。アイラをちゃんと守ってやる事が出来たのではないかと死ぬほど後悔した。ガルバドール侯爵にアイラの気持ちを一番に尊重して欲しいと言われて慎重になりすぎた為にアイラに生死を彷徨わせてしまったと、、。侯爵の言う通りアイラの気持ちを尊重するのは大切だ。しかし、もうそんな事は言っていられない!)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


そして、ヨハネスは急に真剣な表情を浮かべてアイラを真っ直ぐ見た。


「アイラ。私はアイラの事が好きだ。アイラを愛しているのだ、、。」


ヨハネスはアイラを真っ直ぐ見て自分の気持ちをしっかりと伝えた。


「えっ、、?」


アイラは一瞬何が起こったのか分からず呆気に取られた表情を浮かべて言った。


(ヨハネス様が私を好き?愛してる、、ですって?これは夢?それとも自分の都合のいい解釈をしているの、、?)


アイラはそんな事を考えていた。


そして…


ポロリ…


アイラの目から涙が零れ落ちた。


「アイラ?どうしたの?!」


ヨハネスは急に涙するアイラに慌てて言った。


(泣くほど私の気持ちが嫌だったのか?!)


ヨハネスは混乱気味にそんな事を考えていた。


「これは夢ですか、、?」


アイラが涙しながら呟いた。


「え?」


ヨハネスは意味が分からず言った。


「私も、、ヨハネス様の事を、、お慕いしています、、。」


アイラは更に涙を零しながらヨハネスを真っ直ぐ見て言った。


「え?何、、?アイラが私を慕っている、、?」


ヨハネスは一瞬何が起こったのか分からず言った。


「はい。私もヨハネス様のことが好きなのです。」


アイラは涙を流しながらも笑顔で言った。


ガバッ!


そんなアイラを見たヨハネスは思わずアイラを抱きしめた。


「本当に、、私の事が好きなのか?兄の様な存在の好きではなく異性としての好きなのか?」


ヨハネスはアイラを抱きしめたまま信じられないという表情を浮かべて言った。


「はい。異性としてヨハネス様のことが好きなのです。」


アイラはヨハネスを抱きしめ返して微笑みながら言った。


「では、何故泣いているのだ?」


ヨハネスは戸惑い気味に言った。


「それは、、嬉しかったからです。ヨハネス様も自分と同じ気持ちなどと思ったら嬉しさのあまり勝手に涙が出ていたのです。」


アイラが言った。


(自分が好きな相手が自分と同じ気持ちだということがこんなに嬉しい事だなんて知らなかった。前世でも恋なんてしたことなかったし現世でも自分はモブキャラだしと思って諦めていた部分もある。だからこの恋は実らないかもしれないと心のどこかで思っていたから、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そんな理由だったのか、、。私はてっきり私の気持ちが嫌で涙したのだとばかり、、。」


ヨハネスは安堵した表情で言った。


「ややこしくて申し訳ありません、、。」


アイラが微笑みながら言った。


「いいのだ。もうそんな事をどうでもいいと思える程嬉しくてたまらないのだ。」


ヨハネスは笑顔で言った。


(本当にアイラが私と同じ気持ちなのだな。これまでアイラを想うだけで幸せな気持ちになっていたが想いが通じ合うというのがこれほど嬉しく満たされるなど想像もしていなかった。あぁ、、私のアイラ、、。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「いつからだ?いつから私を?」


ヨハネスがハッとなり言った。


「気づいたらヨハネス様に恋をしていました。」


アイラは微笑みながら言った。


(初めての恋で、、それもプリラブMの攻略対象者に恋するなんて最初は戸惑ったけれど気づいたら恋をしてしまっていたから、、。殿下が先日言っていた意味が分かった気がするわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「もっと早く気持ちを伝えてくれれば良かったではないか。」


ヨハネスが言った。


「なかなか勇気が出なかったのです。」


アイラは困った表情を浮かべて言った。


(相手が攻略対象者だっていうのもあったしね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「これからは私も遠慮なくアイラを好きだと伝えるからアイラも遠慮なく私に好きだと伝えてくれ。」


ヨハネスは嬉しそうに微笑みながら言った。


「は、はい。それはそれで恥ずかしい気もしますけど、、。」


アイラは頷きながら言うもハッとなり頬を赤らめながら言った。


(あぁ、、アイラ顔を真っ赤にして。本当に可愛らしいな。)


ヨハネスはアイラをチラりと見ながら言う愛らしくてたまらないアイラをギュッと強く抱きしめた。


そして、ヨハネスはそっとアイラから体を離してアイラの首元を優しく触った。


「ひゃっ!ヨハネス様?!」


アイラは急に首元を触られて驚き声を出して言った。


(この傷を見るとあの時の光景が今も浮かぶ、、。あの時ほどジェシカ嬢に本気で殺意を覚えた事はなかったな。アイラが意識を失った後すぐに私がジェシカ嬢を本気で殺そうと思ったからな。殿下が止めてくれなければあの場でジェシカ嬢は息絶えていただろうな。こんな話アイラには言えないけどな。)


ヨハネスはアイラの首元の傷を見ながら考えていた。


(だが、もうジェシカ嬢はこの世にはいない。私の手で処刑できなかったのは残念だがこれ以上アイラを傷つけようとする存在はいなくなったのだからもうあの時の事を思い出すのはやめよう。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「この傷は決して残らない様にしてやるから安心するといいよ。」


ヨハネスは傷を触りながら優しく微笑み言った。


「はい、、。ありがとうございます。」


アイラは少し照れた表情を浮かべて頷きながら言った。


「これからは私がこれから一生アイラを愛し続けて守り抜くと誓うよ。だから、私と結婚してくれないか?」


ヨハネスは手をアイラの首元から頬に移動させてアイラを真っ直ぐ見て言った。


ヨハネスの言葉を聞きアイラを一瞬目を見開いて驚いた。


そして…


「はい。私もこれから一生ヨハネス様を愛していくと誓いますのでこんな私ですがよろしくお願いいたします。」


アイラは満面の笑みを浮かべて言った。


「アイラ!」


ヨハネスは再度アイラを抱きしめながら言った。


そして…


ヨハネスはすぐにアイラから体を離してアイラを真っ直ぐ見た。


そして…


ヨハネスはそっとアイラに顔を近づけて優しくアイラにキスをした。


アイラはヨハネスのキスに一瞬驚くもすぐに安心した様に目を瞑ったのだった。


そして…


しばらくするとお互い唇を離した。


「ファーストキス、、。」


アイラは急に恥ずかしくなり顔を真っ赤にさせながら唇を触りながら呟いた。


(前世でもファーストキスはまだだったからこれが本当のファーストキスだわ、、。キスってこんなに恥ずかしいものなの?!でも、、とても幸せな気持ちにもなったわ。)


アイラは恥ずかしそうにしながらそんな事を考えていた。


「あぁ、、実はアイラは既に私とファーストキスは済ませているんだ、、。」


ヨハネスがニコリと微笑みながら言った。


アイラはヨハネスの言葉を聞き意味がわからず口をパクパクさせて驚いていた。


(ハハ、、。アイラの驚き様。まるで餌を待つ金魚みたいだな。)


ヨハネスはアイラを見てクスりと微笑みながら考えていた。


そして、ヨハネスはアイラに自分が解毒剤を飲ませた事を説明した。

解毒剤を飲ませる為に解毒剤を口移しされ飲まされた事を知ったアイラは恥ずかしさで頭が沸騰しかけていた。


「ちょっと待ってください!毒が回っている私に口移しをされたのですか?!あまりにも危険すぎるではありませんか!一歩間違えたらヨハネス様に毒が移ってしまう可能性もあるのに!」


アイラは急にハッとなり慌てた表情で言った。


「確かにね、、。でも、あの時はアイラが助かるなら私は命が惜しくもなかったんだよ。それくらい私にとってアイラは大切で失いたくない存在なんだよ。」


ヨハネスはフッと笑みを浮かべて言った。


「ヨハネス様、、。」


アイラは胸が締め付けられるのを感じながら言った。


(危険を顧みない程に私を想ってくれていたなんて、、。私はいつもヨハネス様に助けてもらってばかりだわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ヨハネス様にはいつも助けてもらってばかりですね、、。」


アイラは困り笑みを浮かべて言った。


「アイラ、、それは。」


ヨハネスは焦った表情で言った。


「ですが、これからは私もヨハネス様に助けてもらうばかりではなく私もヨハネス様を助けられる存在になれる様に頑張りますね!」


アイラは笑顔で言った。


(あぁ。アイラはこういう人だったな。決して下を向かず前だけを見て相手の事を考える優しい女性、、。やはりアイラを好きになって良かったな、、。)


ヨハネスはアイラを見て改めてそんな事を考えていた。


「あぁ。では、これからは苦難があっても二人で助けて合って乗り越えていこう。」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「はい。」


アイラは笑みを浮かべて言った。


そんなアイラを見たヨハネスは不意打ちでアイラにキスをした。


「ヨハネス様!」


アイラは頬を赤らめながら慌てて言った。


「あぁーーー!」


すると目を覚ましたニーナが二人がキスをするところを見て思わず叫んだ。


「ニーナ?!」


アイラは驚きニーナを見て言った。


「ニーナ、、目が覚めたのね。」


アイラは慌てて言った。


「お兄様、、もしかして、、アイラおねえさまと、、。」


ニーナが何故が目を輝かせながらヨハネスへ言った。


「あぁ。そのもしかしてだよ。」


ヨハネスはにこりと微笑みながらニーナへ言った。


「本当に?!やったぁー!やったわ!ついにアイラおねえさまが私の本当のおねえさまになるんだわー!」


ニーナはベッドの上でピョンピョン跳ねながら満面の笑みを浮かべて言った。


「え?えぇ?」


アイラはそんな二人のやり取りを見て混乱気味に言った。


(何?どうしてニーナがこんなに喜んでいるの?!)


アイラはニーナを見てそんな事を考えていた。


「あの、、ヨハネス様これは一体、は、、。」


アイラは訳が分からず混乱気味にヨハネスへ尋ねた。


「ん?あぁ。ニーナは私の気持ちに気づいてからずっとアイラと私が結婚するのを楽しみにしていたんだよ。恐らく私の気持ちに気づいていなかったのはアイラだけだったからね。」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「え?えぇ?えぇぇ?!」


アイラは更に混乱気味に言った。


(私だけ気づかなかった?!)


アイラはそんな事を考えていた。


「カイルとニーナはもちろんカミラ嬢も気づいた様だしローズ嬢も私のアイラに対する気持ちは知っていたと思うよ?もちろん殿下も気づいていたな。まぁ、私があれ程の言動と行動をとっていたら普通は気づくからね。」


ヨハネスは笑いながら言った。


「そんな、、。私だけが気づかなかったなんて、、。」


アイラは信じられないという表情を浮かべて言った。


「私もあまりに気づかないアイラには驚いたよ。私が贈ったネックレスの意味にも気づいていなかっただろう?」


ヨハネスが言った。


「ネックレスの意味、、ですか?」


アイラは戸惑い気味に言った。


(そんな意味とかってプリラブMのストーリーには出てこなかった気がするけど、、。意味なんてあるのかしら。)


アイラはそんな事を考えていた。


「この国では自分の瞳の色のアクセサリーを贈るのは相手に愛や求婚を意味するんですよ!」


ニーナがにこにこ微笑みながらアイラへ言った。


「えぇぇーっ!あのネックレスにはそんな意味があったのですか?!」


アイラは驚いた表情を浮かべて言った。


「そうだよ。侯爵達はあのネックレスを見て私がアイラに求婚していると理解したみたいだったよ。」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「何だか私が色々と鈍感というか無知というか、、。何だか恥ずかしいです、、。私一人気づかなかったなんて、、。」


アイラは恥ずかしそうに言った。


(まさか自分がこんなに鈍感だったとはね、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


「いいさ。今後は嫌でも私のアイラに対する愛がどれ程のものか気づくはずだから。」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「あっ、、どうかお手柔らかにお願いいたします。」


アイラが照れながら言った。


そんなアイラを見てヨハネスとニーナはくすくすと笑っていたのだった。




アイラとヨハネス二人がお互い想い合っていると分かってからのヨハネスの行動力の早さは凄まじかった。


すぐにスミスとマリとカイルへ事の事情を伝えグラマー公爵夫妻にも事情を説明した。

そして、通常婚約が決まってから一年程経過してから結婚の話を進めていくのが普通だったがヨハネスは一年も待てないと自分の気持ちと考えを押し切ってアイラとの婚約期間を3ヶ月に設定した。

アイラが学園を卒業してからでも遅くはないのではないかという周りの話は一切聞き入れなかった。

そして、ヨハネスは婚約期間の3ヶ月間ほぼ毎日アイラに会いにきてはアイラとイチャイチャしていた。


ヨハネスの行動にアイラは毎回頭が沸騰しそうになりながらも幸せを感じながら過ごしていた。


そんな日が続きあれよあれよと婚約期間の3ヶ月が経過した。


3ヶ月の間にヨハネスは学園を無事に卒業した。


そして…


あっという間にアイラとヨハネスの結婚式当日がやってきた。


二人の結婚式はアイラの希望により教会で親族と仲の良い知人だけを集めての小さな式だった。

ドレスはアイラが3ヶ月かけて自作したウエディングドレスだった。

ドレス以外のアクセサリーや靴はヨハネスからの贈り物だった。


アイラはスミスと腕を組みバージンロードを歩きヨハネスの元へと到着した。

スミスがアイラの腕を外しヨハネスがアイラへ手を伸ばした。

そしてアイラはヨハネスの手を取りヨハネスの横へと並んだ。


「アイラ、、とても綺麗だ。」


ヨハネスは幸せそうに微笑みながら言った。


「ヨハネスもとても素敵です。」


アイラも幸せそうに微笑みながら言った。


そして…


「新郎ヨハネス・ヴィー・グラマー。あなたはここにいる新婦アイラ・プ・ガルバドールを生涯愛する事を誓いますか?」


神父がヨハネスへ言った。


「はい。誓います。」


ヨハネスはアイラをちらりと見ると真っ直ぐ前を向き真剣な表情で応えた。


「新婦アイラ・プ・ガルバドール。あなたはここにいる新郎ヨハネス・ヴィー・グラマーを生涯愛する事を誓いますか?」


神父がアイラへ言った。


「はい。誓います。」


アイラはヨハネスをちらりと見ると真っ直ぐ前を向き真剣な表情で言った。


「夫婦になる証として誓いのキスを、、。」


神父は優しく微笑みながらアイラとヨハネスへ言った。


そしてアイラとヨハネスは向かい合った。

ヨハネスがアイラのベールを上に上げた。


そして…


二人は見つめ合い誓いのキスをした。


「これにて二人が夫婦になることを認めます。」


神父が言った。


パチパチ!

パチパチ!


その場が祝福の拍手に包まれた。


「ヨハネス様。これからも末永くよろしくお願いいたします。」


アイラは微笑みながらヨハネスへ言った。


「あぁ。こちらこそ末永くよろしく頼むよ。」


ヨハネスも微笑みながらアイラへ言った。


こうしてこの日、晴れて二人は夫婦となったのだった…


結婚式が終わりグラマー公爵邸でささやかな結婚パーティーが開かれた。


結婚式に参列した人のみのパーティーだったのでアイラもヨハネスも気兼ねなくパーティーを楽しんでいた。


アイラはカミラ、セナ、ミサ、ローズ、ニーナ達と共に楽しくお喋りをしていた。


「まさか、アイラが私やローズ様よりも早く結婚してしまうなんてね。驚きよ。」


カミラが笑いながら言った。


「私も話を聞いた時は驚いたわ。正直私とカイルの方が先に結婚するだろうと思っていたから。」


ローズも笑いながら言った。


「学園内でも3ヶ月間慌ただしかったものね。」


セナが笑いながら言った。


「そうそう。学園でもヨハネス様が毎日お迎えにきてらしたしね。」


ミサが笑いながら言った。


「当の私もまさか自分がこんなに早く結婚するなんて思ってもみなかったわ。」


アイラは笑いながら言った。


「私はアイラおねえさまとお兄様が一日でも早く結婚して欲しかったので嬉しくてたまりませんでした。」


ニーナが笑いながら言った。


「アイラ。絶対幸せになるのよ?」


カミラが笑いながら言った。


「えぇ。ありがとう。幸せになるわ。」


アイラが笑顔で頷きながら言った。


同じ頃…


ヨハネスとカイルとレオンもまた3人で話をしていた。


「本当にこの3ヶ月間は怒涛だったな。」


カイルが苦笑いを浮かべて言った。


「確かにな。王宮もそのせいで業務に多少の支障が出たからな。まぁ、ヨハネスらしいといえばヨハネスらしい行動だったがな。」


レオンも苦笑いを浮かべて言った。


「カイル。妹の結婚式の日くらいずっと笑顔でいるべきだぞ?怒涛の日々も案外悪くはなかっただろう?アイラの結婚までの準備期間だと思えば。」


ヨハネスは微笑みながらカイルへ言った。


「それに殿下も負け惜しみはよしてくださいね。好きな女性を私に取られたからと、、。」


ヨハネスは勝ち誇った様な笑みを浮かべて言った。


そんなヨハネスを見てカイルとレオンはお互い見合った。


「はぁ、、。まさか自分の妹の夫がこんな腹黒い男だとはね。」


カイルは呆れた表情を浮かべて言った。


「アイラの前では絶対に見せない腹黒さだな。」


レオンも呆れた表情で言った。


「アイラには見せる必要がないですからね。」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「我が妹も厄介な男に捕まったものだな。」


カイルが言った。


「まったく同感だな。しかし、もしもアイラを泣かせたり傷つけたりする事があれば私は遠慮なくアイラを奪うから覚悟はしておくといい。」


レオンがニヤリと微笑みながら言った。


「殿下、ご心配なく。その様な日は永遠に来ませんから。」


ヨハネスは勝ち誇った笑みを浮かべて言った。


「やれやれ、、。」


レオンが苦笑いを浮かべて言った。


こうしてこの日一日が終わりを迎えたのだった…




アイラとヨハネスが結婚して一年半が経過した…


この一年半の間に色々な変化が起きていた。


一つ目は…

アイラがグラマー公爵領の街に自身のハンドメイドの店を出店していた。


店の名前は…

《プリラブM》

だった。


プリラブMはすぐに人気店となり毎日盛況だった。


アイラは前世から含め念願の自分の店を持つという夢が叶いとても喜んでいた。


そして二つ目は…


アイラとヨハネスの間に家族が一人増えたことだ。


二人が結婚して一ヶ月ほど経過した日にアイラの妊娠が判明したのだった。

アイラは当時学園に通っていた事もあり随分と悩んだ結果学園を辞める事を決断して出産したのだった。


アイラの妊娠が判明した際は周りを驚かせたが皆祝福してくれた。

ヨハネスに関しては更にアイラに対して過保護になったのは言うまでもなかった。

初めての出産ということでアイラは不安になる事もあったが日々お腹の中ですくすく成長する愛する人との我が子に会う楽しみが大きかった事と周りのサポートもあり無事に元気な男の子を出産することが出来た。


そして、現在二人の息子であるスカイは生後半年を迎えた。


この日、アイラとヨハネスはスカイを連れて3人でピクニックへと出かけていた。


「スカイがあっという間に成長していくので何だか少し寂しい気がします。ついこの間まで新生児だったのが嘘の様です。」


アイラがすぐそばでハイハイをするスカイを微笑みながら見つめてヨハネスへ言った。


「そうだね。あれからもう半年経つのかと思うと驚くことばかりだ。」


ヨハネスもスカイを見て微笑みながら言った。


(まさか、私が母親になるなんて想像もしていなかったもんね、、。結婚してすぐ妊娠したから周りの人たちを驚かせてしまったんだったよね。でも、皆とても喜んで祝福してくれたよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「今ではお父様達やお義父様達もすっかりスカイにメロメロですしね。皆スカイをとても可愛がってくれて嬉しい限りですしスカイは幸せ者ですね。」


アイラは微笑みながら言った。


「あぁ。見ているこちらが苦笑いしてしまう程の孫馬鹿になっているな。」


ヨハネスは苦笑いを浮かべて言った。


「、、。アイラは今幸せか?結婚して間もないのにスカイを妊娠してその事で学園を辞める事にもなったし色々と不安に思う事もあっただろう?結婚後は我が公爵邸に移り住み分からない事なども多かっただろう?」


ヨハネスはどこか不安そうな表情を浮かべて言った。


(アイラと結婚できスカイという宝物まで出来た事はこれ以上ない程の幸せだがもしかしたら幸せだと思っているのは私だけではないかと不安に思う事がある、、。アイラはいつも自分の事より人の事を心配する子だからアイラ自身が色々と思いを溜めているのではないかと心配になるのだ。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「私ですか?そんなの幸せに決まってます。愛する人と結婚ができて。愛する人との間にスカイという宝物まで授かる事が出来た上に周りの皆さんには祝福されて義家族にも恵まれていますしグラマー公爵領の領民の皆さんもとてもいい方ばかりで、、夢だった自分のお店を持つことも出来たのです。これ以上幸せになったらばちが当たるのではないかと思う程に幸せです。」


アイラは満面の笑みを浮かべて自信満々に言った。


(本当にこんなに幸せでいいのかなって不安になるくらい幸せだわ。自分が転生したと気づいた時には想像も出来なかった幸せよ。)


アイラは心からそんな事を思っていた。


「そうか。アイラが幸せなら私も幸せだ。」


ヨハネスは先程の不安などどこかへ消えてしまった様に満面の笑みを浮かべて嬉しそうに言った。


(杞憂だったな。幸せなあまり不安になってしまった様だな。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「私もヨハネス様が幸せなら私も幸せです。」


アイラは微笑みながら言った。


「アイラ、、愛してる、、。本当に心の底から愛してる。」


ヨハネスは優しい笑みを浮かべて言った。


「私もヨハネス様を心の底から愛しています、、。私を愛してくれてありがとうございます。」


アイラは優しい笑みを浮かべて言った。


「私の方こそ私を愛してくれてありがとう。」


ヨハネスが微笑みながら言った。


(ヨハネス様、、。本当に私はあなたに出会えて良かった。悪役令嬢でもなくヒロインでもないモブキャラな私はあなたのお陰でとても幸せです、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


そして、二人はそっとキスをしてお互いの愛を確かめ合ったのだった。



その後…

ゲームの世界の悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラのアイラは末永く幸せに暮らしましとさ…



【完】


最終話まで読んで頂きありがとうございました☆


2023.3.27

日間ランキング 異世界・恋愛TOP300

52位

ありがとうございます☆


2023.3.28

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2023.3.29

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2023.6.14

小説家になろう 特設コーナー

第189回《今日の一冊》にて掲載



2023.6.27

異世界 恋愛月間ランキング

175位


ありがとうございます☆



子供が生まれてからの話などを番外編で書けたら書きたいなと思っていますのでその際は読んで頂けたら幸いです☆



他にも連載中の小説がありますのでよろしければご一緒にご覧下さい★


↓↓↓↓




私が悪役令嬢?!…ならばシナリオ無視して全力で推しを守り愛し共に幸せになる所存です!!

〜じゃじゃ馬令嬢は異世界でも推し活に励む〜(※間隔土曜更新)



ヤンデレ公爵令息の溺愛ストーカー日記♡転生令嬢の破滅回避生存日記☆(※不定期更新)


ブックマーク&評価の方ありがとうございます★

とても励みになってます★

最後までお付き頂けると幸いです★

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