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31.モブは大切な人を守りたい

「さつき!さつき!そろそろイベント始まるよ!」


声を聞いたアイラはハッとなり目を開けた。


「さつき?急に眠っちゃったけどどうかした?」


よしみがアイラへ心配気に声をかけた。


「んん、、。よしみ、、?」


アイラは驚いた表情で言った。


「もぉ〜イベント始まるっていうのにさつきったら急に寝ちゃうからびっくりしたじゃないの。昨日徹夜したでしょ?」


よしみはくすくす笑いながら言った。


「えっ、あ、うん、、。」


アイラは戸惑った表情を浮かべて言った。


(私、、寝てたの?じゃぁ今まで夢を見てたの?)


アイラは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「どうしたの?まだ寝ぼけてる?」


よしみはアイラの表情を見て首を傾げながら言った。


「いや、、何か凄く長い夢を見てた気がしたんだよね。」


アイラは戸惑いながら言った。


「長い夢?どんな夢だったの?」


よしみが言った。


「それがね、、私がプリラブMの世界に転生したって夢だったの。それもモブキャラに。」


アイラは苦笑いを浮かべて言った。


「マジ?プリラブMの世界に転生って!しかもモブキャラって。どんだけプリラブM好きなのよ〜!最近ずっとプリラブMやってたからだろうね。でも、夢でもプリラブMの世界を体験できるのはいいね!」


よしみが笑いながら言った。


「うん、、。何か凄くリアルな夢だったよ。本当に目の前がプリラブMの世界だったもん。」


アイラが言った。


「ヒロインのローズや攻略対象者も出てきたの?」


よしみが言った。


「うん!出てきたよ。ローズはゲーム通り可愛かったし癒やし系って感じだったよ。攻略対象者たちもゲーム通り輝いてたよ。攻略対象者補正もあるかもだけど。でも、ゲームの内容とは違って何故かローズはカイルとくっついて結婚の話まで出てたよ。それにモブキャラのあたしが恐れ多くもレオンやヨハネスと交流してたし。しかも、プリラブMの世界でもあたしハンドメイドしてたしね。」


アイラは笑いながら言った。


「やっぱりヒロインと攻略対象者は輝いてたか〜。でも、モブキャラが攻略対象者と絡むとかハンドメイドしてるとかまさに夢の中へって感じだよね!そんな自分に都合のいいことなんて現実ではありえないもんね。でもプリラブMの世界っていうのが最高の夢だよね。」


よしみが笑いながら言った。


「確かにね。夢じゃなきゃありえない話だよね。」


アイラは笑いながら言った。


(本当に自分が転生したかの様にリアルな夢だったけどね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「それでもちろん悪役令嬢のジェシカも出てきたんだよね?」


よしみが興味津々な表情で言った。


「うん。出てきたよ。」


アイラが頷きながら言った。


「やっぱりゲーム通り綺麗だけど怖かった?」


よしみが言った。


「う〜ん、、最初は怖いかもって思ったかな。だってモブキャラの私がローズを庇ってジェシカに頬を叩かれたから。」


アイラが言った。


「え?!ゲームのストーリーだとそんな場面なかったけどさすがは夢だね。てか、やっぱり悪役令嬢は悪役だね〜。」


よしみが言った。


「うん。でもね、ゲームのストーリーみたいにローズに危害を加えたりはなかったんだよね。」


アイラが言った。


「さすがは夢。夢じゃなかったらジェシカがヒロインに何もしないなんてありえないもんね。悪役はどう転がっても悪役だしね。」


よしみが笑いながら言った。


「それはそうだよね。プリラブMの絶対的な悪役だもんね。悪役が何もしないなんてありえないよね。」


アイラも笑いながら言った。


「そうそう。」


よしみが笑いながら言った。


そして二人はアイラが見たという夢の話をしながら笑い合っていた。


(そっか。あれは現実味があったけど本当に夢だったんだなぁ。)


アイラはそんな事を考えていた。




ガタンッ!!


アイラが音に反応してパッと目を覚ました。


(ん?口が塞がれてるし手足が縛られてる、、。それに、、揺れてる?)


アイラは自分の口が布で塞がれて手足が縛られているのに気づいたと同時に周りが揺れている事に気づきそんな事を考えていた。


そして…


(やっぱり夢じゃなかったのね。むしろ今見てたよしみとの会話が夢だったみたいね、、。)


アイラは真っ暗な周りを見渡しながらあ然とした表情でそんな事を考えていた。


(あの後、私は気を失ったんだわ。)


アイラは自分が襲われた事を思い出しながらそんな事を考えていた。


(それよりどうして揺れてるのかしら。周りが暗くて今の状況がわからないわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


そして、アイラはどうにか自分がおかれている状況を把握する為に体を動かした。


すると暗かった場所の一部から風を感じた。


(ここからだわ。)


アイラは風を感じる場所まで体を動かしながら考えていた。


そして風を感じる場所でそっと頭を上に上げる様な仕草をした。


サラッ…


するとアイラを覆っていたと思われる布のようなものが少しめくれる状態になった。


(荷台、、?)


アイラは布がめくれたところから周りを見渡して考えていた。


(だから揺れていたのね。私を荷台に乗せてどこかに向かってるってことね。)


アイラは自分の今の状況を予測しながら考えていた。


(あれは王宮?という事は私が意識を失ってそれほど経ってないってことね。でも、王宮から離れていってるみたいだし今のうちに荷台から脱出しないとこれ以上王宮から離れるのはまずいよね。)


アイラは目に入った王宮を見て考えていた。


(………。よし!)


アイラが何悩みながら考えていた。


そして…


バッ…!!


アイラは手足が縛られたまま動く荷台から飛び降りたのだった。


ドドンッ…!


(うっ、、!)


荷台から飛び降りたアイラは思い切り地面に体が叩きつけられた。


「うっ、、痛っ、、。」


アイラが全身に伝わる痛みを感じながら呟いた。


「飛び降りて、、地面にぶつかったお陰で口元の布が取れたわ、、。」


アイラがすぐそばに落ちた布を見ながら呟いた。


荷台はアイラが飛び降りた事に気づかず先を進んで行った様だった。


「飛び降りたのを気づかれなくて良かった、、。」


アイラは少しホッとした表情で呟いた。


「まだ、王宮が見える範囲の場所だから歩いて王宮に戻れるかもしれないわね。」


アイラが後ろを振り返り遠くに見える王宮を見ながら呟いた。


「まずは、、手足のロープをどうにかしないとな。」


アイラは縛られている手足を見つめ呟いた。


そして…


アイラは周りを見渡した。


「あっ!」


そしてアイラの目にあるものが入り声を出した。


アイラの目に入ったのは割れた瓶だった。


(誰かがお酒を飲んでから瓶を捨てたようね。あれなら縄が切れそうだわ。)


アイラが割れた瓶を見て考えていた。


そしてアイラは割れた瓶を使って手を縛っていた縄を瓶の割れた部分を擦りつけて切り始めた。


ギリギリッ…


ガッガ…


「んっ!」


アイラが声を出した。


瓶の割れた部分がアイラの手首近くに当たりその場所が切れてしまったのだった。


(結構深く切れちゃったみたいね…。だけど今は痛いなんて言ってられないわね。早く縄を切らないと。)


アイラは表情を歪めながら考えていた。


そして、アイラは切れた手の痛みを耐えながら縄を切り続けた。


ブチッ!


そしてようやく縄が切れた。


「やった、、。」


アイラはそう言うと今度は足の縄を切り始めた。


ブチッ!


足の縄を切るとアイラは立ち上がった。

そして着ていたドレスのスカート部分を破いた。


(お父様、せっかくプレゼントしてくれたドレス破ってしまってごめんなさい、、。)


アイラはドレスを破りながら申し訳なさそうな表情でそんな事を考えていた。


アイラは破いたドレスの切れ端を怪我をした部分に巻き付けた。


(これで止血は大丈夫そうね。急いで王宮へ戻らないといけないわね。)


アイラは切れ端を巻いた部分を確認するとそんな事を考えながら王宮へ向い歩き始めた。


アイラは襲われた際に靴が脱げたのか裸足で歩き続けた。


(あの倒れてた騎士の人達は大丈夫かしら。あの後誰かが気づいてくれてたらいいんだけど。)


アイラはそんな事を考えていた。


そしてその後もアイラは足の裏が擦りむけて血が出ていても休むことなく王宮へ向かい歩いたのだった。




アイラが王宮へ向かい歩いている同じ頃…


王宮内の王太子の執務室ではアイラが行方不明になったことで大騒ぎになっていた。


「護衛の騎士たちは一体何をしていたのだ!」


いつもは温厚なレオンが怒りに満ちた表情で目の前にいる騎士団長へ言った。


「殿下、、誠に申し訳ありません。」


騎士団長が表情を歪ませながらレオンへ言った。


「謝って済む問題ではない。なんの為に騎士たちにアイラを見守らせていたのだ!」


レオンは怒りがおさまらないまま言った。


「すでに騎士たちをガルバドール侯爵令嬢の捜索へ向かわせる準備は整っております。」


騎士団長は真剣な表情で言った。


「私が捜索の指揮をとる!すぐに出発すると騎士たちに伝えろ!」


レオンが怒りの表情のまま騎士団長へ言った。


(絶対にアイラを無事に見つけ出さなければ、、。アイラに内緒て護衛の騎士をつけあれほど気をつけて見守らせていたというのに、、。アイラ!)


レオンはそんな事を考えていた。


「承知しました。」


騎士団長が言った。


そこへ…


コンコンッ!


執務室の扉が鳴った。


「なんだ?!」


レオンが言った。


「殿下。カイルでございます。」


扉の外なら慌てた様子のカイルが言った。


「カイル?入れ!」


レオンが言った。


ガチャ…


「失礼致します。殿下、急ぎお伝えしたいことが、、。」


カイルは慌てた様子で部屋に入りレオンへ言った。


「どうしたのだ?!」


レオンが言った。


「ヨハネスが既にアイラを捜索する為に王宮から出ました。」


カイルが慌てて言った。


「ヨハネスが?!」


レオンは驚き言った。


「はい。どうやらグレイス嬢の姿がどこにも見当たない様でそれに気づいたヨハネスがすぐさま王宮を出ていきました。」


カイルは表情を歪めて言った。


(あれ程、今日はグレイス嬢の動向を注意しいたというのにこんなことになってしまった、、。)


カイルは悔しそうに拳を握りしめながらそんな事を考えていた。


「はやり、、今回も彼女が絡んでるいるのか、、。」


レオンがカイルの話を聞き表情を歪めて言った。


(やはりあの女か。)


レオンは悔しそうにそんな事を考えていた。


「とにかく我々もすぐにヨハネスに続こう。カイルはアイラが王宮へ戻ってくるかもしれない事を考慮してガルバドール侯爵と王宮で待機していてくれ。」


レオンが騎士団長とカイルへ言った。


「「承知しました。」」


カイルと騎士団長が言った。


そして、レオンは騎士団長と数名の騎士たちを率いてヨハネスが向かった先に続き馬を走らせたのだった。




レオン達が動いていたその頃ヨハネスは…


馬を走らせていた。


(王宮の裏手にある場所からの車輪の跡を見る限り馬車などではなく荷台か何かの車輪の跡だ。だとしたらアイラが危険だ。ジェシカ嬢の姿はすでに王宮にはなかった。あの女が絡んでいる事は確かだ。しかし、アイラを荷台で運びどこかへ連れて行っているのであればその荷台を引く者達とジェシカ嬢はどこかで落ち合うつもりなのだろう。)


ヨハネスは馬を走らせながらそんな事を考えていた。


(王宮でジェシカ嬢を注意して見ていたがまさかここまで堂々とアイラに手を出してくるとは、、。二度とアイラを危険な目にあわせないと決めたというのに、、。今こうしてまたアイラを危険な目にあわせてしまっている、、。)


ヨハネスは表情を歪めながらそんな事を考えていた。


(しかし、絶対にアイラを助けてやる。そして助けて、、私の気持ちをアイラへ伝える。侯爵に何と言われようと殿下に何と言われようともう我慢はしない。アイラの気持ちが一番というのは理解しているがこれ以上は、、。)


ヨハネスがグッと手綱を握りしめながらそんな事を考えていた。


そして更に馬のペースを上げたのだった。


ヨハネスはその後もスピードを落とす事なく馬を走らせた。

そして荷台が進んでいるだろう道を先回りした。


そしてヨハネスは荷台がやってきたのを確認して荷台の前に立ちはだかり荷台を止めた。


「何だ!てめぇは!」


荷台を引いていた男がヨハネスに向かい苛立った様子で言い放った。


「黙れ。」


ヨハネスはその男に向かって圧をかけながら冷ややかな声で言った。


男はヨハネスの圧にゾットした。


そんな男を無視してヨハネスは荷台の後ろへ回った。


「なっ、何しやがる!それはただの荷物だ!さわるな!」


男はヨハネスが荷台の後ろへ回ったのを見て慌てて言った。


しかし、ヨハネスは男の言葉など無視した。


「アイラ!」


そしてヨハネスは荷台にかけてあった大きな布を剥ぎ取り言った。


しかし、荷台にアイラの姿はなかった。


「おい!ここに乗せていた女は?!」


ヨハネスが怒りに満ちた表情で男へ言った。


「しっ、知らない。女なんて知らない。」


男はヨハネスの勢いに怯えた表情を浮かべて言った。


「お前、、殺されたいのか?」


ヨハネスは冷たい視線を男に向けて持っていた剣を引き抜きながら言った。


「ひぃっっ!」


男は思わず悲鳴を漏らした。


「つ、連れ去ったのは、、お、俺だが女がいなくなったのは本当に知らないんだ。確かにお、女は荷台に乗せたんだ。」


男は怯えながらも必死に言った。


(この男、、本当にアイラがいなくなっていたのは知らないみたいだな。ということは、、アイラは自ら荷台から逃げ出したということか。)


ヨハネスは男の話を聞きそんな事を考えていた。


そしてヨハネスは男へ近づいた。


そして…


バゴッッ!


ヨハネスは男を思い切り殴った。


「一先ずはこれくらで我慢してやる。」


ヨハネスは冷たい視線を男に向け低い声で言った。


そしてヨハネスは荷台からロープを持ち出して男を近くの木に座らせてロープで身体を固く固定し身動きを封じた。

口にもロープをしっかり巻き付けた。


馬と荷台もロープに巻き付けた。


(ここへ来るまでに目印をまいてきたから恐らくそれに殿下達が気づきここまで来るだろう。この男のことは後は騎士たちに任せよう。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「いいか?お前は許されない事をしたのだ。私はもちろんだが彼女の家族も、、そして王太子殿下もお前を許さないだろう。お前が自分の欲の為にどれほどの罪を犯したかをじっくり身をもって知るがいい、、。」


ヨハネスは男に近づき殺気のこもった目で男へ冷たく言った。


「ゔゔぅぅ、、。」


男はヨハネスの表情を見て言葉を聞き恐怖に満ちた表情で震えながら声にならない声を漏らした。


その時…


パカラッ…

パカラッ…


(ん?思ったより早かったな、、。)


ヨハネスが馬の走る音を聞きそんな事を考えていた。


「ヨハネス!」


馬の走る音と共にその場へやってきたレオンがヨハネスの姿を見て言った。


そしてレオンは馬から降りてヨハネスの元へ駆け寄った。


「殿下。」


ヨハネスはレオンへ礼をしながら言った。


「この男がアイラを?それでアイラは救出できたのか?!」


レオンが男を冷たい目で見ながらヨハネスへ尋ねた。


「はい。この男がアイラを攫った様です。しかし、、アイラはいませんでした。どうやら自力で荷台から脱出した様です。今から荷台が通ってきた場所を戻ってみるところでした。」


ヨハネスがレオンへ表情を歪めながら説明した。


(進む荷台から脱出したのであればアイラは怪我を負っている可能性が高い、、。まだそう遠くまでは行ってないだろうが怪我を負ってると考えると早く助けなければ。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


「なんだと?!アイラが?!ヨハネス、騎士団長。この男は騎士達に任せて我々はアイラを見つけるぞ!」


レオンがヨハネスの説明を聞き血相を変えて言った。


(くそっ!アイラが危険だ。早く見つけ出さなければ。もう二度とアイラを危険な目にあわせたくなかったというのに、、。)


レオンは拳を握りしめながら考えていた。


「「承知しました。」」


ヨハネスと騎士団長が言った。


レオンが残りの騎士達へ男を拘束し王宮の離宮にある地下牢へと連れ帰るよう指示するとヨハネスと騎士団長を連れて荷台が通ってきた道を引き返してアイラを探しに向かった。




レオン達がアイラを探しに向かった頃…


アイラは変わらず休まず歩いていた。


(それにしても私は何故どこかへ連れて行かれそうになったの?それに王宮の騎士たちが普通あんな風に簡単にやられるものなの?)


アイラは歩きながらふとそんな事を考えていた。


(私を荷台に乗せて荷台を運んでいたのは男一人だったわ。でも、男一人に騎士たちをあんな風にして私を襲えるものなの?、、そんな事よほどの殺し屋くらいしか不可能よね、、?)


アイラは何だか急におかしな状況だったことに気づきながら考えていた。


(ということは、、あの荷台を引いていた男の他に仲間がいるってことよね?それも王宮へ忍び込んだのも計画だったとか?)


アイラは更に考えていた。


(?!もしも、、プリラブMのイベントが発生したとしたら?そうだとしたら、、。もしも、ヒロインであるローズさんと間違えて私が襲われたとしたら?そして襲ったのがローズさんじゃなくて私だと知ったら?)


アイラは嫌な予感を感じて考えていた。


(そうだとしたら荷台を引いていたのが男一人だったのも納得いくわ。私はローズさんじゃないから男に処理を任せて残りの仲間は王宮へ戻ってローズさんを狙いに行ったに違いないわ。大変!ローズさんが危ないわ!)


アイラは血相を変えてそんな事を考えていた。


そして、アイラは足の痛みに耐えながら更に歩く速度を上げ進んだ。


アイラが急ぎ歩いていると急に人の気配を感じた。


アイラが気配を感じて周りを見渡した。


(気の所為だったかな、、。)


アイラは周りを見渡して誰も居ないのを確認してホッとした様子でそんな事を考えて前を見て歩き出そうとした時だった。


「えっ、、?」


アイラは前を見て思わず声が漏れた。


アイラの目の前には見知らぬ男が居た。


(誰、、?)


アイラは目の前の男を見て背中にひんやりとしたものを感じながら考えていた。


その時…


ガバッ!


目の前の男が迷いなくアイラの口を手で塞ぎアイラの身体を片手で抱き抱えた。


「んんんん!!」


アイラは突然の事に焦り慌てて声を出そうと必死になり暴れた。


しかし、男の力はとても強くアイラは男に抱えられたまま身動きが取れなかった。

男はアイラを抱えたまま道をそれて近くの茂みへと足早に歩き進んだ。


(この人は誰?何故私を?!)


アイラは男に抱き抱えられながらも混乱しつつそんな事を考えていた。


アイラがそんな事を考えていたら男が足を止めた。


(何故こんな場所で止まるの?)


アイラは足を止めた男に焦りながらそんな事を考えていた。


すると…


「ご苦労だったわね、、。」


急に女性の声がしてアイラを抱える

男へ言った。


男は女性に言われると無言のまま私をその場へ雑に離した。


「痛っ、、!」


アイラは男に雑に離された表紙に地面に体を打ち付けて声を漏らした。


「ふふ、、何て無様な姿なのかしら、、。」


アイラが痛がっているとアイラの目の前まで寄ってきた女性がほくそ笑む様に言った。


「えっ、、?ジェ、、シカ様?」


アイラは目の前の女性へ視線を移すと驚いた表情を浮かべて呟いた。


「どうして、、ここに、、?」


アイラは目の前のジェシカを見て混乱しながら言った。


(何故ここにジェシカ様がいるの?プリラブMのイベントが発生しているなら今頃はローズさんに何か危害を加えているかもしれないと思っていたのに、、。)


アイラは何故自分の目の前にジェシカがいるのか意味がわからずそんな事を混乱しながら考えていた。


「どうしてですって、、?あなたのせいに決まってるでしょう?本当なら別の場所へあなたを連れ出す様に指示していたのにあなたが勝手に逃げ出そうとしたからわざわざ私がここまで足を運んだというのに、、。」


ジェシカは表情を歪めながら不気味な笑みを浮かべてアイラを見下す様に言った。


「まったく、、どこまでも私を苛立たせる目障りな人なのかしら、、。」


ジェシカは苛立ち表情を歪ませながら憎悪のこもったかの様な目でアイラへ言った。


「どうして、、私なんかを、、?ローズ様ではなく?」


アイラは混乱を隠せないまま言った。


(ジェシカ様は何を言っているの?何故モブである私が悪役令嬢であるジェシカ様に?)


アイラは意味がわからずそんな事を考えていた。


「ローズ様、、?何故、私がローズ様を?意味がわからないわ。」


ジェシカは意味がわからいという表情で言った。


「それにしても薄汚いったらないわね、、。それなに、、あなたみたいな、、あなたみたいな女が殿下に、、。」


ジェシカは憎しみのこもった目でアイラへ言った。


「殿下、、?」


アイラは意味が分からず言った。


(殿下が私に何だというの?私はモブキャラなわけで私と殿下がどうこうなるなんてありえないのよ?なのにどうして私を?)


アイラはジェシカの言葉を聞きそんな事を考えていた。


「本当に白々しい人ね、、。あなたさえいなければ王太子妃の座は私のものだというのに、、。あなたさえいなければ、、。」


ジェシカは更に憎しみのこもった表情で言った。


「あの、、ジェシカ様は何か誤解をされている様です、、。殿下は私を王太子妃になどとお考えになるわけがありません。」


アイラは混乱しながらもジェシカの誤解を解こうと言った。


「ハッ!あれだけ殿下に近づいておいて白々しいにも程があるわ。今日この殿下の誕生日パーティーまでに何度もあなたを殺そうとしてもしぶとく生き残るから腹立たしくて仕方なかったわ。」


ジェシカは虫けらを見るようにアイラを見ながら言った。


「え、、?何度も殺そうと、、?まさか、、これまで私が危険な目にあったのは、、ジェシカ様が仕向けた事なのですか、、?」


アイラはジェシカの言葉を聞き驚きを隠せない表情で言った。


(まさか、、あの出来事すべてがジェシカ様の仕業だったなんて、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


「えぇ。あなたに初めて会った時からあなたの事は気に食わなかった。友達を庇う偽善的な行動も、あのヨハネス様に寄り添われる姿も、、。カイル様の妹なのも気に食わなかった。それだけでもあなたを見るたび虫唾が走る程苛立ったのに、、殿下にまで近づくなんて、、。」


ジェシカは表情を歪ませながら言った。


「私は幼い頃から王太子妃になる事を考えてきたというのに急に横から現れたあなたは殿下の横に立ち優しく微笑みかけられていた。私はこれまで一度も殿下にその様な笑み向けられたこともないのに。」


ジェシカは更に表情を歪ませて言った。


「殿下だけではなく王妃様にまでもあなたを気にかけ始めた、、。これ以上あなたがいると私は耐えられないのよ。」


ジェシカは怒りと憎しみに満ちた表情で言った。


「そんな理由で、、私以外の関係ない私の友達や孤児の子供達まで巻き込んだのですか、、?」


アイラはあ然とした表情で言った。


「あなたが死ぬなら周りがどうなろうと私には関係ないわ。権力も何もない人達に価値なんてないのよ。どうせ居ても居なくても一緒な存在よ。」


ジェシカは馬鹿にした様な笑みを浮かべて吐き捨てる様に言った。


(自分の欲望の為だけに関係ない人たちも巻き込んだの、、?私一人を殺す為に、、?信じられない、、。いくらゲームの世界だからって、、悪役令嬢だからってそんな事は許されないわ。ゲームの世界だろうと皆それぞれ生きてるんだから。)


アイラは怒りが湧き上がるのを感じながらそんな事を考えていた。


(ジェシカ様はプリラブMのジェシカと違ってそんなに悪い人じゃないって思ってたけど、、やっぱり悪役は悪役なのね、、。)


アイラはそんな事を考えていた。


「さぁ、、もうこれ以上あなたの顔を見るのも嫌だからそろそろあなたとはお別れよ、、。」


ジェシカは悪い笑みを浮かべて言った。


「一体どういう、、。」


アイラは嫌な予感がして言った。


「さぁ、、この女を連れて行くわよ、、。」


ジェシカはアイラの言葉を無視してすぐそばにいた男へ指示をした。


男はジェシカに言われると無言でアイラへ近づいた。


「いっ、嫌!」


アイラは自分の身が危険だと感じ言った。


(まずいわ。きっとこのまま連れて行かれたら確実に殺されてしまうわ、、。プリラブMの最終イベントの内容が分からないのもあって先が読めないからどうこの状況を切り抜けたらいいのか分からないわ。)


アイラは混乱気味にそんな事を考えていた。


その時…


「アイラ!」


ヨハネスが血相を変えてアイラ達がいる場所へ走り向かいながら叫んだ。


「ヨハ、、ネス様、、?」


アイラはヨハネスの声を聞き後ろを振り向き呟いた。


「それに、、殿下、、?」


アイラが更にヨハネスの隣にいた人物を見て呟いた。


(二人が助けに来てくたの、、?)


アイラは二人を見て泣きそうな表情を浮かべて考えていた。


「何故、、殿下とヨハネス様が?!」


ジェシカはヨハネスとレオンの姿を見て驚いた表情で言った。


「ヨハネス様!殿下!」


アイラは大きな声で叫んだ。


「チッ。こんな女の為に殿下までここまで来るなんて、、。」


ジェシカは怒りに満ちた表情でヨハネスとレオンの名前を呼ぶアイラを見て呟いた。


そして…


「アイラ・ガルバドールに耐えられない程の苦痛を与えよ!」


ジェシカは急に大きな声でアイラへ言った。


「えっ、、?」


アイラはジェシカの声を聞き驚き言うとジェシカの方を見た。


(何、、?)


アイラは状況が分からずそんな事を考えていた。


「何故?!何故何も起きないの?!」


ジェシカはアイラを見て混乱気味に言った。


「アイラ・ガルバドールに耐えられない程の苦痛を与えよ!」


ジェシカはもう一度アイラに向かって大きな声で言った。


しかしアイラには特に何も起きなかった。


(何なの?)


アイラは状況が把握出来ず戸惑い気味にそんな事を考えていた。


「何故何も起きないのよ!」


ジェシカは表情を歪めながら言った。


「チッ、、。」


ジェシカは舌打ちしながらアイラを睨んだ。


そして…


「立ちなさい!」


ジェシカがアイラの髪の毛を鷲掴みにしながら言うとアイラを無理矢理立たせた。


「キャッ、、。」


アイラが髪の毛を捕まれ声を漏らした。


「アイラ!」


ヨハネスがそんな状況を見て言った。


そしてヨハネスとレオン、騎士団長はアイラ達のいる場所まで辿り着いた。


「ジェシカ嬢、、アイラを離せ。こんな事をしても無駄だ。君には何も出来ないのだ。」


レオンはジェシカを冷たく睨みながら言った。


「君が発動していようとした闇魔法も発動はしない。」


レオンは更にジェシカを睨みつけ言った。


「何故それを?!」


ジェシカは驚き言った。


(闇魔法、、?プリラブMのストーリーに闇魔法どころか魔法なんてものも出てこなかったのに何故、、?)


アイラはレオンの言葉を聞き驚きそんな事を考えていた。


「君には私が尾行をつけていた。君がマダムの店に行った日にすでにマダムに会いマダムから君が闇魔法を使おうとしている事はすでに吐かせている。それにローズ嬢伝えにアイラへ闇魔法のかかった物を渡した事もすでに把握済で闇魔法のかかった方の髪飾りとそうでない物は事前にカイルにより取り替えていたからな。」


レオンが淡々と言った。


「そんな、、。」


ジェシカは信じられないという表情で呟いた。


(あの髪飾りに闇魔法がかけられていたの?あれはジェシカ様がローズさんに渡したの?きっとローズさんは何も知らずに、、ジェシカ様の計画に巻き込まれていたのね、、。私のせいで、、。)


アイラはレオンの話を聞きそんな事を考えていた。


「もう君の悪事は全て明らかになっているのだ。もう諦めてアイラを離すんだ!」


レオンは怒りに満ちた表情でジェシカへ言った。


「こんな女がいるから、、。」


ジェシカはボソりと呟いた。


そして…


「例のものを貸しなさい、、。」


ジェシカはアイラの髪の毛を引っ張ったまま目をすわらせながらすぐそばにいた男へ言った。


すぐさま男がジェシカへあるものを手渡した。


「何をする気だ!」


そんな二人のやり取りを見たヨハネスが思わずジェシカに勢いよく近づきながら怒りに満ちた表情で言った。


「それ以上近づかないで下さい!それ以上と近づくとこんな女の命は保証できませんよ?」


ジェシカはそんなヨハネスへ勢いよく言ったかと思えば悪い笑みを浮かべてアイラの首元にナイフを近づけ言った。


「っ?!どういう意味だ?」


ヨハネスはアイラの首元にナイフを近づけられたのを見てグッ眉間にしわを寄せながら言った。


レオンも同じくアイラへ近づこうとして足を止めた。


「このナイフには猛毒が塗ってあります、、。」


ジェシカはにやりと微笑みながら言った。


ジェシカの言葉を聞いたヨハネスとレオンは言葉を失いかたまった。


(猛毒、、?)


アイラはジェシカの言葉を聞きゾッとしながら考えていた。


「万が一の事を考えて用意しておいて正解でしたわ、、。こんなところで役に立っだなんて、、。」


ジェシカはにやりと悪い笑みを浮かべて言った。


そんなジェシカを見て密かに剣を抜こうとしていたヨハネスを見えジェシカがヨハネスを睨んだ。


「剣をおおさめください、、。ヨハネス様が剣を抜かれ私に向けたと同時に私はこの女を斬りつけます。このナイフに塗ってある猛毒は即効性がある上に少量でも人一人死んでしまう程です。」


ジェシカはヨハネスに冷たい視線を向けながら言った。


「ヒス、、こちらへ、、。」


ジェシカは自分の方へ近づく様に男へ指示をした。


すると男が無言でジェシカへ近づいた。


そして…


ザッ!


ジェシカは近づいてきた男の腕をナイフでザッと軽く切りつけた。


ジェシカの行動にアイラを含めたその場にいた皆が目を疑った。


目を疑った同時に男はその場へ倒れた。


「ガハッ、、。グッ、、カハッ、!」


男が急に苦しみ出した。


そして…


「カハッッ!!」


男は大量の血を吐き苦しみながら息絶えた。


(死んでしまったの、、?あんな軽く腕を切っただけで、、?)


アイラは倒れる男を見てゾットした表情を浮かべて考えていた。


「正気か?!その男は手下とはいえ君に協力した者なのだろ?!」


レオンが思わず驚愕した表情でジェシカへ言った。


「えぇ。彼は我が公爵家に仕える私の犬です。だからこの猛毒がどれ程の威力か証明する為に死んでもらった。私の犬なのですから私がどうしようと私の勝手です。」


ジェシカは何の感情もない表情で男を見て言った。


(狂ってるわ、、。)


アイラはジェシカを軽蔑する目で見ながら言った。


「何と恐ろしい女なのだ、、。」


レオンはジェシカを軽蔑する目で見ながら言った。


「恐ろしいだなんて、、。酷いことを仰りますね、、。私は私のいるべき場所を元に正そうとしているだけですよ?」


ジェシカはニヤリと悪い笑みを浮かべて言った。


「お三方もご覧になったかと思いますがこのナイフに塗られた猛毒は少しかするほどでもすぐに毒が回ってしまうのです。このナイフでこの女の首をかすめたらどうなるかおわかりですよね?」


ジェシカは目をすわらせながらアイラの首元にナイフを近づけレオン達へ言った。


「やめろ!」


レオンが血相を変えて言った。


(まずい、、。ジェシカ嬢は本気だ。)


レオンがそんな事を考えていた。


(あの女に今は何を言っても無駄だな。完全に狂ってる。しかし、、このままだとアイラが危険すぎる。こちらの出方によってはあの女は本当にアイラにナイフをかすめかねない、、。)


ヨハネスは目の前の状況を悔しさともどかしさが入り交じりながら考えていた。


「、、何が望みだ?」


レオンがジェシカを睨みつけながら言った。


「私の望みはただ一つです。私を王太子妃にして頂けますよね?本日そのことを皆の前で正式に公表して下さい。もちろん陛下と王妃様へもきちんとお話下さい。私の望みをこの状況で断るつもりはありませんよね?」


ジェシカはニヤリと微笑みながら言った。


(グッ、、やはりそうきたか。この要求を承諾しなければジェシカ嬢はアイラを傷つけるだろう、、。それにこの場で適当な対応をしてもアイラが危険だ。)


レオンはそんな事を考えていた。


「それから、、ヨハネス様にはこの女に関して私が関与してきた事をもみ消して頂きます。グラマー公爵家のお力があれば簡単ですよね?」


ジェシカはニヤリと悪い笑みを浮かべてヨハネスへ言った。


(やはり私にも要求してきたか、、。ありえない要求だ。しかし、ここで変な言い回しをするのはまずいな。)


ヨハネスはそんな事を考えていた。


(何て自分勝手で無茶な事をいうの?そんなことが許されるとでも?でも、私がこんな状況だからお二人も騎士団長も下手に動けないのよね、、。私のせいで、、。)


アイラは怒りと申し訳なさの感情が混じりながらそんな事を考えていた。


(それに、私のせいでローズさんも悪役令嬢に故意じゃないとしても加担させられてしまったしその事できっとローズさんは自分を責めてしまうわ。それに、、お兄様、、家族も私のせいで不理屈な条件をのまないといけない状況を作られてしまうわ、、。)


アイラは胸が締め付けられながらそんな事を考えていた。


(私のせいでカミラや孤児の子供達にも危ない目にあわせてしまったし、、。)


アイラは自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになりながら考えていた。


(皆が私のせいで悔しく辛い思いはして欲しくないわ。これ以上悪役の好きにさせる訳にはいかない。)


アイラはそんな事を考えていた。


(、、前世で何かの刑事映画を見た時に犯人が人質を取ったとしてもその人質が負傷したら犯人にとっては邪魔になるしその負傷した瞬間を隙をついて犯人を確保してるシーンがあったわ。)


アイラはふと前世での事を思い出してそんな事を考えていた。


(一か八かの選択になるかもしれない。いや、、ほぼ死ぬが確定する選択かもしれない、、。だけど悪役令嬢ジェシカの悪事はここで終わらせないと皆が不幸になる。だから、、。)


アイラはグッと拳を握りしめ考えていた。


(第二の人生でプリラブMの世界に転生して最初は混乱したけどモブキャラ生活も楽しかった、、。モブキャラのお陰で大好きなハンドメイドも沢山出来て沢山の人を笑顔にする事が出来た。優しい家族に恵まれ優しいヒロインと仲良くなれて恐れ多くも攻略対象者とも仲良く過ごす事が出来た、、。これだけ楽しめたんだから皆を助ける為なら死んでも悪くないよね。)


アイラは転生後の生活を思い出しながらそんな事を考えていた。


(ただ、、一つだけ悔いが残るとしたら前世も含め初めての恋が何もならず終わることかな、、。せめてヨハネス様に自分の気持ちだけは伝えたかったな、、。)


アイラはヨハネスに視線を移して考えフッと笑みを浮かべて考えていた。


(?アイラ、、?)


その時、ヨハネスがアイラと目が合った。


そして…


「ジェシカ様、、。悪事には終止符がやってくるのです。いつまでも悪人がほくそ笑む事はできません。悪事をはたらいた人はしっかりと罪を償わないといけないのです、、。」


アイラがジェシカに聞こえる様に呟いた。


「は?何を言っているの?」


ジェシカはアイラの言葉を聞き苛立った表情で言うと掴んでいるアイラの髪の毛を更に引っ張り上げた。


「うっ、、。」


アイラは思わず声を漏らした。


「「アイラ!」」


ヨハネスとレオンがその姿を見て焦った表情で言った。


「、、殿下、ヨハネス様、、。ジェシカ様の言いなりになる必要はありません。ジェシカ様の悪事はここまでです。必ずジェシカ様やジェシカ様に加担した人達を捕まえ罪を償わせてください。」


アイラは笑みを浮かべながらヨハネスとレオンへ言った。


「アイラ、、?何を、、。」


ヨハネスが戸惑いながら言った。


「アイラ、、一体、、。」


レオンも戸惑いながら言った。


「黙りなさい!あんたの事は殿下とヨハネス様が首を縦に振った瞬間に殺してやるから。」


ジェシカはアイラの耳元でにやりと微笑みながら呟いた。


「いいえ、、。あなたの計画はここで終わりです。なぜなら、、。」


アイラがフッとどこか勝ち誇った笑みを浮かべてジェシカへ言った。


そして…


アイラは自ら首元にナイフの刃をかすらせて切った。


「なにを?!」


ジェシカはアイラの予想外の行動に驚き反射的にナイフをアイラの首元から離しアイラの髪の毛から手を離した。


「「アイラ!!」」


目の前の状況を見てヨハネスとレオンは血相を変えて叫んだ。


アイラは髪の毛から手を離されたと同時にその場へ倒れた。


ジェシカは予想外の状況の把握が出来ずその場へ立ち尽くした。


その隙を見逃さなかった騎士団長が素早くジェシカに駆け寄りナイフを捨てジェシカを捕らえた。


「離しなさい!!」


ジェシカは体を地面に押さえつけられ捕らえられると大声で叫んだ。


しかし騎士団長はしっかりとジェシカの体を押さえつけていた。


(身体が熱い、、。)


倒れたアイラは身体がみるみる熱くなるのを感じながら考えていた。


「「アイラ!」」


そんなアイラの元へヨハネスとレオンが駆けつけた。


そして、ヨハネスがアイラの身体を起こした。


「アイラ!しっかりするんだ!アイラ!」


ヨハネスが尋常ではない取り乱し方でアイラへ声をかけた。


「アイラ!しっかりするんだ!何故、、こんな無茶を、、。」


レオンが今にも泣いてしまいそうな表情でアイラへ言った。


「うっ、、。カハッ。必ず、、ジェシカ、、様の、、罪を、、全て、、暴いて、、くだ、、さいね、、。」


アイラは苦しみながらもヨハネスとレオンへ言った。


「あぁ。あぁ。もちろんだとも。必ず罪を償わなわせる。アイラも一緒に罪を償わなわせよう。だからしっかりするんだ。」


レオンは必死にアイラへ言った。


「ガハッ、、!」


アイラは口から血を吐いた。


「「アイラ!」」


その姿を見たヨハネスとレオンが血相を変えて言った。


「いい気味だわ!私から私のものに手を出すから天罰が下ったのよ!ハハハハハハ!ハハハハハハ!なんて最高の光景なのかしら!」


アイラの血を吐き苦しむ姿を見たジェシカが狂ったように笑いながら言った。


「黙れ!」


そんなジェシカに騎士団長は更に顔からジェシカを地面に強く押し付けた。


「大丈夫だ!すぐに助けてやるから!」


ヨハネスは泣きそうな表情を浮かべてアイラへ言った。


「カハッ、、。ヨハネス、、様、、。ヨハネス、、様、、に伝えて、、おきたい、、ことがあるのです、、。実は、、私は、、ヨハネス様の、、ことが、、。」


アイラは血を吐き苦しみながらもヨハネスへ言った。


しかし…


アイラは最後まで言う事が出来なかったのだった。


「「アイラーーーー!」」


その場にヨハネスとレオンの声だけが響いたのだった。


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