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30.モブ、攻略対象者のパーティーへ行く

この日、アイラは孤児たちのいる教会へ訪れていた。


新しく作った赤ちゃん用品を持っていく為と前回訪問した際に孤児たちと約束したお菓子作りを一緒にする為に訪問していた。


アイラは教会に着くなりシスター・ラムの元へ向かった。


アイラはシスター・ラムの元へとやってくるとシスター・ラムと一緒にいる人物に驚いた。


「殿下…?!」


アイラは思わず驚き言った。


「ん?アイラじゃないか。」


レオンがアイラを見て微笑みながら言った。


シスター・ラムと一緒にいたのはレオンだった。


「殿下にご挨拶申し上げます。」


アイラはレオンの元へ行くと挨拶をした。


「あぁ。」


レオンは微笑みながら言った。


「シスター・ラムもこんにちは。」


アイラはシスター・ラムにも挨拶をした。


「アイラ様…ようこそお越し下さいました。」


シスター・ラムはアイラの元気そな姿を見て嬉しそうに言った。


「アイラ様…その後体調の方はいかがですか?」


シスター・ラムが言った。


「手紙にも書かせて頂きましたがお陰様ですっかり元気になりいつも通りの生活を送っていますよ。こうして教会へも足を運べましたし。」


アイラは笑顔で言った。


あの教会での放火事件後にアイラは教会宛に手紙を出して教会の皆にいらない心配をかけたくないと自分の状況を伝えていたのだった。


「そうですか…。こうして直にアイラ様のお姿を拝見できてホッとしています…。あの時は本当に…申し訳ありませんでした…。そして子供達を助けて下さりありがとうございました。」


シスター・ラムはとても申し訳ない表情で言った。


「シスター・ラム…本当にもう気にしないで下さい。こうして私も無事だったわけですから…。ね?」


アイラはそんなシスター・ラムを見て慌てて言うもすぐに優しい笑みを浮かべ言った。


「はい。ありがとうございます。」


シスター・ラムが言った。


(アイラ…君は本当に。)


そんな二人のやり取りを見ていたレオンはそんな事を考えていた。


「アイラは今日はどのような理由でここへ?」


レオンがアイラへ言った。



「今日は新しい委託販売用として作った赤ちゃん用品をこちらへも寄付物して持ってきたのです。それと…以前子供達と約束していたお菓子作りを一緒にしようと思いまして。」


アイラが説明した。


「そうなんだね。」


レオンは優しく微笑みながら言った。


「はい。殿下はどうされたのですか?」


アイラがレオンへ訪ねた。


「あぁ。私は母上の代わりに燃えてしまった納屋の建て直しの最終確認に来たんだよ。」


レオンが言った。


「え?あれからそれほど月日が経っていないというのにもう新しい納屋が完成間近なのですか?!」


アイラはレオンの言葉に驚き言った。


「あぁ。母上が自分が近くにいたにも関わらずあの様な事になってしまったことを気にしておられてな。少しでも早く新しい納屋を造りたいと仰ってな。今度新しく建てている納屋は母上の提案で何かあった際子供でも脱出できる為の隠し扉も作ったんだよ。隠し扉は教会の者にしか場所を教えないつもりだよ。」


レオンは少し困り笑みを浮かながら言った。


(母上は、あの事件の後にえらく後悔されていたからな。王妃である自分が居ながら孤児の子供達やアイラを危険な目に遭わせてしまったことを。それに加えて母上もだが…私もジェシカ嬢の起こした今回この放火事件については腸が煮えくり返るどころではない程の怒りを覚えているからな。あの時、ヨハネスがアイラを救出していなければ今こうしてアイラと顔合わせて話すことすら出来ていなかったかもしれないと思うと本当は今すぐにでもジェシカ嬢の首根っこを鷲掴みにしたいくらいだならな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「王妃様がですか。」


アイラが言った。


(あの事件は王妃様のせいではないのに。王妃様はよほど気にされているのね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「王妃様がそこまで考えて造った納屋ならば今後は安心ですね。」


アイラが微笑みながら言った。


「あぁ、そうだな。」


レオンも微笑みながら言った。


(きっとアイラは本当に心からそう思ってくれているのだろうな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「そうだ。もし良ければ私もお菓子作りに参加させてもらってもいいかい?」


レオンが笑みを浮かべてアイラへ言った。


「殿下もですか?!」


アイラはレオンの予想外の言葉に驚き言った。


「あぁ。基本母上が教会へ訪れる事が多いが私も幼い頃より母上に連れられよく教会へ来ては子供達と遊んでいたんだ。それは今も変わらないがここ数ヶ月は王太子の仕事が立て込んでいてなかなか子供たちと過ごす時間が持てなかったからな。」


レオンが言った。


(あぁ、そういえばそうだったわね。プリラブMの中でもレオンは王妃様と共に教会へご奉仕をしにきていたからローズと子供達の話をしたのも二人が結ばれる展開の鍵になるって攻略本に書かれてたっけ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そうなのですね。では、殿下も一緒に子供達とお菓子作りをしましょう。きっと子供達も喜びますよ。」


アイラはにこりと微笑み言った。


「ありがとう。」


レオンは嬉しそうな笑みを浮かべ言った。


(子供達との時間を過ごすのも有意義な時間だがアイラと過ごせると思うと嬉しくてたまらないな。ガルバドール侯爵と話をしてからアイラに会うのは初めてだな。)


レオンはそんな事を考えていた。


それからアイラとレオンは子供達と約束していたお菓子作りを始めた。

この日アイラはスイートポテトを作ろうと思っていた。


さつまいも以外の材料はアイラがしっかりと持参していた。


そして…アイラとレオンと子供達はとても楽しそうにお菓子作りをしていた。


そしてスイートポテトが完成して皆で楽しく美味しく食べた。


お菓子を食べた子供達はお腹いっぱいになったのかお昼寝を始めた。


シスター達の寝かしつけを手伝い終わったアイラはお礼を言うためにレオンを探していた。


するとアイラは裏庭にある木の下の椅子に座っていたレオンを見つけた。


「殿下。」


アイラは座っていたレオンへ声をかけた。


「アイラか。」


レオンはフッと微笑みながら言った。


「子供たちは?」


レオンがアイラへ尋ねた。


「全員気持ちよさそうに寝ました。」


アイラは微笑みながら言った。


「そうか。こちらに来て座るといい。」


レオンは自分の隣の椅子を手差しながら言った。


「はい。では、失礼致します。」


アイラは頷きながら言うとレオンの隣へと座った。


「殿下、今日はありがとうございました。色々とお手伝いまでして頂いて…。子供達…殿下と一緒にお菓子作りするのをとても楽しいんでいました。私も凄く楽しかったです。」


アイラは嬉しそうに微笑みながら言った。


(まさか、モブの私が攻略対象者…しかも王太子と一緒にお菓子作りをするなんてね。プリラブMでは絶対にありえない一コマだよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「いや、こちらこそお礼を言わせてくれ。今日はありがとう。私から一緒にお菓子作りをさせてくれて急な事を言ったにも関わらず快く受け入れてくれて。お陰でとても貴重な時間だったし楽しかったよ。足手まといになった場面も多々あったがな。」


レオンは優しく微笑みながら言った。


(まさか、アイラと一緒にお菓子作りを出来るなんて夢にも思わなかったからな。王太子である私がお願いすればアイラは断れない状況だと分かっていながらあえて願い出たが…アイラは心から快く受け入れてくれたからな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「いえ、そんな!足手まといだなんて!むしろ、お菓子作りが初めてだとは思えない程手際が良くて驚いたんですよ?」


アイラは首を横に振りながら慌てて言った。


(さすが攻略対象者よ!何でもやりこなせるのはもはや攻略対象者の特別チート感満載だったもの。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ハハ…本当かい?私が王太子だから気を使ってそう言っているのではなくて?」


レオンは笑いながらニヤリとして言った。


「も、もちろん本当の事ですよ!」


アイラ頷きながら真剣に言った。


(そんな真剣な顔をして。可愛いな。)


レオンはアイラを見てそんな事を考えていた。


「ハハハ…そうか。ありがとう。しかし、お菓子作りというのは手間がかかるがやり甲斐のある作業だな。」


レオンは笑顔で言った。


「はい!そうなのです!今日みたいに皆で楽しみながら作れるお菓子はまだまだ沢山ありますよ!」


アイラは笑顔で言った。


「あ!そうだわ。殿下…これを。」


アイラは思い出した様に手に持っていた包み袋をレオンへ差し出しながら言った。


「ん?これは?」


レオンは差し出された包み袋を見て不思議そうに言った。


「子供達が王妃様の分にと作ったスイートポテトです。子供達も王妃様が新しい納屋を建てて下さった事を喜んでいてそのお礼にと。手作りの物ですが良ければ王妃様にお渡し下さい。」


アイラが優しく微笑みながら言った。


「子供達が母上へか。わかった。母上には子供達からと伝えて渡しておくよ。」


レオンは笑顔で言った。


「はい。ありがとうございます。子供達は王妃様が来られのを楽しみにしているともお伝え下さい。」


アイラは微笑みながら言った。


「あぁ。伝えておくよ。」


レオンが微笑みながら言った。


「……そうだ。私の誕生日パーティーの招待状は届いたかな?」


レオンは少し考え込んだ後にアイラへ尋ねた。


「あ、はい。届きました。ガルバドール侯爵家とは別で殿下ご自身から届いたので最初は何かの間違いかと思い驚きましたが。」


アイラは少し戸惑いつつ言った。


「驚かせて申し訳なかったね。でも、今回のパーティーの招待状は私個人としてアイラへ送りたいと思っていたのからね。」


レオンは微笑みながら言った。


(アイラへの求婚の話は保留という形になったが私個人がアイラ個人へ招待状を送ることは侯爵からの許可は取ったしな。このパーティーで少しでもアイラへ私の気持ちが自然に伝わればと思ったからな。私が自ら自身の大切なパーティーに女性を招待しようなどと考えたのは後にも先にもアイラだけだろうな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「しかし、私などに殿下自身が招待状などを送って大丈夫なのでしょうか?それに、ご存知かと思いますが…私は社交界デビューをまだしてませんので今回のパーティーで初めて社交界デビューする事になるので上手く振る舞えるか心配でして。」


アイラは困った表情で言った。


(そもそも、プリラブMのストーリーをそこまで進めてなかったから定かでないけど王太子の誕生日パーティーなんてどう考えてもヒロインのイベントだと思うんだけどな。それなのに何故モブである私が招待状を?それにモブはモブでしかないから社交界デビューなんてプリラブMではそんな場面ある訳なかったんだもんね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「大丈夫さ。それにローズ嬢にも私自身が招待状を送っているから心配しなくてもアイラだけではないから安心するといいさ。それに社交界デビューというのは誰でも初めは緊張して不安になるものだ。しかし、いざデビューしてみれば呆気ないものさ。」


レオンは微笑みながら言った。


(正確にはローズ嬢とカイルを…だが。そこはあえて言わなくてもいいだろう。ローズ嬢にも招待状を送ったと知ったことで少しはアイラが安心するだろうからな。社交界デビューの件も私が絶対に最高のデビューにしてやるつもりだしな。)


レオンはそんな事を考えていた。


「ローズさんにも送られたのですね。それを聞くと何だか安心しました。」


アイラはホッとした表情で言った。


(やっぱりヒロインに招待状を送ったのね。ということは…やっぱりこのパーティーはヒロインのイベントに違いないわ。だけどそうなるとお兄様はどうなるんだろう。)


アイラはそんな事を考えていた。


「あぁ。だから当日はそんなに緊張せずリラックスして来るといいさ。」


レオンは優しく微笑みながら言った。


(記念すべき社交界デビューのドレスは私が贈るとしよう。直接私からだと聞くと着てくれないかもしれないからそこは侯爵の力を借りるとしよう。)


レオンはそんな事を考えていた。


「わかりました。」


アイラは頷きながら言った。


(パーティーがイベントだとしたらジェシカには注意を払っておく必要がありそうよね。きっと殿下がローズさんに招待状を送ったと知ったら黙っていないはずだしイベントなら悪役令嬢であるジェシカが何も仕掛けてこないはずないもんね。私はそこまでストーリー進めてなかったからどんな流れになるかわからないけど注意しておくことに損はないもんね。)


アイラはそんな事を考えていた。






そして、あっという間にレオンの誕生日パーティー当日が訪れた。


アイラは朝からメイド達に支度をされるがままにされていた。


ドレスはレオンがアイラに贈ったものだったがアイラは父であるガルバドール侯爵からの贈り物だと思っていた。

ガルバドール侯爵がレオンからそうアイラへ伝えておく様にお願いしていたからだった。


「お嬢様出来ましたよ。最高の仕上がりです!」


アイラにドレスを着させたメイドがやりきった感満載のどや顔で自信満々に言った。


「わぁ〜。凄いわね。」


アイラは鏡に映る自分を見て驚いた表情で言った。


(モブとは思えない仕上がりだわ。)


アイラは鏡に映る自分を見てそんな事を考えていた。


「朝早くから支度ご苦労様。ありがとう。」


アイラはメイド達へ笑顔で言った。


「いえ!これは私達の喜びでもありますから!ようやく!ようやく!お嬢様をこうして着飾る事が出来て私達がどれ程嬉しいか。」


メイドを感動した表情で言った。


周りのメイド達も"うんうん"と頷いた。


「そ、そうなのね。何だかよく分からないけど良かったわ。」


アイラは若干苦笑いを浮かべて言った。


(モブの私なんて着飾ったって仕方ないのに。こんなに目を輝かせてくれるなんてね。何だか申し訳ない気持ちになるわね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「お嬢様のリクエスト通りローズ様とお揃いの髪飾りも素敵につけておきました。」


メイドがどや顔で言った。


「わぁ本当だわ!ありがとう!」


アイラは鏡で髪飾りを確認して嬉しそうに言った。


(今日はローズさんも同じ髪飾りを着けてくるってお兄様が教えてくれたからお揃いで着けれるわ。ヒロインとお揃いなんておこがましいことだろうけどまたとないチャンスだから今回はお揃いにさせてもらおう。)


アイラは嬉しそうにそんな事を考えていた。


そして、アイラは家族と共に王宮へ向かった。


王宮へ到着するとそこには沢山の貴族の馬車が停まっていた。


(さすがは王太子の誕生日パーティーね。国の全貴族が集まってる様だわ。)


アイラは馬車から降りるなり周りを見て圧倒されつつそんな事を考えていた。


そして馬車から降りたアイラは家族皆で王宮内にある大広間へと移動した。


「わぁ〜広い。」


アイラは大広間に着くとその広さに驚き呟いた。


「アイラはここへは初めて来たからな。驚くのも無理はないさ。」


スミスがアイラの反応を見てクスりと笑いながら言った。


「はい。想像していたよりも遥かに広いです。」


アイラは小さく頷きながら言った。


(プリラブMのゲームストーリーにこの大広間は出てきたんだろうけどそこまでストーリー進めれてなかったからどんな感じなんだろうって楽しみにしてたけど。これは想像以上だわ。さすがヒロインと王太子が最終的に結ばれる場所だけあるわね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「アイラにとっては今日が初めての社交界デビューだから緊張するかもしれないけれど楽しむ事も大切よ。」


マリが笑顔でアイラへ言った。


「はい。」


アイラは微笑みながら言った。


(モブの私なんかがこんな素敵な場所へ来れたのだからそれだけでテンションは上がってるわ。本当に私はプリラブMの世界にいるんだわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「アイラ、これからローズを出迎えようと思うが一緒に来るかい?」


カイルがアイラへ尋ねた。


「はい。ご一緒させて下さい。」


アイラは笑顔で言った。


(ローズさんもお揃いの髪飾りを着けているから早く見せ合いをしたいもんね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「父上、母上、アイラも一緒に連れて行ってもよろしいですか?」


カイルがスミスとマリへ尋ねた。


「あぁ。だが、ローズ嬢と会えたら一旦戻ってこい。じきに陛下達がこちらへ来られるだろうから。」


スミスが言った。


「分かりました。」


カイルが頷きながら言った。


「では行こうか?」


カイルがアイラへ言った。


「はい。」


アイラは笑顔で言った。


そしてアイラとカイルは馬車が停車する場所へと向かった。


二人が歩き向かっていたその時…


「アイラ!」


ヨハネスがアイラの名前を呼びながらアイラの方へ向かってきた。


「ヨハネス様。」


アイラはヨハネスを見て言った。


(うわぁ!今日のヨハネス様はまた一段と素敵だわ。パーティー仕様なのか髪の毛もまとめられているからかいつもとガラリと雰囲気が変わるわね。さすが攻略対象者だけあってお兄様もそうだったけどヨハネス様も輝いてるわ。)


アイラはヨハネスを見てドキっとしつつそんな事を考えていた。


「ヨハネス様は今到着されたのですか?」


アイラはにこりと微笑みながらヨハネスへ言った。


「あぁ。ちょうど今到着したところだよ。アイラたちは?」


ヨハネスが頷きながら言った。


「私達は少し前に着きました。ちょうど今ローズさんをお兄様と一緒に出迎えに行こうとしていたところです。」


アイラが言った。


「そうなんだね。」


ヨハネスが言った。


「アイラ、私はローズを出迎えに行ってくるからアイラはヨハネスと先に会場に戻ってるといいよ。」


カイルが馬車停めの場所をチラリと見ながらアイラへ言った。


そんなカイルを見たヨハネスが何かを察したかの様にヨハネスもチラリと馬車停めの方を見た。


「え?ですが。。」


アイラは少し戸惑いつつ言った。


「ローズと合流したら私もすぐにローズと共に会場に戻るからローズに会えるさ。」


カイルは優しくアイラへ言った。


「そうですか?分かりました。では、ヨハネス様達と先に会場に戻っていますね。」


アイラは頷きながら言った。


(早くローズさんにこの髪飾りをつけてるところを見てもらいたかったんだけどな。でも、お兄様がローズ様を連れてきてくれるなら会えるものね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ヨハネス、すまないがそういう事だからアイラをお願いできるか?」


カイルがヨハネスへ言った。


「あぁ。もちろんだとも。」


ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。


カイルが頷いた。


ヨハネスも頷いた。


二人は何かに気づきお互い無言の合図を送るかの様に頷いたのだった。


そしてカイルは1人馬車停めの方へ向かった。


「さぁアイラ行こうか?」


ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。


「はい。」


アイラは微笑み頷きながら言った。


そして、アイラ達は一足先に会場へと戻ったのだった。


「アイラ、私が贈ったネックレスを身に着けてくれたんだね。」


会場に到着するとヨハネスはアイラの首元を見て嬉しそうに微笑みながら言った。


(私が贈ったものを身に着けてくれているのを見るだけで心が満たされるし嬉しくて仕方ないな。こんなにも大勢の前でアイラは私の大切な人だと知らしめることもできる。)


ヨハネスは満足気にそんな事を考えていた。


「は、はい。いつもは大切にしまっているのですが今日は特別な日ですし着けて行こうと思いましたので。それにドレスとも合っていましたので。」


アイラはドキッとしながら少し照れた様に言った。


(やっぱり気づいてたんだわ。今日はこのネックレスを着けると決めたてから。何だかいざヨハネス様の前で着けるのは小っ恥ずかしい気がするけど嬉しい気持ちが溢れ出てしまいそう。)


アイラは照れながらそんな事を考えていた。


「こんな大切は日に身に着けてくれて嬉しいよ。」


ヨハネスは微笑みながら言った。


「ところで…今日のドレスとても素敵だね。」


ヨハネスが優しく微笑みながら言った。


「本当ですか?今日の為にお父様が贈って下さったドレスなのです。普段はこの様なドレスはあまり着ないので少し照れくさいのですがせっかくお父様が贈って下さったので。ヨハネス様にその様に言って頂けて良かったです。」


アイラは更に照れた様に言った。


(モブキャラのあたしはこんな綺麗なドレスなんて着ることなんてなかったし実際着ても何か落ち着かなかったけどヨハネス様に褒めて貰えると着てきて良かったって思えるな。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ガルバドール侯爵が贈ってくれたドレスか。侯爵はアイラに似合うドレスをよく知っているみたいだね。さすがはアイラのお父上だな。」


ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。


(ガルバドール侯爵から?いや…このドレスは間違いなく殿下が贈ったものだろう。アイラは侯爵からだと思っている様だがシンプルなデザインだというのに使っている生地や装飾されている小さな宝石はどれも一流品だ。こんなに一流品ばかりをあつらえてドレスを作る事が出来るのは王族である殿下だろうからな。アイラの事だから私からだといってドレスを贈ったら戸惑うだろうと思い贈るのを我慢したというのに殿下に先を越されるとはな。殿下もそれ程にアイラの事を本気というわけか。)


ヨハネスはアイラのドレスを見ながらそんな事を考えていた。


「はい。」


アイラは嬉しそうに微笑みながら言った。



しばらくしてカイルとローズも会場へやってきた。

お互いに挨拶をすると…


「アイラ!その髪飾り!」


ローズはアイラの髪飾りに気づき表情をパァッと明るくさせて言った。


「あっ、お気づきですか?そうです。今日はローズさんに頂いた髪飾りをつけてみたのです。」


アイラは少し照れくさそうに微笑みながら言った。


「とても似合っているわ。」


ローズは嬉しそうに微笑みながら言った。


「本当ですか?良かったです。」


アイラは嬉しそうに言った。


「ローズさんも着けてきて下さったのですね。とてもお似合いです。」


アイラは嬉しそうに微笑みながら言った。


「そうなの。もしかしたらアイラが着けてきてくれるかもと思ったの。本当に着けてきてくれて嬉しいわ。」


ローズは嬉しそうに微笑みながら言った。


「私も同じことを考えていたので私も嬉しいです。」


アイラも嬉しそうに微笑みながら言った。


(まさかプリラブMのヒロインとお揃いのヘアアクセを着けれる日が来るなんて。こんなに嬉しい事はないわ。モブの私がこんなに幸せな気持ちになれる事が恐れ多いわ。)


アイラは嬉しそうにそんな事を考えていた。


その時…


「国王陛下ならびに王妃殿下ならびに王太子殿下のご入場です。」


会場に声が響いた。


そして会場の扉が開くとレオン達が入ってきた。


(うわぁ。今日の殿下もまた一段と輝いてるわね。お兄様とヨハネス様の更に上をいく感じだわ。やっぱりさすがはヒロインの相手役って感じだわ。プリラブMのこの場面までは進められてなかったけどこうしてこの場面を拝む事ができて嬉しいわ。)


アイラは入場してきたレオンを見てそんな事を考えていた。


(だけど今日のこの殿下の誕生日のパーティーは恐らくイベントの1つだよね。最終イベントなのかはそこまでストーリー進めてなかったから分からないけどこんな大々的にパーティーなんだしイベントなのは間違いないと思うんだけどな。)


アイラはふとそんな事を考えていた。


(だとしたら…ジェシカ様がローズさんに何かしら仕掛けてくる可能性もあるってことよね?恐らくは最終ストーリーに近づいてるだろうしそうなると悪役令嬢であるジェシカ様が動くのは間違いない。ローズさんの周辺を気をつけて見ておかなきゃだわ。ローズさんを危険な目に遭わせたくないもんね。)


アイラはローズの方を見ながらそんな事を考えていた。


その後、貴族達が次々とレオンへ誕生日のお祝いを言って回った。


アイラもガルバドール侯爵家として挨拶をした。


挨拶した後はアイラは1人人気のないバルコニーへやって来て外を眺めながら立っていた。


(貴族のパーティーって凄く疲れるわ。皆あんなに色々な人と入れ替わり立ち替わり話出来るなんて私には無理だわ。前世では一般人だったんだし当たり前だけどね。)


アイラは疲れた表情を浮かべてそんな事を考えていた。


そこへ…


「アイラ。」


レオンがアイラの元へやって来てアイラへ声をかけた。


「殿下!」


アイラは思わず驚いた表情を浮かべてレオンへ言った。


「こんな場所で何をしていたんだい?」


レオンがアイラへ尋ねた。


「少し疲れてしまってここで少しばかり休んでいたのです。貴族令嬢だというのにこういう場は慣れていないのでお恥ずかしいのですが。」


アイラは少しバツが悪そうな表情で言った。


「そうだったのか…。」


レオンはどこかホッとした表情で言った。


(アイラが会場内に居ないので焦ったがこんな場所にいたんだな。アイラの身に何かあったのかと思い心配してしまった。)


レオンはそんな事を考えていた。


「私もここで少しばかりご一緒させてもらってもいいかな?」


レオンは優しく微笑みながらアイラへ尋ねた。


「え?それは構いませんが今夜は殿下が主役だというのにこんな所に居てはあまり良くないのではないですか?」


アイラは少し戸惑い気味に言った。


「問題ないさ。いくら今夜は私が主役だとて常に笑顔を絶やさず人と話すのはさすがに疲れてね。」


レオンは苦笑いを浮かべつつ言った。


(あぁ、確かにね。いくら王太子でこういう場は慣れているとはいえずっと笑顔を絶やさず他の貴族たちの話の相手をするのは大変よね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ふふ…では、私と一緒ですね。」


アイラは思わず笑みを溢しながら言った。


(先程まで貴族達の媚びへつらう様な話に嫌気がさしていたがアイラの顔をこうして見ているだけで嫌気がさしていた気持ちが一瞬にして晴れるな。)


レオンはアイラを見ながらそんな事を考えていた。


「あぁ、そうだ。アイラ、本日は招待状を受け取りパーティーに参加してくれてありがとう。」


レオンは嬉しそうな笑みを浮かべてアイラへ言った。


「あ…いえ。こちらこそこの様な貴重な場にご招待頂きありがとうございました。私には勿体ない様な場所ですので。」


アイラは少し照れくさそうに言った。


(モブキャラの私がプリラブMの中のこんな素敵な場所に来ることができたんだから本当に殿下には感謝しかないわ。それに攻略対象者直々に。)


アイラはそんな事を考えていた。


「あ!殿下、改めましてお誕生日おめでとうございます。先程は父が代表してお祝いを申し上げさせて頂いたので私が直接お伝えする事ができませんでしたので。」


アイラは笑顔でレオンへ言った。


「あぁ、ありがとう。こうしてアイラに祝の言葉をかけてもらえて嬉しく思う。」


レオンはとても嬉しそうに微笑みながら言った。


(他の誰に言われるよりもアイラに言ってもらう事がこれ程嬉しいとはな。本当に私は完全にアイラに落ちてしまっている様だな。)


レオンはフッと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「それに…今日のドレスとても似合っているよ。」


レオンは優しく微笑みながら言った。


「ありがとうございます。父から今日の記念にと贈ってもらったのです。」


アイラは嬉しそうに微笑みながら言った。


(何だか攻略者達皆にドレスを褒めてもらえで照れるわね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そうか。侯爵からの贈り物なのだな。侯爵もアイラがこうして着てくれて喜んでいることだろう。」


レオンが嬉しそうに微笑みながら言った。


(私の贈ったドレスをこの様に着てくれてその姿を間近で見れるとは嬉しいものだな。アイラをイメージして作らせたものだが私のイメージ通りアイラにとても似合っているな。アイラは侯爵からの贈り物だと思っているみたいだがそれでもいいんだ。それでもこうして私が贈ったものを着てくれているのだから。)


レオンは満足気にそんな事を考えていた。


「はい。」


アイラは微笑みながら言った。


「あっ!そうだわ。」


アイラは思い出した様に言った。


「どうしたんだい?」


レオンが不思議そうに言った。


「あの…これを。」


アイラはそう言うとバルコニーのはしにある椅子に置いていた物を取りに行きレオンの元へ戻りレオンへ差し出した。 


「これは?」


レオンは不思議そうに言った。


「殿下への誕生日プレゼントです。」


アイラは少しソワソワしながら言った。


「私へのプレゼント?」


レオンは驚いた表情で言った。


「はい。他の方々が贈られたプレゼントにはほど遠い物に加えて王太子妃でもない私が殿下へ個人的に贈り物をするというのはあまり良くはない事だとは思ったのですが…。」


アイラは少しば気まずそうに言った。


(本当は渡そうか迷ったけど前世の記憶があるせいか知り合った人にハンドメイドの物をプレゼントする癖がついてしまってるよね。それに殿下には色々と助けてもらったりしたこともあって感謝の気持ちも込めてって意味もあるのよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ありがとう。本当に嬉しいよ。」


レオンは満面の笑みを浮かべて言った。


(まさか…アイラから贈り物を貰えるなんて思ってもみなかった。)


レオンはそんな事を考えていた。


「開けてみてもいいかい?」 


レオンは嬉しそうに微笑みながらアイラへ尋ねた。


「え?あ、はい。」


アイラは頷きながら言った。


(まさか…こんなに嬉しそうに受け取って貰えると思わなかったわ。でも、喜んで貰えてるみたいで良かった。)


アイラはホッとした表情でそんな事を考えていた。


アイラが応えるとレオンが袋の中身を取り出した。


「これは…。」 


レオンは袋の中身を取り出し見て言った。


「私の作ったハンカチです。以前お渡ししたハンカチは普通の生地に刺繍したものだったので今回は質の良い生地に新たに刺繍を致しました。」


アイラはレオンへ説明した。


「この刺繍してある花は何という花なのだ?」


レオンがハンカチの刺繍を指差しながら言った。


「そちらの花はラナンキュラスという花です。紫のラナンキュラスは"幸福"という花言葉なのです。」


アイラが微笑みながら言った。


「ラナンキュラスか…。」


レオンが呟いた。


「こちらは色が綺麗な紫で花びらが豪華に咲き誇る花なのです。まるで殿下の様だなと思い刺繍しました。」


アイラは笑みを浮かべて言った。


(プリラブMの攻略対象者達は皆華やかだけど王太子である殿下はその中でも一番華があるからね。何を刺繍しようと考えた時に真っ先にラナンキュラスが浮かんだのよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ありがとう。本当にどの贈り物よりも一番嬉しいよ。大切に使わせてもらうよ。」


レオンは溢れる様な満面の笑みを浮かべてアイラへ言った。


(アイラが私を思って一針一針刺繍してくれたと思うと胸が苦しくなる程に嬉しいな。やはり私はアイラを王太子妃に迎えて生涯を共にしたい。)


レオンは胸が苦しくなるのを感じながらそんな事を考えていた。


ドキッ…


(な…なんという破壊力の笑顔なの。攻略対象者の笑顔半端じゃないわ。思わずドキッとしてしまったわ。) 


アイラはレオンの笑顔を見てそんな事を考えていた。


「はい。殿下にその様に言って頂けるなら心を込めて作った甲斐がありました。」


アイラは嬉しそうに笑みを浮かべて言った。


「アイラ、実は今日君に話が…。」


レオンは急に真剣な表情になりアイラへ言おうとしたその時…


「殿下。陛下がお呼びです。」


従事がレオンの元へやって来て言った。


「…分かった。すぐに行く。」


レオンは今にもため息が出そうな表情を浮かべて言った。


「アイラ、すまないが私は父上の元へ行かなければならないみたいだ。」


レオンは残念そうな表情で言った。


(何てタイミングが悪いのだ。)


レオンはそんな事を考えていた。


「はい。急ぎ陛下の元へお戻り下さい。」


アイラは慌てて言った。


「あぁ。ありがとう。それでパーティーが終わったらアイラに話があるから少しだけ時間を貰えないだろうか?」


レオンは少し緊張気味に言った。


「パーティーの後ですか?それは構いませんけど…。」


アイラは少し戸惑い気味に言った。


「ありがとう。では、パーティー後に従事に迎えに行かせるから会場のどこかへ居てくれ。」


レオンはホッとした表情で言った。


「分かりました。」


アイラは頷きながら言った。


「では、私は行くよ。」


レオンはそう言うと足早に会場内に戻ったのだった。


(話って何だろう?ローズさんの事かなぁ?)


アイラはレオンが居なくなるとそんな事を考えていた。


(それより殿下がハンカチ喜んでいくれて良かった。やっぱり気持ちを込めて作ったハンドメイドの物を受け取って貰えると嬉しいわ。)


アイラは笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


(よし…私もそろそろ中へ戻ろう。)


アイラはそんな事を考えていた。


その時だった…


「助けて…。」


どこから助けを求める声が聞こえた。


「え?」


アイラはその声を聞き慌ててバルコニーの下にある庭を見渡した。


(あっ!大変だわ。あそこで誰かが!)


アイラは庭にある木の陰に誰かがいて助けを求めているのが見えて慌てて考えていた。


そして、アイラは慌てて急ぎバルコニーから庭へ向かった。


アイラは庭へ到着するとバルコニーから見えた木の陰の方へ向かった。


「えっ?!」


木の陰に向かっていたアイラが目にした光景に思わず声を漏らした。


(警護をしている騎士の人たち…?)


アイラが目にしたのは倒れいる騎士2人だった。

そんな彼らを見てアイラは状況が把握できずそんな事を考えていた。


「大丈夫ですか?!」


アイラはハッとなり急ぎ倒れている騎士達の元へ駆け寄り言った。


「あ、良かった。気を失ってるだけみたい。」


アイラは倒れている騎士達が息をしているのかを確認しながらホッとしながら呟いた。


「とにかく誰か呼んで来ないと。」


アイラはハッとなり呟いた。


そして、アイラが誰かを呼びに行こう立ち上がった時…


ガバッ!


後ろから急に襲われアイラは後ろから襲ってきた相手に布を口に当てられた。


「んんん…!」


アイラは布を口に当てられながらも必死に抵抗した。


(何?!何が起こってるの?!)


アイラは混乱しつつそんな事を考えていた。


しかし…そんな事を考えているうちにアイラは意識を失ったのだった……


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