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23.モブとプリンセスのご奉仕

※Twitterにてこの話中に出てくるお菓子の再現料理写真を載せています★

アイラがメインとのご奉仕に同行する日が訪れた。


アイラは孤児たちに渡すための…

アイシングクッキー、いちごプリン、イチゴジャムのロールサンド、ブルーベリー…

そして、アイラ手作りのクマの人形と洋服を人数分…

孤児たちと一緒に物作りをするための材料などを持ち出かけようと馬車のところへ向かった。


アイラが自室から一階の玄関へ向かうと玄関先でスミス、マリ、カイルが誰かと話をしていた。


(お父様達…誰と話してるのかな…。)


アイラはスミス達を見てそんな事を考えながら階段をおりていた。


「アイラ!」


すると…スミス達の間からひょこっと顔を出したレオンがアイラに気づき言った。


「え…?で…殿下?!」


アイラはそこにレオンがいる事に驚き言った。


「アイラ…おはよう!」


レオンは優しく微笑みながらアイラへ言った。


「お…おはようございます。」


アイラは急ぎ階段をおりレオンの元へ向かうとレオンへ言った。


「あ…あの…どうして殿下がこちらに?」


アイラは戸惑いながらレオンへ言った。


「母上からアイラを教会まで連れてくる様にと言われてね…。急に母上に言われたからアイラに伝える暇がなく驚かせてしまってすまないね…。」


レオンがアイラへ説明した。


「王妃様にですか?そんな…わざわざ殿下に出向いて頂くなんて…申し訳ない気がします…。殿下もお忙しいのですから…。」


アイラは申し訳なさそうにレオンへ言った。


「そこは気にしなくてもいいよ。私の予定はきちんと把握した上で来ているのだから問題ないさ。それに…私が母上の申し付けを無視した方が私にとってはまずいことになるからね。だから…私の為だと思ってアイラを教会まで送ることを許してくれるかい?」


レオンはあえてアイラが断れない様な言い回しで言った。


「そ…そんな…許すなんて…。では…殿下…ご同行よろしくお願い致します。」


アイラは慌ててレオンへ言った。


「あぁ。」


レオンは笑顔で応えたのだった。


その後、二人は馬車に乗り教会へと向かったのだった。


アイラは知らなかったがレオンがアイラを迎えに来たのはカイルがレオンとヨハネスへ出した手紙の内容を見ての事だった。


ジェシカがアイラに接触してきた事でアイラに何かあってからでは遅いと判断したレオン達が出した案が…アイラをなるべく一人で外出させない様にすること…だった。


既に決まっていたメインとのご奉仕の日には不自然なくアイラを教会まで無事に送り届ける役としてメインの息子であるレオンが役をかって出たのだった。


レオンが教会まで同行する事でアイラを一人にする事なく道中の警戒が出きるのだった。


前もって、メインやスミス達には事情を説明しておいたのでスミス達は安心してアイラを送り出す事が出来たのだった…




教会へ向かう馬車の中でアイラとレオンが話をしていた。


「アイラ…荷物が多いようだけど何をそんなに持ってきたんだい?」


レオンがアイラの持ってきた荷物を見て言った。


「あぁ…これは…教会にいる子供達に渡そうと思い食べるものと子供達へのささやかですけどプレゼントと子供達と一緒に楽しめそうなものを持ってきたのです。」


アイラが言った。


(前世で…児童施設の子供達にお菓子やハンドメイド小物なんかを持って行ったりしたのよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「今日のご奉仕とても楽しみにしてたみたいだね。」


レオンは微笑みながら言った。


「はい。ですので王妃様に声がけ頂き本当に嬉しく感謝しています。」


アイラは嬉しそうに言った。


(アイラ…本当に純粋に孤児たちに会うのを楽しみにしているのだろうな…。でなければ…孤児たちにの為に何の見返りもなく寄付などしないしな…。しかも…アイラは寄付している事を周りに言わなくてもいいと教会のシスターに言っていた様だしな…。)


レオンはそんな事を考えていた。


「そうか。教会の孤児たちはいい子ばかりだからきっとすぐに仲良くなれると思うよ。」


レオンが笑顔で言った。


「はい!」


アイラを笑顔で応えた。


その後も二人は話を続けた。


(殿下って実際会って話してみると前世でプリラブMをプレイしてる時の印象と違うなぁ…。殿下に限らずだけどプレイしてる時はとにかくヒロイン・ローズ以外の女性には冷たかった印象だけど…実際はモブキャラの私にも気を使ってくれる様な優しい感じなのよね…。)


アイラはレオンと話しつつふとそんな事を考えていた。


(アイラとのこの楽しい時間がこのまま続けばいいのにな…。アイラと一緒にいると本当に心が穏やかになり幸せな時間だ…。)


レオンはアイラと話をしつつそんな事を考えていた。


そうして二人で話をしているとあっという間に教会へと到着したのだった……




アイラとレオンの乗る馬車が教会に着いて少ししてメインの乗せた馬車が到着した。


馬車からメインが降りてきた。


「おはよう…。お待たせしたかしら?」


メインがアイラへ言った。


「王妃様…おはようございます。私も少し前に到着しましたので。」


アイラは微笑みながらメインへ言った。


「そう?それなら良かったわ。レオン…アイラに同行ありがとう。ご苦労様…。」


メインはレオンの方を見て言った。


(怪しい動きをしている者はいなかったかしら?)


メインはレオンに言いながら目で別の事を伝えた。


「とんでもありません。母上の頼みでしたので…。それに…少しの時間ですがアイラと楽しい時間を過ごせましたので。」


レオンはにこりと微笑みながら言った。


(はい…。問題ありませんでした。)


レオンはメインに言いつつ目で別の事を伝えた。


「それは良かったわ…。」


メインは小さく頷きながら言った。


「はい…。」


レオンも小さく頷きながら言った。


「では…私は王宮に戻りますのでこちらで失礼致します…。」


レオンがメインへ言った。


「えぇ。わかったわ。気をつけて…。」


メインがレオンへ言った。


「はい。」


レオンが応えた。


「では…アイラ…子供達との時間を楽しんでおいで。」


レオンがアイラへ微笑みながら言った。


「はい。殿下…お忙しい中教会までご同行くださりありがとうございました。殿下とお話できて良かったです。」


アイラは優しく微笑みながらレオンへ言った。


(お陰でプリラブMでプレイしている時の殿下と違う殿下を見れた様で良かったし。)


アイラはそんなん事を考えていた。


「あぁ…。私の方こそアイラと話ができて良かったよ。」


レオンは優しく微笑みながらアイラへ言った。


そして…レオンは馬車に乗り込み王宮へと帰っていった。


「では…行きましょうか?」


「はい。」


メインがにこりと微笑みながらアイラへ言うとアイラも微笑みながらメインへ言い二人は教会へと入っていった。





「おはようございます…王妃様…。お待ちしておりました。」


教会の責任者のシスター・ラムが教会へ入ってきたメインを見て言った。


「おはようございます…シスター・ラム…。」


メインは優しくシスター・ラムへ言った。


「こちらは…ガルバドール侯爵家のアイラ嬢です。」


メインがアイラをシスター・ラムへ紹介した。


「シスター・ラム…初めてお目にかかります。ガルバドール侯爵家のアイラ・プ・ガルバドールと申します…。」


アイラがシスター・ラムへ笑顔で挨拶をした。


「あ…あなた様が教会の孤児たちへ寄付して下さっているガルバドール侯爵家のご令嬢なのですね…。寄付はサリーさん経由でして頂いているので直接お会いするのは初めてになりますね。アイラ様…寄付をして頂きありがとうございます。とても感謝致しております。こうして直接お会いしてお礼を言うことが出来て良かったです。」


シスター・ラムは驚きと喜びの混じった表情でアイラへ言った。


「いえ…少しでも子供達の力になれているのでしたら良かったです。」


アイラは笑顔で言った。


(この方は…本当に心から子供達の事を思って下さっているのが伝わってくるわ。)


シスター・ラムはアイラを見てそんな事を考えていた。


「シスター・ラム…今日はアイラ嬢も一緒にご奉仕をする事になりましたのでよろしくお願いしますね。」


メインがシスター・ラムへ言った。


「アイラ様もご一緒にですか?」


シスター・ラムがアイラの方を見て言った。


「はい。初めてのご奉仕なのですが精一杯やらせて頂きますのでよろしくお願い致します。」


アイラがシスター・ラムへ言った。


「こちらこそ…よろしくお願い致します。」


シスター・ラムは優しい笑みを浮かべて言った。


「では…子供達のところへご案内致します。」


シスター・ラムがアイラとメインへ言った。


そして…

アイラ達はシスター・ラムに案内されて教会の奥の部屋へと向かった。


「こちらです。」


シスター・ラムがアイラとメインに言うと部屋の扉を開けた。


「「シスター・ラム!!」」


部屋の扉を開けると子供達がシスターを見て言った。


「皆…王妃様が来て下さいましたよ。」


シスター・ラムが優しく子供達へ言った。


「「わぁ〜。王妃様だ。王妃様…おはようございます。」」


子供達はメインを見て嬉しそうに言った。


「皆…おはよう。」


メインが笑顔で子供達へ言った。


「それと…今日はもう一人…こちらの方が王妃様と一緒に来てくださったわ。」


シスター・ラムがアイラへ手をかざしながら子供達へ言った。


「おはようございます。初めまして…。私はアイラと言います。皆…よろしくお願いします。」


アイラは少し緊張気味に子供達へ言った。


(急に緊張してきたわ。皆…私との時間を楽しく過ごしてくれるかなぁ…。それにしても…皆可愛い子たちだわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


「「おはようございます。」」


子供達はアイラを見て少し戸惑うもすぐに笑顔でアイラへ言った。


そんな子供達を見たアイラはホッとすると笑顔になった。


(これまで王妃様以外で王妃様と同行された令嬢たちは子供達が警戒心を出していたけれど…アイラ様に対しては警戒心のかけらもなく子供達が話しかけたわ。きっと…アイラ様の人柄を子供達がすぐに察したに違いなわね。本当にアイラ様は純粋で優しい方なんだわ。)


シスター・ラムはアイラと子供達を見てそんな事を考えていた。


(アイラ嬢には本当に驚かされるわね…。これまで同行してきた令嬢達はご奉仕の手伝いなど王妃である私に媚を売る為の口実だということが見るからにわかっていたものね。服装もご奉仕に行くとは思えない程の服装だったし…子供達に対する目がどこか冷めていたものね…。でも…アイラ嬢は派手すぎず…むしろ地味すぎる程の色合いに加えて動きやすい様に広がりがほとんどないスカートを着てきているし…本当に子供達に会うのを楽しみにしていたのが見ているだけで伝わるもの…。何よりも子供達が警戒していない事が一番驚きだけれどもね…。)


メインはアイラを見てそんな事を考えていた。


「今日は…皆にプレゼントを持ってきたのだけど…皆受け取ってくれるかしら?」


アイラは子供達に優しく微笑みながら言った。


「「うん!!」」


子供達は目を輝かせながら言った。


「本当に?ありがとう。」


アイラは嬉しそうに言うと持参したかご鞄の中から持ってきたプレゼントを取り出した。


(前もって子供達の人数と性別を聞いていて良かったわ。)


アイラはプレゼントを取り出しながらそんな事を考えていた。


アイラは前もって教会にいる孤児たちは8人と聞いていたのだった。



「これは…あなた達が着るために作った洋服で…これはクマのぬいぐるみを一人一個づつ…そして…これは私が焼いたクッキーとロールサンドと採れたてのブルーベリーといちごプリンよ。すべて一人一つづつあるから喧嘩はしないでね。」


アイラは子供達にプレゼントの説明をしつつ言いながら一人一人に手渡しで渡したのだった。


「「わぁ〜〜〜!!」」


アイラからのプレゼントに子供達は大興奮していたのだった。


「「アイラおねえちゃんありがとう!!」」


子供達は嬉しそうにアイラへお礼を言った。


「皆が喜んでくれて良かったわ。他にも皆で色々遊べる様にと持ってきたものもあるから一緒に遊びましょうね。」


アイラは嬉しそうに言った。


(良かった…。子供達が喜んでくれて。沢山作った甲斐があったわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


子供達はプレゼントの服に着替えてみたり人形を見て目を輝かせたりアイシングクッキーをまじまじ見たりと大興奮していた。


そんな子供達をアイラや他の大人たちは微笑ましく見ていた。


「あれは…すべてアイラ嬢の手作りなの?」


メインがアイラへ尋ねた。


「はい。プレゼントするなら子供達は何を喜んでくれるかと考えながら作る事ができてとても楽しかったです。」


アイラは笑顔で応えた。


(前世でも…こんな風に児童施設へ行く前に子供達へのプレゼントを作るのが楽しかったのよね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そう…。本当にアイラ嬢は何でも作れるのね。あれだけの洋服や人形を作るのは大変だったでしょう?」


メインが言った。


「いえ…相手の事を考えながら作るのはとても楽しいのでまったく大変ではありませんでした。」


アイラは微笑みながら言った。


(こんなにも純粋な子がいるとはね…。本当にますますアイラ嬢の事を気に入ったわ…。)


メインはそんな事を考えていた。


「そうなのね…。子供達が喜んでくれて良かったわね。」


メインが優しく微笑みながら言った。


「はい。」


アイラは嬉しそうに言った。


その後は…


アイラが持参したビーズを使った男の子でも女の子でもつける事が出来るブレスレット作りや…


アイラが自作で作った塗り絵や折り紙をしたり…


外へ出て子供達とかくれんぼをして遊んだりしていた。


子供達はもちろんアイラも全力で楽しく時間を過ごしていた。


あっという間にお昼になり昼食はアイラの提案で子供達も一緒に作ることになった。


自分達で作ったご飯はより美味しかったのか子供達は皆きれいに完食したのだった。


アイラの子供達に対する態度を見てメインもシスター・ラムも他のシスターも感心していた。


昼食後は教会裏にある畑の芋掘りをする事になった。


子供達と共にアイラとメインも芋掘りを手伝った。


(芋掘り懐かしいな…。前世でも子供の頃によく幼稚園で芋掘りしてたな…。誰が一番大きい芋を掘れかって競争とかしてたなぁ。)


アイラは前世での事を思い出しつつそんな事を考えていた。


「僕のお芋が一番大きいぞー!」


「えー!僕のだよ!」


「いいえ!私のお芋が一番大きいよ!」


「え〜私のだよ!」


子供たちが自分の掘った芋を見て言い合っていた。


(ふふ…どこでも芋の大きさを比べるのは一緒なのね。)


アイラは子供達を見てくすくすと微笑みながら考えていた。


そして…アイラも土の中から芋を引っ張り出した。


「わっ…!」


引っ張りだしたと同時に勢いあまって思わず尻もちをついてしまったアイラが言った。


「アイラ嬢…大丈夫?!」


メインが慌ててアイラへ言った。


「あ…はい。大丈夫です。勢いあまったら思わず…。」


アイラは苦笑いを浮かべて少し恥ずかしそうに言った。


「なら…いいのだけど…。」


メインはホッした表情で言った。


「あっ……。」


アイラは苦笑いしたまま自分の引っ張りだした芋を見て思わず声が出た。


なんとアイラが引っ張りだした芋の大きさが皆が掘り出した芋の倍ほどの大きさの芋だったのだ。


「わぁ〜…アイラねえちゃんのお芋が一番大きいね。」


「本当だ〜。」


「大きいね〜。」


子供たちがアイラの芋を見て言った。


「プッ…。ハハハ…本当ね。私のお芋が一番だわ。」


アイラは急におかしくなり思わず吹き出して笑いながら言った。


(まさか…尻もちついた上にこんな大きい芋を引っ張り出すなんてね。前世でだってこんな大きな芋を掘り出した事なんてないのに。)


アイラは今を見てそんな事を考えていた。


「「ハハハハ……!!」」


そんなアイラを見て子供達もつられて大笑いしたのだった。


そんな様子を見ていたメイン達はくすくすとと笑っていたのだった。


「皆…土だらけだから洗いましょう!洗ったらこのお芋達を半分焼き芋にしてもう半分はスイートポテトにしましょう!シスター・ラム…ここで焼き芋にしてもいいですか?スイートポテトは焼き芋を焼いている間に子供達と作ろうと思うので。」


アイラが土まみれの子供達へ言うとシスター・ラムへ尋ねた。


「はい。それは構いません。」


シスター・ラムは笑顔でアイラへ言った。


「ありがとうございます。」


アイラはにこりと微笑みながら言った。


「「わ〜い!スイートポテトに焼き芋だ〜!!嬉しいな〜!!」」


子供達は大喜びしていたのだった。


「王妃様…アイラ様は本当に素敵な方ですね。貴族のご令嬢だとは思えない程…あの様にためらいもなく土に汚れてらしてますし。子供達と本当に楽しそうに接しておられるのが見ていてわかります。」


シスター・ラムはアイラを見て微笑みながらメイン言った。


「そうですね。実は…私も驚いているのですよ。これまで教会へ同行した令嬢達は王妃の私に媚を売ることばかり考えていた者たちばかりでしたが…アイラ嬢からは媚のこの字も感じません。私に同行しているのを忘れているのでは?と思うほど自然に子供達と接していますから。」


メインはクスっと笑みを溢しながらシスター・ラムへ言った。


「……これからもアイラ様はここへ足を運んで下さいますかね?」


シスター・ラムが呟いた。


「きっと…ご奉仕でなくてもシスター・ラムさえ良いと言えば喜んで来てくれることでしょう。」


メインは優しく微笑みながら言った。


「子供達もアイラ様が教会へ来てくだされば心から喜ぶことでしょう。」


シスター・ラムは微笑みながら言った。


「そうでしょうね。子供達にとってとてもいいことですね。」


メインは微笑みながら言った。


「はい。」


シスター・ラムは微笑みながら言った。



その後、土だらけだった子供達の顔を洗うのを手伝ったアイラはついでに自分の顔についた土も洗い流したのだった。



そしてアイラは焼き芋をする準備を始めた。


「シスター・ラム…教会には枯れ葉や細かな枝…それに壺などは保管してありますか?」


アイラがシスター・ラムへ尋ねた。


「はい。納屋の方に全て揃っています。ですが…焼き芋に壺を使われるのですか?」


シスター・ラムは不思議そうにアイラへ言った。


「はい。壺を使った焼き芋を作るです。壺を使うことで甘さが凝縮されてより美味しい焼き芋になるんですよ。」


アイラは笑顔で言った。


(これは…前世の記憶のお陰ね。)


アイラはそんな事を考えていた。


「そうなのですか?では…私が納屋から必要な物を持ってきますね。」


シスター・ラムが言った。


「いえ…。納屋はあそこですよね?私が納屋から運んできますのでシスター・ラムはあちらでお芋を洗っておいて頂けますか?」


アイラが近く見える小屋を指さして言った。


「はい…。あちらが納屋です。しかし…アイラ様にその様な事までお任せするのは…。」


シスター・ラムは戸惑いながら言った。


「大丈夫ですよ。壺も大きなものでなくても大丈夫ですので荷台に乗せたら私でも持ち運べますので。今日はご奉仕にきたのですからこれくらいさせて下さい。」


アイラは戸惑うシスター・ラムへ笑顔で言った。


「……分かりました…。では…よろしくお願いします。私はあちらで芋の準備をしておきますね。」


シスター・ラムは少し考えてから応えた。


「はい。よろしくお願いします。」


アイラは笑顔で言った。


そして…

アイラは納屋へと向かった。


(焼き芋〜焼き芋〜♫)


アイラは心の中でお芋の歌を歌っていた。


すると…


「アイラおねえちゃん!僕もお手伝いするよ。」


アイラが納屋へ向かっていると孤児の一人がアイラへ声をかけた。


「え?手伝ってくれるの?」


アイラが男の子へ言った。


「うん!僕は納屋の中の物の場所知っているか教えるよ!」


男の子はにこにこしながら言った。


「そうなの?では…お手伝いお願いしてもいいかしら?」


アイラは微笑みながら言った。


「うん!」


男の子は嬉しそうに言った。


そして…アイラは男の子と共に納屋へ向かった。


納屋へ到着して納屋へ入ると必要な物を納屋の中にある小さめの荷台に乗せて言った。


「枝はこれだけしかないのかな?」


アイラが置いてある枝の量を見て男の子へ言った。


「ん〜おかしいなぁ。つい最近僕たちが沢山拾ったからこんなに少ない訳ないんだけどな…。ん?そういえば薪も少なくなってる気がする。」


男の子が首を傾げて不思議そうに言った。


「え?薪も?」


アイラは少し驚き言った。


(枝も…薪も…量が少なくなってるなんて…。薪は火をおこすのに必要だからどこも薪を常に沢山ストックしておくはずだから少なくなっているのは何だか少し変な気がするわね…。)


アイラは男の子の話を聞きそんな事を考えていた。


「…一先ず…あるだけの物を持っていきましょう。皆が芋を洗って待ってくれているから荷物を乗せたら皆のところに戻りましょう。」


アイラは少し変に思うも待っている子供達やメインを待たせるわけにいかないと思い男の子へ言った。


「うん!わかったよ!」


男の子は頷きながら応えた。


そして、アイラと男の子で必要な物を荷台へ乗せ終わった。


「さぁ…戻りましょう!」


「うん!」


アイラが男の子へ言うと男の子は応えた。


そして…

アイラ達が納屋を出ようとしたその時…


「え?どうして扉が開かないの?」


アイラは納屋の扉が開かない事に気づき慌てて言った。


「アイラおねえちゃんどうしたの?」


男の子が慌てるアイラを見て言った。


「それが…扉が開かないの。この納屋の扉には鍵はついてなかったと思うけど…。」


アイラが言った。


「うん…。この納屋には僕たち子供でも入れる様にシスター・ラムが鍵はつけないでいるんだよ。」


男の子が言った。


「では…何故開かないのかしら…。」


アイラは扉を開けようとしながら言った。


ドンドンッ…!

ドンドンッ…!


「すいません…誰か外にいませんか?」


アイラは扉を叩き外へ向かって言った。


だが…外からは何の反応もなかった。


「皆が待ってるのに…。」


男の子が急に不安げな表情で言った。


「心配しないで。私がすぐに扉を開けるからね。」


アイラは男の子がこれ以上不安がらない様に笑顔で言った。


アイラに言われた男の子は頷いた。


(それにしても…どうして扉が開かないのかしら…。鍵がないって事は外から何かに押されてるかしないと開かないはずなんてないのに…。)


アイラは扉を見てそんな事を考えていた。


その時だった…


扉の隙間から煙が入り込んできた。


「え?!何?!煙?!」


アイラは煙を見て驚き慌てて言った。


(どうして煙なんて……。っ?!もしかして…火事…?違う…誰かが火をつけた…?)


アイラの脳裏にそんなことが過ぎり考えていた。


煙はどんどん扉の隙間から納屋の中へ入り込んできた。


(まずい…このままだと煙を吸い込んでしまうわ…。そうなれば…。)


アイラは表情を強張らせながら考えていた。


「アイラ…おねえちゃん…怖いよ…。」


男の子が恐怖で涙ぐみながらアイラへ言った。


「……大丈夫…大丈夫よ。おねえちゃんが絶対にどうにかしてあげるからね。だから…もう少し頑張れるかな?」


アイラは男の子を抱き寄せながら言った。


男の子は小さく頷いた。


「よし…えらいね。」


アイラは男の子を少しでも安心させる様に頭をなでながら言った。


アイラは納屋全体を見渡した。


そして…薪割りのための斧が目についた。


(よし…!)


アイラは斧を見て何か思いついたのか斧を手に持った。


そして…納屋よ中をもう一度見渡した。


「あ…あそこは…。」


アイラは納屋の中を見渡して風が通っている隙間を見つけて言った。


そして…アイラはその場所を斧で割り始めた。


バキッ…

バキッ…


(はぁ…はぁ…なかなか上手く割れないわ…。でも…ここは風が流れてる様だがらここを割れば恐らく火に当たらずここから脱出できるはず…。)


アイラはそんな事を考えていた。


「ゲホッ…ゲホッ…。」


男の子が煙を吸い込んだのか咳き込んだ。


(まずいわ…。)


アイラは咳き込む男を見て思うと自分のスカートを破り破った布を男の子の鼻と口元に巻いてマスク代わりにした。


アイラ自身も同じよう布を巻いた。


「もう少しだけ辛抱してね。すぐにここから出してあげるから。」


アイラが男の子へ言うと男の子を少しでも煙を吸い込まない様にと納屋の中にあったシートを男の子へ被せた。


そしてアイラは更に斧で木を割り続けた。


ようやす子供一人通れる程割ることが出来た。


バチバチ…

バギギギ…


その時…とうとう納屋の扉が燃え始めた。


「さぁ…急いで!ここからなら出られるわ。」


アイラは男の子からシートを剥ぎ取り言った。


「アイラおねえちゃんは…?」


男の子が不安げに言った。


「……もう少し木を割って私もすぐに脱出するからあなたは先にここから出て納屋が火事なことを王妃様とシスター・ラムに伝えてちょうだい。わかった?できるかしら?」


アイラは優しい表情で男の子を少しでも安心させる様に言った。


男の子は頷いたのだった。


「ありがとう。では…お願いね。」


アイラは微笑みながら言った。


そして、アイラは子供一人抜けれるほどの穴から男の子を脱出させた。


「危険だから早く行って!」


アイラは脱出した男の子へ言った。


男の子は頷きながら急ぎシスター・ラム達がいる場所へ向かった。


「一先ず…あの子を脱出させることができて良かったわ…。」


アイラはほっとしながら呟いた。


そしてアイラは引き続き斧で穴の周りの木を割り始めた。


(はぁ…はぁ…思ったより…木が固くてなかなか上手く割れない…。普段斧なんて使わないから手に力が入らなくなってきたわ…。)


アイラは息を切らしながら考えていた。


「ゲホッ…ゲホッ……。」


アイラは息が苦しくなり咳き込んだ。


(まずいわ…このままだと火の手が納屋全体に回る前に窒息してしまうわ。)


アイラはそんな事を考えていた。


(せっかく楽しみにしていたご奉仕に来れたのに…。やっぱりモブはモブってことかな…。まさか…二度目の人生をこんな形で終わらせることになるとは…ね…。)


アイラは息苦しさと共に意識が朦朧となるのを感じながらそんな事を考えていた。


(どうせ死ぬならプリラブMの最後の展開を見てからにしてほしかったな…。)


アイラは意識が更に朦朧となりながらそんな事を考えていた。


燃えていた納屋の扉からあっという間に火の手が納屋をどんどん燃やし始めていた。


(もう…本当に駄目だわ…。来世ではモブキャラへの転生はごめんだわ…。)


アイラが半ば諦めつつ考えていた。


その時だった……


バキバキ…

バキ…


アイラが座っている場所のすぐそばの木の壁が思い切り壊れた。


「アイラーー!」


その壊れた壁から誰かが入ってきてアイラを見つけてアイラの名前を叫んだ。


(だれ…?)


アイラは意識が薄れていく中で思っていた。


「アイラ!アイラ!大丈夫か?!目を開けてくれ!アイラ!」


その自分はアイラを抱き抱えすぐに納屋の外へ連れ出し安全な場所へ行くと血相を変えた表情でアイラへ声をかけ続けた。


「…ヨハ…ネ…ス……様…?」


アイラはそっと目を開けると目の前にヨハネスの顔が見えて呟いた。


「アイラ!良かった…。」


ヨハネスは心からホッとした表情で言った。


「……あの…子は……無…事ですか…?」


アイラは男の子の事を気にしてヨハネスへ尋ねた。


「あぁ…。アイラのお陰で大きな怪我もなかったようだ。煙を少し吸っていた様だが問題はなさそうだ…。医者を手配したから後で診てもらうようだ。」


ヨハネスがアイラへ説明した。


「よか……った……。」


アイラはヨハネスの説明を聞き安堵する表情を浮かべるとそのまま気を失ったのだった…


「アイラ…?アイラ?目を開けてくれ!アイラ!アイラ………アイ……ラ……。」


ヨハネスがアイラへ血相を変えて言った。


だが…ヨハネスのその声は気を失ったアイラには聞こえていなかったのだった…


この時のアイラは…

まさかこの出来事がプリラブMのイベントの一つだということなど知るよしもなかったのだった…


ご覧頂きありがとうございます★


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