3月1日 事務
今日から3月。そろそろ準備しないとな。せっかく、内定を出してくれたのにこのまま何もせずにしていたら、申し訳ないと思っていた。内定をもらっていたフルール株式会社では、事務として働いてほしいと言われた。ゆくゆくは、広報など別の部署にも回る可能性も示唆されている。けど、今の自分では事務すら務まるかという不安もあった。私の教育係となった、佐倉さんからは、タイピングさえできれば大丈夫という言葉をもらっていた。佐倉さんは、27歳という若さながら会社の中心人物であることを大多さんから聞いていた。美人で仕事もできるとなると感心させれる。そんなことを考えていると、昨日1日も会ってない、陽菜乃が後ろからやってきたのだ。
私 「昨日、どこ行ってたの?」
陽菜乃「ひみつー」
笑顔を見せながら、話しかけてきた。連絡はすぐついたものの、何時に帰ってくるかはわからなかった。
私 「なんでよ」
陽菜乃「大切な用事だったのよ」
大事なようってなんだろうな?ふと、疑問に思った。陽菜乃は、あんまりそういう言い方をしないから驚いてしまう。
私 「じゃあ、どこ行ってたかだけ教えてよ」
陽菜乃「群馬県だよ」
私 「えっ、群馬」
まさか、群馬まで行ってたとはな。想定外だった。まぁ、何もなく戻ってきたからそれはいいんだけど。
陽菜乃「そうだよ」
私 「なんで?」
陽菜乃「だから、それは言えないって言ってるでしょー」
私 「もー」
頑なに否定する陽菜乃に対して、やはり違和感を感じてしまう。聞いたところで、教えてくれるわけではないんだろうけど。
陽菜乃「まぁまぁ」
私 「昨日は何時に帰ってきたの?」
陽菜乃「23時くらいじゃないのかな」
私 「危ないじゃん」
23時かぁ。まぁ、群馬だったらそれくらいかかってもおかしくはないな。
陽菜乃「まぁ、1日くらいいいでしょ」
私 「もう」
妹のこととなると、つい心配してしまう。
陽菜乃「お姉ちゃんも何かいいことあればいいね」
私 「どういうことよ?」
陽菜乃「知らないよ」
私 「もう、よくわからないことばっかり言わないでよ」
遠回りすぎる表現で、陽菜乃が何を伝えたいのかわからなかった。
陽菜乃「よくわからないことないよ。まぁ、待っててよ」
私 「待ってるよ。普通に」
待ってても変わらない。それは、大学を辞めてから感じたこと。しんどくても動かなきゃ。




