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2月25日 告白

 アイツが何者なのか。今現在、私にはわからない。本当は、一番近くにいた私がわからないといけなかったのに。別れるまで、ずっと曖昧なまま。あの時は、理解できなかったけどドラマと一緒だったのかもな。

堂上匠とは、あの時初めて会ってから惚れてしまう。しかし、すぐに付き合うというわけにはいかなかった。手を繋いできた癖に、それ以降、匠が私と話すことはなかった。惚れてしまっていた私は、ずっとモヤモヤした気持ちを抱きながら生活することに嫌気がさしていた。そんな私は、最後の手段として女子の中心人物だった柚月に匠のことを聞き出したのだった。

 私が惚れてしまった頃から、匠はすでに人気者で私なんかが付き合えるはずがないとすら思っていた。当時、いろんな人と付き合っている噂があり、柚月は匠を狙うのは辞めた方がいいと何度も止められていた。誰にでも愛想良く優しく振る舞う匠は、一見いい人のように思えるかもしれないが、それはただの女タラシだと言われていた。私は、その情報が本当だったとしても、、、、、それでも自分の気持ちを伝えたいと柚月に懇願した。そこまで言うならと、私のために、放課後の教室に来てもらうことに成功したのだった。

 放課後の静まり返った教室。地震があったあの時と同じだった。窓からの柔らかな光から、匠が来るのを待っていた。時計の針の音が聞こえてくるくらい、私の耳は研ぎ澄まされていく。そんな私の緊張感をかき消すかのように、しれっと現れたのが匠だった。「今日も暑いね!!」。私の前に仁王立ち。なんて声をかけていいかわからず、匠の顔を見上げるしかなかった。しかし、匠の方を見ると一気に現実をつきつけられたかのように心臓がドキドキしてしまう。これまで感じたことのない緊張感。どうしていいかわからず、ただただ固まってしまう。

 「ねぇ?」。匠の声かけで、我に返ったように見つめる。「俺さぁ、、、、、、、、」。上手く息を飲み込めずに固まっている。匠の声が聞こえるまで、とても長く感じた。ようやく口を開いたと思ったら、「俺、お前のこと好きだから付き合ってくんね?」。私は、匠の顔を見つめたまましばらく動けなくなっていた。私の顔をそっと笑顔で見つめてくれた。この人に私の人生を託そうと思った瞬間だった。ゆっくりと、お願いしますと言った記憶がある。匠は笑顔を浮かべながら、ありがとうと声をかけてくれる。あの時は、これからもずっと続くと思っていた。

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