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2月24日 手

 フルール株式会社。私の勤務形態は、4月から週4回の出勤。悩んだけど、これが一番いいのかなと思った。大多の話を聞いていると、自由度は高いがシステムがまだ整っていない部分も多いため、自分で何かを考えなければならないそうだ。私は、どれだけ社会で働けるのだろうか?大学を途中でドロップアウトした私に働けるのか疑問だった。今思うと、なぜドロップアウトしたのか。あの頃は、何をしても続かなかった。その状況が嫌で、必死にもがいていたな。

 私にとって、この会社に入ることは一つの通過にしか過ぎないのかもしれない。そう思えば、何か変われる気がした。過度に期待し過ぎて、またダメだったなんてことがあったら、私自身苦しくなる。問題は、一人暮らしをするかどうかだった。実家から通うには少し遠い。だったら、思い切って、引っ越しをしようかと迷っていた。ここからだと、1時間半くらいかかり、連勤になると体がもたないことも考えられる。でもなぁ、、、、、、、。一人暮らしだと、ホントに何もしない気がするな。一人暮らししてから、実家のありがたみを感じてしまいそうだ。すると、アイツの面影がチラついた。

 こんなことにならなかったら、アイツと同棲してたんだ。あれは、いつだったかな?たしか、私たちが高校3年生の卒業した日のデートのだった気がする。私たちは、卒業式が終わるとそのまま九州方面へ旅行することに決めていた。正直、高校3年間で私の思い出は付き合ったこと以外ほとんど思い出がなかった。なんとなく授業を受けて、なんとなく部活に行って、なんとなく学校行事をする。そんな当たり前の日々だった。そんな当たり前を変えてくれたのが匠。私の生活を変えるために来たかのような人だった。

 匠と出会ったのは、高校2年生の夏頃だった。ホントに偶然の出会いだった。たまたま、私が放課後まで残って提出物をしていた時に、学校で遊んでいた匠がやってきたのだ。たしか、あの時はクラスに私と匠だけ。そんな時に、地震が起きてしまったのだ。とても強い地震というわけではなかったが、机の上に置いていた筆箱などが落ちてしまい、私は声を出してしまう。そんな私を安心させるかのように、近寄ってきて私の手を握りしめてくれたのだった。あまりのとっさの行動に、地震よりも手を握りしめられたことの方に意識が向いてしまい、他のことはまったく覚えれないほどに。握りしめた手を離してくれたのは、先生がきてくれてからだった。

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