2月22日 フルール株式会社3
フルール株式会社。こっちでよかったのか?私はいまだにわたかっていなかった。どっちに行っても同じなら、自分が行く道を信じるしかない。私は、緑黄色会社に断りの連絡を入れ、フルール株式会社の1本に決めた。もし、ここでバイトが断られたら、また就活をするしかない。私は、神城と話をしてそう決めた。神城は、私の人生だからと何も言ってくるようなことはなかった。何も言われないことに対してもどかしさがある。12月の途中から、自分なりに行動してみた。バイトを探して、こうして就職まで来た。やってみて思ったけど、人間はすぐに変わらないんだと。日々の積み重ねでしか変わらないことを理解した。私の前には、代表取締役の大多がやってきた。来ていきなり、話をし始めた。
大多「バイト?」
私 「はい。正直、いきなり働ける気がしなくて」
誤魔化さずに素直に自分の気持ちを伝えることにした。これが正しいのかはわからない。でも、ここで嘘をついても仕方がない。
大多「そっかぁ。土屋さんがバイトがいいんだったら、それでいいよ」
私 「ホントですか?」
意外とあっさり承諾をもらえてしまった。想定外だ。
大多「もちろんだよ」
緑黄色会社の代表取締役の古谷と違ってこの会社の大多は、どこか渋さがあるような人だった。決して、古谷のキラキラ感のようなものはない。ただ、この人なりの良さというものはなんとなく伝わってくる。
私 「ありがとうございます」
大多「なんで働ける気がしないの?」
働ける気がしないというのは、なんでだ?そう問われていた。
私 「なんか自信がなくて」
大多「そりゃあ、そうだよね。今まで働いたことないもんね」
私 「はい」
またしても、素直に聞いてくれた。これは、大多の本音なのか?それとも別の意見なのか?
大多「だったら、教育係呼んでくるよ」
私 「教育係ですか?」
大多「うん。いきなり、あれこれやるのも難しいし」
大多は、どんな人を呼んでくるのだろうか?ゆっくり歩いていく大多を見守った。ドア越しに誰かと話をしているのがわかった。私は、その様子を遠目から感じていた。すると、ドアが開き、大多と一緒にやって来る。こちらにやってきたのは、女性。綺麗なコーデをした女性は、明るい表情で大多と話をしているみたいだ。再び、気持ちを整えた大多たちが来るのを待つのだった。




