2月18日 フルール株式会社2
窓際に並ぶ観葉植物が、なんとも言えない心地よさをあたえていた。私が来ていたこの場所は、昨日話をしてきたフルール株式会社だった。本来であれば、緑黄色会社に行くべきだったけど、なんか違う。私はそう思った。内定者をもらった私は、緊張と期待を胸に秘めながら、椅子に着席していた。私の目の前には、スーツをビシッと決めた20代後半の社員だった。
この社員の名前は、山間。たしか、起業当初から代表と一緒にやっている偉いさん。私は、少し緊張しながらテーブルに置かれている資料に目を通していた。私の雇用は、4月から。それまでは、週1回でバイトに来て慣れてくれないかと言われていた。もうここに来た以上は、8割方入ってくれるとふんでいるだろう。私も入るのを辞めるとは考えてないけどここでやっていける自信もまだなかった。
なにかもう一つ自信が欲しかった。この会社の雰囲気は良いとも悪いとも言えない。どちからというと、静かだった。今日は、3人ほどの社員だけで後は営業やコンサルをしに行っていることだった。だから、今日の雰囲気では何とも言いようがない。この山間が言うには、普段から自分の仕事に集中している人が多く、休憩時間にならないとみんな話さないことが多いらしい。働いたことがない私にとっては、何がいいかはわからない。
山間は、私の方を見ながら資料を読み込んでいく。ところどころまで行くと、私に確認のための声をかけてくる。「ここまで、大丈夫ですか?」。よくわからないことがあったけど、とりあえず頷き、私は手元の資料を整えた。山間は、柔らかな笑顔を浮かべながら再び読み始めた。「私たちは、『仕事を通じて幸せにする』という理念のもと日々の仕事をしています」と話をした。仕事を通じて幸せにするということはどういうことだろうか?
壮大すぎる理念に関して、私は何もわからなかった。私がここでどんな貢献ができるのか?途中で大学を辞めてしまった私に何ができるのかイメージは湧かない。私は、山間の目を捉えた。すると、山間は話をし始めた。「あなたには、20代女性の代弁者としていろいろな考えやアイデアを私たちの会社に伝えて欲しいと思います。そうすることによって、私たちはさらに成長できると考えています」。山間の言葉がズシリと私にのしかかる。この言葉を信じていいのだろうか?とりあえず、バイトからスタートできないかを頼もうとすることにした。