2月16日 フルール株式会社
私が拭いていた皿は、めったに出さないモノだった。店長の気分だろうけど、ずっと同じ皿ばかり使っていても飽きてしまうのだろうな。
神城「じゃあ、緑黄色会社には行かず、もう一つのところに行くの?」
私 「はい」
いつもより、早くお客さんが帰った。そうしたこともあり、私たちはのんびりと就職の話をしていた。
神城「どこがよかったの?フルールの?」
私 「会社の雰囲気かな」
フルール株式会社。ここは、起業して約10年が経過した会社だった。それなのに、会社の人数が少ないのことが私のお気に入りのポイントだった。
神城「雰囲気?」
私 「私は、まだベンチャーでバリバリ働けるイメージがなくて」
とりあえず、その場をつくろうために色々口から話をしていた。
神城「へぇー。そうなんだ」
私 「だったら、フルールの方がいいかなって」
神城「フルールって、何の会社なの?」
紹介した神城すらわかってないって、こいつはどんだけテキトウなんだよ。
私 「一応、コンサルの会社らしい」
神城「コンサルかぁ。今、流行りだね」
私 「そうなの?」
コンサルが何なのか、流行りなのかもすべてよくわかっていなかった。
神城「ああ。みんな、行きたいやつが多いよ」
私 「そんなところに入れる可能性がある私って恵まれてるんだ」
みんなが入りたいところに入ろうとしているとはわからなかった。
神城「めちゃくちゃ恵まれてるよ」
私 「フルールって人気なの?」
神城に聞くのが間違っているかもしれないと思いながら話した。
神城「人気かは知らないけど、裏ルートで土屋さんは入るからね」
私 「どういうこと?」
裏ルート?なんか裏口入学みたいな言葉だった。
神城「普通、会社に入る時は4月に向けた入社が多いんだけどそこだと、どうしても一般的な採用になるんだよ。でも、土屋さんは一般的な入社とは違うでしょ?」
なるほど。そういうことか。たしかに、大学4年生になると就活するというのと一緒。
私 「それは、なんか嫌だな」
神城「ハハハハ。それは、仕方ないでしょ」
私 「まぁ、実際働いてみないとわからないしね」
神城「そうだよ。このバイトですらわかんないのに」
店長が店を出ている中、お互いに笑顔を見せていた。私は、拭いた皿を厨房の中に置きに歩き始めた。




