2月14日 sirew
今日は、入山とのバイトだった。
私 「バイト慣れました?」
入山「いやー、まだ慣れないですね」
私 「そうですよね」
最近入ったばかりの入山には、優しく声をかけることにしていた。
入山「土屋さんは、入ってからどれくらいですか?」
私 「私も、まだ1ヶ月ちょっとだよ」
入山「そうなんですね」
たかが1ヶ月早く入ったくらいで、偉そうにするつもりはまったくなかった。
私 「はい。なので、私も全然できません」
入山「いやいや、そんなことないです」
入山の動きを見ていたら、物覚えがいいなと感じていた。やる気がない神城と比べたら、よっぽど役に立つんじゃないかと思っていた。
私 「普段は、何してるんですか?」
入山「大学行ってない時ですか?」
私 「はい」
彼女が何をしているのかは気になっていた。
入山「バンド活動したりですかね?」
私 「へぇー。バンドかぁ」
入山「バンドとか興味あります?」
意外な質問だった。バンドのことは、触れられたくないのかと思っていた。
私 「興味ありますよ」
入山「いいですね。好きなバンドとかありますか?」
好きなバンドかぁ。パッと思いついたのが3つくらいだ。その中でも、入山に受けそうなバンドはあれしかない。
私 「えっーとね。sirewとか好きだよ」
入山「えー。わかります。わかります」
私 「だよね?」
よし。きっちりヒットした。めちゃくちゃ好きというわけではなかった。それでも、こうやって会話を広げるしかないと思っていた。
入山「はい。私、星さんめちゃくちゃ好きなんですよね」
私 「カッコいいよね。私は、松かな」
入山「松もいいですね」
sirew は、横須賀出身の四人組バンドだった。ボーカルの星、ギターの松、ベースの陸、ドラムの綿で構成されていた。
私 「じゃあ、入山さんもいつかは有名バンドにならないとね」
入山「そんなの無理ですよ。趣味程度なんで、私は」
私 「そんなことないでしょー」
バンドとして、有名になるのって、どれくらい難しいのだろうか?私は、そんなことが頭によぎった。
入山「いやいや、ありますよ。バンドもなかなか難しいですよ」
私 「それは、わかります」
普段一緒に入っていた、神城、湊谷、渡邊たちとは、また変わった話題で話をしていた。




