2月11日 面接結果
賑やかな通りとは反対側にある「料理屋けんしん」。相変わらず、よくわからない店だった。扉を開けると、居酒屋と創作料理屋がかけ合わさったような雰囲気を彷彿とさせていいた。店内には、カウンター、テーブル、座敷の三つの座るところがあった。私的には、奥にある座敷が1番いい気がした。奥にあるということもあり、全体を見渡せる気もする。居心地の良い空間が目の前に広がるのだ。店内には、薄暗く柔らかなオレンジ色の光で照らされ、テーブル席の壁にはアート作品が飾られていた。店長がいうには、昔友だちからもらったものだそうだ。アンティーク素材のものらしい。店に来たお客さんは、意外に広いねと言っている。外観と違って、入ってみたらという展開は多いのかもしれない。
テーブルには、洗練されたお皿とナイフとフォークが整然と並べられていた。店内には、焼き立てのパンの香りが漂い、スパイスの効いた煮込み料理の豊かな香りもあった。今日は、18時半から予約が入っていた。それに向けて、店長も料理の仕込みをしているみたいだ。
今日、朝届いた昨日の面接結果。まさかの合格。緑黄色会社に自分が受かるなんて思いもしなかった。神城に言われたから来たようなもんで、その先のことは何も考えていなかった。私の何が評価されたのかもわからない。このまま、入っていいんだろうか?面談の時に言っていた。今は、全員で10名いると。10人全員のリストも見してもらった。東京だけでなく、長野の方からも何人かいることがわかった。特に、海美高校の新田嗣ニという奴が気になっていた。
山城と同じ海美高校だから、誘ったんだろうとは思うけど、最近になって入ったというエピソードを聞いて驚いたんだ。私も、4月までに決めてくれていいという猶予期間をもらった。正直、これ以上ない好条件だった。正社員でもバイトでもどちらでもいいと言ってくれる。そんな条件をくれるところは、これから絶対にないと思っていた。でも、このまま正社員になってしまうと、大学に行く選択肢はなくなる。本当にいいのか。自問自答しまっていた。 朝から考えていたけど答えは出ない。最終手段として、今日バイトにくる神城に聞いてから考えようと思っていた。しかし、アイツの姿は見えない。今日も遅刻みたいだ。もう、18時10分を過ぎようとしていた。店長は、毎度のことで気にすることすらしなかった。それが認められる神城は凄かった。




