2月4日 帰路
バイトが終わり、神城と一緒に家を帰ろうとしていた。夜10時ということもあり、私たちの白い吐息が見えていた。
神城「今日は、何してたの?」
私 「今日は、朝に少し勉強してました」
神城「勉強?」
ポケットに手を入れながら返事をしてきた。
私 「はい」
神城「なんで勉強するの?」
よく聞かれる質問だ。
私 「もう一度、大学入りなおそうかなと思ってて」
神城「そうなの?」
私 「はい」
大きく頷くとすぐさま理由を聞いてきた。
神城「なんでなの?」
私 「うーん、なんとなくですかね」
神城「いいと思うよ」
意外にも肯定してくれた。
私 「そうですか?」
神城「大体、なんとなくでしかできないと思うし、その感覚って凄い必要だよ」
俺たちが通る道路には、誰もいない。
私 「‥‥‥」
言葉に詰まった私は、神城を見つめ直した。
神城「俺もさ、毎日やりたいことやって過ごしてるよ」
私 「でも、それで失う物あるんじゃないですか?」
神城「ああ。そんなもの山のようにあるさ。でも、1回しかない人生。それでいいのか?」
深い。
私 「いいかどうかはわからないですけど」
神城「思ったことをやろう。やりたいと思ったことはすぐ手を出せ。失敗しても大丈夫。まだまだ取り返せれる」
胸が熱くなった。
私 「ありがとうございます。なんかやる気出てきました」
神城「大学以外にも気になったことがあればいつでも言ってくれ」
私 「ホントですか?」
思ったよりも親身だ。
神城「ああ。他の奴よりは力になれると思うぜ」
私 「ありがとうございます」
神城「とは言っても簡単じゃないけどな」
私 「そうですよね」
神城は、現実と理想の間で揺れ動いていた。
神城「でも、考えないよりは考えた方がいい」
私 「わかりました」
神城「なんか気になってるのないのか?」
私 「今は、バイトですね」
すぐに浮かんだ。
神城「ここ不満なのか?」
私 「いえ、楽しくさせてもらってます」
神城「じゃあ、なんだ?給料か?」
給料もある。でも、それだけじゃない。
私 「もう一つやりたいと思ってて」
神城「あー、そういうことね。じゃあ、俺が次までにバイト探してきてやるよ」
私 「ホントですか?」
神城「当たり前だ」
ちょうど、信号にひっかかり、私たちは待つことになった。




