1月24日 おさしみ盛り合わせ
今日は、思っていた以上にお客さんが入っていく。予約は、たったの二組だったから、早く終わるだろうと思っていたが、ぞくぞくと予約していなかったお客さんが入ってきたのだった。
湊谷「10番のテーブルお願いします」
私 「わかりました!」
湊谷「ありがとうございます」
10番テーブルのお客様は、4名の団体様だった。全員女性で、20代後半くらいの人たちだった。私に一番近くにすわる女性が、動きやすさを意識したシンプルなデザインで、黄色の女性らしい服装だった。そして、私の前にいる女性は、服装こそ地味であったが、温かみがあり、相手を気遣う性格で、私に対してもとても親切に注文をしてくれた。
そして、手前にすわる女性は、スーツ姿だった。仕事帰りなのかきっちりとした服装で、一人だけ浮いているように感じた。表情や話し方から、仕事に対する真剣さが際立っている。店員の私に対しても、わからないメニューがあれば詳しく聞いてくる。例えば、今日の10番テーブルの最初のオーダーは、さしみ盛り合わせだった。しかし、どんな、さしみ盛り合わせが出てくるのか先に確認していたのだ。
私から最も離れた席に座る女性は、シンプルに肌色のシャツに、ショートパンツを合わせて、動きやすい服装だった。少し寒そうだが、とてもスタイリッシュに見える。この女性は、元気いっぱいでおしゃべりが好きだった。このテーブルの中でも、一番この人が話をしていることがわかる。会話が弾むところがある。
私は、ゆっくり、さしみ盛り合わせを出した。"右から、順番にタイ、マグロ、カンパチとなります。お客様から、綺麗な盛り付けに大きな歓声が聞こえる。そして、私の一番近くにいた女性がスマホで写真を取り出す。スーツの女性は、みんなに醤油が入った皿を回していく。改めて、いろんな人がいるんだなと気づかされる。"土屋さん!!"。あれは、渚ちゃんの声だった。慌てて、戻っていく。
私 「どうしました?」
湊谷「さっき、お皿割っちゃった、、、」
目の前には、お皿の破片が落ちているみたいだった。
私 「大丈夫ですか?」
湊谷「うん。申し訳ないんだけど、ドリンクだけ作ってもらえる?」
これ以上、お客さんを待たすと文句言われかねない。
私 「何作ったらいい?」
湊谷「カシスオレンジで」
私 「りょうかい!」
冷蔵庫からオレンジジュースを取り出した。




