1月23日 荒井絵里奈
昨日、バイトをしていて思った。湊谷の妹が聖徳高校に進むのであれば、篠木の弟に会うことを。他にも聖徳高校を希望している人は、多かった。真っ先に思い浮かぶのが、沙蘭の弟だろう。こちらも野球部だった。篠木の弟ほど上手いわけではないみたいだが、中学ではキャプテンを務めていたほどだ。
そして、次に思い浮かぶのが陽菜乃の友だちである瀬戸さんの妹。もともと海美学園中学校だから、そのままエスカレーター式に上がっていくものだと思っていた。たしか、本人も最初は海美学園への志望を志望していたらしいが、誰から聖徳高校の評判を聞いて、徐々に聖徳高校へと希望が変わったということは聞いていた。
最後は、荒井の妹だろう。荒井絵里奈。彼女は、私の小・中学校時代の友だちだった。私たちが高校生になってからは、なかなか会わなくなり、連絡もとらなくなってしまっていた。寂しさというより、ある意味仕方がないと思っていた。荒井は、とてと頭がよかったから、海美学園よりさらにレベルが高い城砦新中学校というところに進学したのだった。
県内でもトップクラスに学力が高いところだった。城砦新高校へ進学したのち、東京の大学に進学したみたいだ。そんな荒井には4つしたに弟がいる。つい先日、連絡が来て聖徳高校へ行くことを聞かされた。私には関係のない話だからどうでもいいと言えばそれまでだ。私は、スマホを見ながら、頭を働かせていた。
今日は、バイトがない。嬉しいような嬉しくないような。なんとも言えない気持ちになっていた。今のバイトもいつまで続くかということも気になっていた。これまでの傾向を見ていると、これからの方が心配だった。大体、初めて1ヶ月から3ヶ月の間が危険だ。
そんな傾向がわかっていただけに、何かしらの対応がうてないのかと悩んでいた。この悩みばかりは、誰にも言うことが難しかった。柚月も沙蘭も悩みは聞いてくれるしがアドバイスもくれる。でも、今回の悩みは共感してくれる人が欲しかった。しかし、二人とも共感というタイプではない。次どうするか?という解決策を練るという子だ。
だから、今のまま聞いてもらっても自分の中でモヤモヤが溜まってしまうだけだ。じゃあ、この状況をどうしようか?私は、スマホを下ろして立ち上がった。そして、机の上に置いていた水分を口に入れ、部屋の扉近くにあるタンスを見つめた。とりあえず、服を着替えることにしたのだった。




