12月16日 神城悠真
今日もバイトだった。昨日は、初めてのバイトということもあったせいか、すぐやめたいとはならなかった。陽菜乃の知り合いである湊谷のことが気になっていた。
バイトをしていれば、彼女にもあえるだろうし、頑張ってみようと思っていた。陽菜乃からは、ずっと続けてほしいと言われている。ずっと続けるつもりはないが、このバイトをきっかけにしていきたいということも考えていた。
昨日と同じ時間帯に家を出て、バイト先に着いた。
店長「お疲れ」
私 「お疲れ様です」
店長「今日も頑張ろうか」
私 「はい」
店長「それにしても、アイツおそいなぁ」
店長は、少し機嫌悪そうに話をしていた。
私 「誰ですか?」
店長「今日、もう一人バイト来るやつ」
私 「そうなんですね」
このバイト先には、何人いるのだろうか?と考えていた。
店長「アイツは、わけわからんからな」
私 「‥‥。そうなんですね」
楽しそうに今日来るバイトの人の話をしていた。
お客様「どうもー」
店長 「元気でした?」
もう一人のバイトが来る前に、先にお客さんが来た。私は、昨日言われた通りにお手拭きやメニュー表を持って行った。お客さんは、男性2人と女性1人の3人組だった。
お客さんに、飲み物と前菜であるオーダーを聞いて、店長に伝票を渡した。お客さんは、飲み物にビールとハイボールを注文された。
まずは、ビールから。ジョッキをとって、ビールサーバーでビールを入れる。ビールのおいしさは、絶妙な泡加減によるらしい。続いて、ハイボール。角ハイボールを入れてソーダでわった。こちらは、あまり混ぜすぎないことが大事であることを教えてもらった。
ビールとハイボールを入れ、お客さんのところへ出しに行った。すると、男性らしき人が扉を開け、服装を着替えようとしていた。
男性は、服を着替えて私のところにやってきた。
神城「どうも」
私 「はじめまして、土屋です」
神城「あぁ、新入りさん?」
私 「はい」
神城「神城です。よろしく」
神城「もしかして、フリーターの人?」
私 「あっ、はい」
あの店長、余計なこと、この人に言ったな。内心イラッとしていた。
神城「今は、家にいることが多いの?」
私 「そうですねぇ」
神城「俺、長丘大学の3回生。よろしくね」
私 「長丘大学って、賢いですね」
長丘大学は、国立の大学でとても偏差値が高い大学だった。
神城「高校卒業から、フリーターしてるの?」
私 「いえ、6月まで大学行ってたんですけど、やめてしまって」
神城「どこの大学?」
私 「温和銅大学です」
神城「なんで、やめたん?」
私 「なんか、大学行く理由ないなって思って」
神城「なるほど、いいじゃん」
私 「‥‥」
神城「そこでさ、思い切ってやめれるくらいやったら、これからどんなところでもやっていけるよ?」
私 「えっ?」
神城「急いで、次何するとか考えなくてもいいよ」
私 「そうですかね?」
神城「なんかやりたいことあるの?」
私 「全然ないんですよ」
神城「だったら、今、いろんなことに悩んだらいいと思うよ。それが、後で絶対いきてくると思うから」
私 「そういう時ってありましたか?」
神城「あったよ。俺は、浪人してる時に、そういうこと感じてたかな」
私 「浪人されてたんですね」
神城が浪人していることを知った時に、お客さんからオーダーが入った。すかさず、神城は、伝票を持って、お客さんのところに向かった。
その後も、少しずつお客さんが入り、私は、オーダーをとったり、飲み物を作ったりしていた。今日は、飲み物を作ることが多く、ハイボールや焼酎を入れていた。一番、洗い物に時間がかかっていた。
結局、今日のお店の閉店は10時になった。今日は、昨日より少し忙しかったこともあり、神城と話す機会はあまりなかった。昨日の湊谷、今日の神城の二人に加えて、このバイトには残り2人いるらしい。
明日は、バイトも休みになったので、今後のことを考えながら、過ごそうと思い家に帰っていった。