1月19日 お酒
おぼんを戻し、渡邉の方へと近づいていく。料理をテーブルまで運んできて戻ってきたのだった。今日は、お魚のメニューが多く出ていた。刺身の盛り合わせやカルパッチョなど。どれも美味しそうなメニューばかりだった。
渡邉「暑いですねー」
私 「洗い物全然進まないね」
昨日に続き、今日も大量の洗い物の皿があった。満席になると、どうしても洗い物が進まない。というより、先に料理を運ぶことやオーダーが先になるからだ。
渡邉「進まないですね」
私 「まだ、これからも来るらしいですね」
今日の予約は、全部で10組。しかし、まだ8組しか来てないなかった。
渡邉「えー。そうなんですね」
私 「今のうちに片付けないとね」
渡邉「そうですね」
私と渡邉は、ドリンクを作りながら会話をしていた。渡邉は、カシスソーダ。私は、日本酒。ドリンクを作るのは難しくないが、それぞれ決められた容器に入れないといけないのが、めんどくさかった。特に、日本酒は10ほどの瓶があるので、奥にあればあるほど、入れるのに時間がかかるのだった。
今、私が入れているのは、仙台の"和泉州"というお酒だった。このお酒は、柔らかな飲み口が特徴だ。ほんのりとした甘みで後味のすっきりとした純米吟醸。時間をかけてゆっくり旨味が口の中で広がっていく。冷温から常温、熱燗まで幅広く楽しめるものだった。冷蔵庫からおちょこをとり、おぼんにのせていく。
渡邉「これ、何番ですか?」
私 「これ、8番かな」
私たちの店は、それぞれ席に番号が振られている。カウンターから順番に1から8。そして、テーブルが9と10。奥の座敷が11と12という具合になっていた。
渡邉「もしよかったら、持っていきましょうか?」
私 「じゃあ、お願いしようかな」
渡邉「わかりました!」
まだ、渡邉は、カシスソーダを3つほど作っている途中だった。
私 「今、何組いますか?」
渡邉「今、二組ですね」
まだ、二組残っているのか。まだ、完全に洗い物に集中することはできないみたいだ。
私 「じゃあ、テーブルとか座席に残っているお皿とか持ってきてもらっていい?」
3つのカシスソーダが、さっき私が置いたおぼんの上に置かれた。準備が整ったみたいだ。
渡邉「わかりました」
渡邉は、甲高い返事をして、おぼんと一緒にテーブルの方へと向かっていった。




