1月18日 温度
いつもより寒かったということもあり、店内の暖房温度も高く設定されていた。店内を動き回る私にとっては、この温度は暑すぎた。店で出る料理も温かい料理が多いし、私にとっては不都合なことが多かった。
私 「こっち、お願いします」
今日は、満席だった。店内には、新年会で来ている10組の団体のお客様と4組ほどの客がいた。今日は、私と神城さんでまわしていた。
神城「はーい」
ゆるーい返事が私の耳元に聞こえる。相変わらず、やる気が見えない。この人は。でも、このゆるい感じがみんなにはウケるんだろうなと思った。
私 「すいません、これお願いします」
神城「えー。めっちゃ汚れてる」
私は、3つの大小異なる皿を神城に渡した。神城の言うように、さらには、マスタードやお肉のソースが残っていた。
私 「ハハハ。お願いしますよ」
洗い物は、私もあまり好きじゃなかった。このバイトは、洗い物が誰がするかということは決まっていなかった。完全に、流れで決める。
神城「はいはい。今日は、スゴイ混んでるね」
受け取った皿を、流し台に置いた。そして、注文されていたドリンクを作ろうとしていたみたいだった。
私 「そうですね。次から次に来ますからね」
神城「この後、まだ予約入ってるの?」
慣れた手つきで、ハイボールを作っていた。作りながら会話できるなんて、私にはできなかった。
私 「はい。後2組はありますね」
神城「うわ、マジかぁ。ダルいな」
グラスの中をマドラーというかき混ぜるやつで回していた。
私 「ハハハハ。忙しいですね」
さっきの神城さんの発言が聞こえたのだろうか?店長は、俺たちの方を見てきた。
店長「おい!」
ヤバっ。完成した料理を運ぶように合図が聞こえてきた。一歩踏み出そうとした時、それを遮るかのように、神城さんが前に出てきてくれた。俺、こっちしとくから休んだら。出されたペペロンチーノを運びに行った神城さんは、カッコよく見えた。一瞬、見惚れてしまった自分がいた。
大量に運びこまれた食べ終わった皿を洗うことにした。ささっと水で流し、食洗機にかけ始める。大量の皿を洗うだけで30分はかかるだろうな。バイトをして間もなく、店長には効率よく働くことを勧められた。テキトウと早くは紙一重だ。でも、それがわかれば一流の社会人になれることを説かれたのだった。




