1月15日 試験
陽菜乃は、勢いよく家を飛び出して行った。今日は、いつもより朝食食べなかったなぁ。試験初日。もっと緊張しているかと思えば意外とそうでもなかった。表情も明るかったし、話もしてくれていた。いつもなら、起きてない時間に私は起きたこともあり、いつもより眠たかった。あくびが出そうになったので口を抑えながら、話しかけた。
私 「お母さん、陽菜乃大丈夫そう?」
母 「どうだろうね?」
台所の洗い物をしながら、返事をしてきた。陽菜乃が出て行った自宅はとても静かだった。お父さんも既に仕事。お母さんもこれから仕事だろうし。結局、私しかこの家に残ることはなかった。
私 「緊張してた?」
母 「してたんじゃないの?あんまり食べてなかったし」
お母さんは、どこか他人事だった。
私 「やっぱりそうだよね、、、、」
母 「人の心配しないでアンタも早く何かしなさい」
私 「わかってるって」
意外とお母さんは、心配してないように見えた。
母 「私も仕事行くから、後はよろしくね」
私 「もう行くの?」
たしかに、今日は、お母さんの勤務日だ。
母 「当たり前じゃない。お金稼がないといけないんだから」
この言葉を聞くと、胸が痛む。
私 「それは、そうだけど。何時に帰ってくるの?」
母 「18時くらいじゃないの」
18時かぁ。今日は、バイトもないし退屈だ。
私 「わかった。じゃあ、頑張って」
母 「あんたも、しっかりしなさいよ」
私 「どういうことよ?」
お母さんが言いたいことはなんとなくわかる。でも、そんなことでわかってたまるか。
母 「今年は、受験しないんでしょ?」
なんで、お母さんがそれを知っているのだろうか、、、、、。もしかして。
私 「別にもう一度大学に行くなんて言ってないし」
母 「あっ、そう」
お母さんは、私のことは目に留めずに洗い物を全て終わらした。
私 「私のことはいいでしょ。早く行ってきてよ」
母 「はいはい」
呆れた顔をしながら、歩き出した。こんなことでいいのだろうか?陽菜乃が一生懸命頑張っているというのに。自分は、やっぱり成長していないように思えた。頑張ってアルバイトするところまでは来たのに、、、、。これでいいのかな。自問自答することになってしまっていた。私もリビングから2階に上がり、ベットで陽菜乃の合格を祈ることにしたのだった。




