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1月10日 断念

 あー、寒い。やっぱり、朝は寒い。私は、暖房で乾燥した部屋の空気の入れ替えのために開けていた窓を閉めた。でも、乾燥した部屋にいると、なんとなく喉がいたくなっている気がしていた。私は、ペットボトルに入った水を喉に入れた。

 昨日、陽菜乃に話したように私は、今年受験を受けることはやめにした。別に受けるだけ受けてもよかった。でも、今年は陽菜乃も受験。自分が受ければ、親も陽菜乃も私のことを心配するだろうと思った。だから、今年は受けずに、やりたいことやしたいことを探す年にしようかと思った。

 この決断をするにはとても勇気がいった。それもそうだ。同期の人とこれ以上差をつけられたくなかったからだ。自分で言えば、柚月や沙蘭。二人は、自分よりもよくできる。これ以上、この二人と差がついたら、もう立ち上がれなくなるかもしれないとこの前出会った時に思った。

 しかし、そんなことよりも今みたいに一歩一歩、前に進んでいく方が自分に合っている気がしていた。でも、これには時間がかかる。今のペースでいってしまうと、柚月たちとどんどん差が広がっていく一方だったから、受験を考えたのだ。でも、受験を受けて合格してもこの差は縮まらないと確信をしていた。

 それは、柚月や沙蘭たちが凄いとか私ができないとかそういう話ではない。私が他の人たちと比較をし続けているからだ。他の人たちと比較したくてしてるわけではない。でも、気がついたら他の人と比較している。私は、自分の人生を生きることができていなかった。

 そんな私と対照的なのが、妹の陽菜乃だった。陽菜乃は、長所短所がはっきりしている。長所である学業成績に自分のもてる時間をすべて費やしていた。一方で短所の人付き合いは、何も改善することはなかった。

 時々、私も陽菜乃みたいに生きることができたらなって思う。それは、簡単なことじゃない。陽菜乃になったら、苦手な対人関係で苦労する。どんなことも一人でなんとかしないといけない。時々、陽菜乃がつらそうにも見える。それでも、毎日楽しそうに生活する陽菜乃は、私にとって、とても大切な存在だった。

 そんな陽菜乃が受験するのだ。やっぱり、邪魔はできない。陽菜乃が合格して、喜んでから自分のこれからを考えてもいいんじゃないかと思う。陽菜乃の大学試験日は、1月30日と1月31日。合格発表日は、2月5日らしい。今は、勉強じゃなくてバイトを頑張ること決めたのだ。

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