1月8日 元プロ
今日は、久しぶりのバイトだった。私は、少しずつ、このバイトにも慣れてきていた。
店長「今日、18時から、6名くるから、セットしといて」
私 「わかりました」
6名かぁ。多いな。私は、掘りごたつの席に置いた方がいいと思い、皿やナイフなどをセットを準備することにした。
店長「そこ、めんどくさいから気をつけろよ」
私 「えっ?」
ナイフとフォークを持ちかけた手を止め、店長の方を向いた。
店長「結構、いろいろ言うてくるよ」
私 「そうなんですね。どんな方ですか?」
背が高く、高級腕時計をしてる人を想像してしまっていた。
店長「なんか、元プロかなんか言うてた気がする」
元プロ?
私 「なんのプロなんですか?」
店長「ゴルフやゴルフ」
ゴルフのプロかぁ、、、、。
私 「凄いですね。お金たくさんもってそう」
店長「そうや。お金落としてくれるからな」
店長からしたら、誰がくるというよりかは、どれだけお金を落としてくれるかの方が重要だった。
私 「いいですね」
そんな話を洗い場でしていた時、声が聞こえてきた。"お疲れ様です"。低めの声だった、店長は、タバコを吸いながらスマホを触っていた。慌てて、私は、カウンターの前に出て行った。そこに立っていたのは、神城だった。
神城「おう!おつかれ」
私 「お疲れ様です」
深々とお辞儀をした。
神城「今日は、どんな感じかなー?」
颯爽と私の横を通り抜け、洗い場へ入っていく。当然、そこには、当然、店長がいたのだ。なにやら、話をしていた。私も慌てて戻ると、神城は、予約が書いてあるカレンダーを見つめていたのだ。
店長「今日、プロ来るから、早よ準備しろよ」
神城「また、来るんすか?めんどくさいですね」
神城は、スマホと店長の顔を相互に見返す。
店長「ああ。今日は、6や」
神城「しゃーないすね」
偉そうに言うけど、店長は、神城さんのことが可愛くて仕方がないんだろうと思っていた。
店長「今日は、何しとったんや?」
神城「今日は、バスケっすね」
バスケしてるんだ。
店長「お前は、大学行って勉強しろよ」
神城「まぁ、めんどくさいんでね。ハハハハ」
神城さんの行っている大学は、偏差値が高いはず。なのに、遊んでいる余裕があるなんてさすがだ。




