1月2日 喜早旭
年が明けて2日目の朝。私は、朝から単語帳を眺めていた。陽菜乃が勉強モードに切り替わっていることに気づいてから、私も感化されるように勉強を始めていた。
今の自分の学力でいける大学は、ざっと2.3校ってとこだろう。今さら、大学を変えてまで入る必要があるのかはわからない。でも、このまま仕事をするっていう気持ちにもならないのが現実だった。
今までは、なんとなく惰性で勉強して、大学に入って、仕事をしてみたいな感じが強かった。でも、大学まで入ってみたら、自分は何がしたいんだろうとずっと自問自答する毎日。何かやってみるけど、思う通りにいかない。思ってたのと違う。こんな人生でいいのだろうか?結局、モチベーションが下がって、大学に行かなくて、、、、、。自分の人生をふりかえるのは残酷なことだった。柚月が戻ってきたので私はスマホを閉じた。
私 「バスケどうなの?」
柚月 「うーん。なかなか難しいね」
言葉とは裏腹に、彼女は前を向いていた。
私 「えっ、柚月でも出れないの?」
柚月 「やっぱり、上手い人は多いから」
彼女がいる大学は、スポーツの名門校。それだけ試合に出ることは難しいことなのだろう。
私 「ベンチにも入れないの?」
柚月 「余裕で入れない。まぁ、それはいいんだけどね」
何か他に言いたそうだった。
私 「何が嫌なの?」
柚月 「お兄ちゃん、やめたんだよ?」
彼女の口調が強くなった。
私 「何を?」
柚月 「大学」
私 「えー、、、、」
私は、驚きで言葉が出てこなかった。
柚月 「やばいよね。めっちゃ止めたんだけど全然ダメで」
私 「今、何してるの?」
柚月 「今は、バイトしてるよ」
私 「私と一緒じゃん」
柚月は、お兄ちゃんと一緒の私を心配するのだろう。
柚月 「心配なのよ」
私 「大学辞めたこともそうだけど、サッカー辞めたのが驚きだ」
あれだけ上手かったサッカーも簡単に辞めてしまえるのが不思議だった。
柚月 「私もサッカーは辞めてほしくなかったのよね」
私 「カッコいいもんね、旭さん」
柚月 「怪我が影響したみたいだよ」
サッカーは、怪我がつきもののスポーツ。仕方がないのかもしれない。
私 「怪我かぁ。でも、一年前とか全国大会で出てたもんね」
柚月 「あっけないよね」
柚月の兄、旭が簡単に大学を辞めてしまったことに心のモヤモヤが溜まってしまっていた。




