12月31日 ナンパ
今日で今年も最後。いろんなことがあった1年だったけどとりあえず忘れることにしようと考えていた。昨日から、ずっと連絡がくるこの謎の男。どうすればいいのだろうか?彼のことを忘れようと放置しても連絡がくるからなかなか忘れさせてくれない。めんどくさい男だ。
陽菜乃「お姉ちゃんー」
私 「何?」
階段から降りてきた陽菜乃は、真っ直ぐ私の方に来た。
陽菜乃「昼からお菓子買いに行こうよ」
私 「お菓子?」
彼女が何を言っているか理解できなかった。そんな彼女が県内でベスト5の中に入るくらい賢いというのにも驚きだ。
陽菜乃「うん」
私 「なんでよ。家にあるでしょ」
陽菜乃「夜、起きてるでしょ?」
私 「夜?」
陽菜乃「今日、朝まで起きてるってこと」
どうやら彼女は、年明けをオールしようとしていることがわかった。まだ、高校生だから仕方ないかと思う私がいた。
私 「ああ、そういうことね。まぁ、そうかもしれないけど、お菓子なんて食べないでしょ」
陽菜乃「いいじゃない。買いに行こうよ」
最近、運動もしてないし、体重が増える一方だったが、陽菜乃の話は断れない。
私 「わかったよ」
陽菜乃「何時に行く?」
私 「じゃあ、今から準備するから行こう」
仕方なく、準備することにした。その時、さっきの八幡という子のことがよぎってしまった。
陽菜乃「やったぁ」
私 「陽菜乃って、聖徳高校の人知ってたりするの?」
彼は、何者だろう。聖徳高校3年で夏まで野球部だということしかわからない。
陽菜乃「うーん。人によるかな。誰?」
私 「それは、言えない」
これ以上、陽菜乃に聞くと面倒くさい気がした。
陽菜乃「なんでよ、教えてよ」
私 「教えないよ」
陽菜乃「じゃあ、性別だけ教えて」
私 「男子」
ついつい、答えてしまった。
陽菜乃「えぇ、またナンパされたの?」
私 「別にナンパされたなんて言ってないでしょ」
彼女の言い方についつい言い返してしまう。
陽菜乃「年下?」
私 「うん、陽菜乃と同じ学年の子らしい」
陽菜乃「じゃあ、この前みたいに知ってるかも」
この前も、バイトの子について陽菜乃に聞いてしまっている自分に気がついた。今日から明日にかけて、陽菜乃と語り合っているのだろうとつい考えてしまっていた。




