12月30日 八幡修也
今年も後2日。今日から多くの人は、休みになる。母も父も陽菜乃も家にいた。母は、大掃除、父は実家に帰ろうとしていた。陽菜乃は、勉強をしていた。私は、部屋でこの前のドラマの続きをみていた。
ドラマの中では、男性が今の現状に対して必死に嘆いていた。仕事をやめて、彼女とも別れ、お金もなくなりかけている。一人暮らしで、親の助けもかりれない。同年代の友だちも就職しており、会いにくい状況だった。ドラマだが、主人公の男性の気持ちはなんとなく想像できる。
ドラマを見ていると、一昨日に出会った男性のことを思い出した。確か名前は、八幡とかいう名前だった気がする。あの時は、私が自転車置き場で涙を流していたこともあり、彼を困惑させてしまっていたかもしれない。
彼は、後ろから声をかけてくれた。そして、そっとハンカチを渡す。私は、見知らぬ男の子ということもあり、少し驚いた。しかし、男の子は、聖徳高校の制服を着ていた。詳しく聞くと、彼は、聖徳高校の3年生らしい。私の一つ学年が下なだけで、もしかしたら、私が高校生の時、出会っていたかもしれない。そう思うと少し、不思議な気持ちになった。
彼は、私立クラスの野球部で、彼女もいるそうだ。8月で野球部は引退したが、大学でも野球を続けるために、今も練習をしているらしい。野球では、ショートのポジションらしい。野球のことをよく知らない私だったが、楽しく教えてくれた。そして、彼女のことも話してくれた。同じ高校だが、みんなには付き合っていることを恥ずかしくて伝えてないらしい。高校生らしいなと思った。
高校3年生ということは、陽菜乃と同じ学年。私は、大学をやめて、家に引きこもっていることも伝えた。彼は、何も気にすることなく質問を続けた。そして、私には、妹がいることも話した。今は、受験勉強を再びしていることも伝えた。初対面のはずなのに、自分のことをいろいろ話をしてしまった。
わずか15分ほどだったが、とても楽しかった。別れ際には、彼から連絡先を聞かれ、交換もした。彼女がいる子にそんなことをしていいのかと疑問に思ったが。交換してから、1時間ぐらい経った後、彼から連絡が来たのだった。
内容は、短文で「大丈夫ですか?」という7文字だけだった。私は、なんて返信すればよいか困ったので、既読をつけずにスマートフォンを放置していた。聖徳高校3年生には、バイト先の湊谷や渡邉もおり、変な噂がたつことも怖かった。




