12月26日 大学3年生
クリスマスシーズンも過ぎ、店内の点灯も薄暗くなっていた。ピアスを開けた神城は、昨日まで使っていたライトを段ボールの中にしまい始めていた。今日は、お客さんもほとんど入っておらず、みんなで話す余裕もあった。
神城「土屋さんは、これからどうするんですか?」
私 「‥‥。あぁ、全然決めてないです」
私は、段ボールの底をガムテープで止めていた。
神城「遊ばないんですか?」
私 「遊ぶの?」
神城「遊ばないともったいなくないですか?」
真顔で言う神城の顔が少しおかしく思えた。
私 「うーん。どうなんですかねぇ」
神城「遊んでないとなると、彼氏とかもいないんですかぁ?」
私 「いませんよ。神城さんは?」
神城「俺?いるわけないじゃん」
しかし、神城の指には指輪がはめられていた。
店長「コイツ変わっとるから、無理やわ」
店長は、私たちの会話に参加してきた。私は、笑ってしまった。
神城「そんなん言わないでくださいよ」
笑いながら、話し続けた。
私 「神城さんって、本当は、大学3年生の代になるんですか?」
神城「そうそう。土屋さんは、今年1年だよね?」
私 「そうですよ。高校は、聖徳ですか?」
神城「いや、俺は淮南だよ」
淮南高校。今や聖徳高校より人気があり、勉強だけでなくスポーツにも最近力を入れているらしい。
私 「そうなんですね。中学校はどこですか?」
神城「中学校は、八代北。高校はどこ?」
私 「私は、八代東から聖徳です」
神城「聖徳かぁ。聖徳に知り合いあるかなぁ?」
神城は、段ボールをひっくり返していた。
私 「神城さんの時の有名な人って誰なんですかぁ?」
神城「有名な人?難しいなぁ」
頭を触りながら考えていた。
神城「男子やと、山田、喜早、溝江、北條。女子やと、嶋内、片山、湊谷とか」
私 「みんな知らないなぁ」
神城「まぁ、2つ上なんで仕方ないよ」
2つ上の代は、中学校、高校とあまり覚えていない。
私 「そうですよね」
神城「聖徳やもんな。でも、山田と喜早は、弟同じ学年ちゃうかな?」
山田と喜早の名前が頭の中に思い浮かべた。あっ‥‥!
私 「もしかして、両方とも知ってるかも」
神城「でしょ?」
私 「山田優太と喜早旭だぁ」
喜早は、珍しい名前だし、普通に考えたら遥のお兄ちゃんしかいない。




