12月23日 救急車
今日は、目覚めのいい朝だった。昨日、早く寝たせいか、途中で起きることもなかった。親は、仕事。陽菜乃は、勉強することを聞いていた。9時50分頃に起きた私は、階段を降り、顔を洗いに行った。顔を洗うと、台所に向かい、昨日食べたクリームパンの残りを食べ始めた。
そういえば、今日は、友だちと集まる日だった。喜早柚月、三谷沙蘭、園田柚希の3人が来る。当日となった今日まで、行くか迷っていた。みんなに会えないのは寂しい。でも、今、行ったとしても、私は胸をはれるのだろうか?私は、現実と向き合うのを恐れていた。コップに烏龍茶を注いだ。
明日がクリスマスイブということにも困っていた。というのも、柚月の彼氏である柊尚人と私の元カレが仲が良かったからだ。さらに、沙蘭は、中川右京と、柚希は、本田航と付き合っており、行けば必ず恋愛の話にもなるだろう。
あれやこれやと考えるだけで気が重くなっていた。今は、午前10時。集まるのは、午後18時から。考えるには、まだ余裕があった。午後の14時くらいまで悩んで考えようと決め、烏龍茶を飲み干した。
そう言えば、今日は、朝から陽菜乃と話をしていない。部屋で勉強しているのだろうか?私は、2階にある陽菜乃の部屋を覗いた。しかし、陽菜乃がいる気配はない。
「明日は、家で勉強する」と昨日言っていたはずだったが、あれは嘘なのか?よく、わからないが、図書館でも行って勉強でもしているのだろうと思い、私は、陽菜乃の部屋のドアを閉めて階段を降りようとした。すると、"お姉ちゃん"と叫び声が聞こえてきた。
私は、すぐに先ほどの陽菜乃の部屋に入った。陽菜乃は、手を伸ばして、私にサインを送る。陽菜乃は、とても苦しそうにしていた。"陽菜乃"。陽菜乃の肩を叩くも、応答できない。息が苦しそうに胸をおさえていた。
どうしたよいかわからない。とりあえず、スマホを探した。しかし、見つからない。私は、慌てて、自分の部屋に戻りスマホをとった。そして、両親に今の状況を伝えて、救急車を呼び出した。
"陽菜乃、もうすぐ救急車来るからね。もうちょっと、我慢してよ"。陽菜乃は、私の小指を握ってきた。とても、大粒の汗をかいていた。"うん、大丈夫だよ"。とても、返答できる様子ではなかった。
10分程度、陽菜乃の手を握りながら、様子を見守っていると救急車が到着した。私は、慌てて陽菜乃と一緒に階段を降りていった。




