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再会

期日が迫る!!


アメリカ時間でも、急がなきゃ!!

「何があったのだ?」


そう言いつつも、外で起こる事にはまるで蚊帳の外と言った表情の士官。


「はっ、哨戒部隊が近辺の村にいた不審な男を捕えました。 と言っても、村人たちにより暴行を受け、

 かなりの衰弱状態ですが・・・服装から判断して、恐らく米軍の兵士かと。」


報告するのは肩からカラシニコフ銃をぶら下げた兵士。


この男ばかりでは無い、この部屋に居る兵卒も皆兵士という職業が板に付いていないような風情だ。


手に持っているのがAKでなく、農作業の農具のほうがよっぽど似合う――そんな印象を受ける。


「ま、はっきり言って病院に連れて行く必要は無いでしょうな―――

 あれじゃ、一週間も持ちませんよ。」


「ほう―――どんな具合だった?」


「―――よっぽど米軍に恨みのある村人にとっ捕まったんでしょうね。 腹や足は刃物で刺されるわ、

 顔面には痣ができるわ―――ありゃ三日持てばいい方ですよ。」


そう言いながら部屋を後にする兵の帽子には、共産圏の所属を示す赤い星のマーク。


「おもしれぇな、よし俺は二日でくたばるにウォッカ一本。」


「よぉし、じゃあ3日以上持ちこたえるに俺もウォッカ一本。」


戦地だと言うのに、のんびりした会話が存在するのにはわけがある。


彼らが今居るこの場所は、南ベトナム軍と米軍の兵士の捕虜収容所である。


味方がいる場所に向けて、航空機が大きな爆弾を投下したりと言う事はまずないだろう。


捕虜を盾に出来ているという優越感が、彼らの中にあった。


事実それは過信でもなく、米軍兵士が捕らわれている収容所に米軍が空爆を仕掛けると言う事例も無かった。




「ぬグッ――――ハァ・・・」


その頃マケインは、自分が謎の賭けの対象になっているとも知らず苦しんでいた。


腹や足からはすでに赤黒くなった流血の痕、脱出時に折れた両腕―――


だが、あろうことかマケインを捕虜とした北ベトナム軍は、彼を病院へ連れて行こうとしなかった。


代わって、重傷のマケインを蒸し暑い収容所の房の中、同じ境遇の仲間達が必死に彼を看病する。


「ったく、ひでぇことしやがる。」


「おい、お前は国に家族が居るんだろ? だったらこんな未開地でくたばるんじゃ無いぞ!」


味方の捕虜が呟く敵の不満、自分への励ましが実際のところ一番の治療薬になっている。


腹や足に巻かれているのは白い包帯の代わりに、自分が着ていたシャツを仲間が無造作に破った即席の包帯。


さらには、この収容所―――見た感じではでは拷問は普通に横行しているらしい。


マケインがこの房に運び込まれる時も苦悶を訴える叫び、そして今彼が共に居る仲間の顔にも痣のような物が多数あった。


“捕虜に拷問を加えてはいけない”その常識が通じない相手がこの収容所の看守達なのだ。


例え持ちこたえても、マケイン達が気の安らぐ事は無いだろう。


だが、彼にはどうしても死ねない理由がある。


生きてアメリカに帰らないといけない理由がある!


「分かってる、死ねと言われても―――生き延びてやるさ!」


「へっそうだ、その意気だ。」


「ふ〜ん、思ったより元気そうだな。」


その時だった、突如房の外で冷たさを感じる声が聞こえた。


敵の兵士が大きな檻の外で腕を組みニヤニヤ笑って佇んでいる。


同時に酒臭いにおいが漂ってきた。


「何か用か? 新入りのこいつを拷問するならやめときな。 加減を知らないお前らだと、吐く前に死ぬからよ。」


「別に拷問する気は無い。 ただ、お前には賭けを面白くしてもらおう。」


そう言って敵兵が取り出したのは、銀色に禍々しく光る物体。


「トカレフだと! てめぇ、捕虜を殺す気か!?」


「どうせそいつは一週間は持つまい。 どうせなら、2日から3日の間にくたばって貰うと―――面白いからな。」


敵が一体何を言っているのかはわからなかったが、こちらに対して殺意があることだけは容易に分かった。


それも、房に抑留された一方的な状態で―――


「腹に一発だ―――どけ、他の奴らも喰らいたいのか?」


だが、捕虜たちはどかずにマケインの前に立ちはだかる。


酔った敵兵とマケイン達、まさに一触即発と言ったその時だった―――


「何をしている!」


この兵士の服装とは違い、上官であることを示す緑の士官服姿の敵士官―――見た目は40台と言うところだろうか。


「捕虜に勝手なことをするなと言ってあるだろう!」


どうやら酔っても、この男の頭は相手が上官だという認識は出来たらしい。


「―――しかしっ、こいつらが落とした爆弾で、俺の家族は!!」


「彼らを殺したからといって、お前の家族が返ってくるわけではあるまい? それとも、彼らの許に逝きたいのか?」


その上官の手にも、トカレフ拳銃が握られていたが、その銃口は同志である筈の兵にと向けられていた。


「最近、部隊内の秩序が乱れている。 秩序を正すためなら、同志を撃つのもやむを得ないとのお達しも来ている。

 さあ、どうするかね? 偉大な同志、レオニード・ブレジネフに逆らう気か?」


「ちッ!!」


ガンを飛ばしながらその兵士は去っていくと、マケイン達の間で安堵が広がる。


目の前の士官、どうやら話が分かる奴らしい。


「すまんな。 アンタ、なかなかいい奴だな―――」


その時、仲間の一人が外に居る士官に向けて言うと、彼はフッと軽く笑った。


「そうか?」


「まあ、そんな感じがするぜ。」


「なに・・・太平洋戦争では、連合軍の兵士として参加したからな。

 アメリカ人のことは、少しくらいは知ってる。」


昔を思い出しつつ、物哀しい表情の士官。


ほんの20年前―――それまでは味方同士だったのに、世界というものは非情だ。


「―――ところで、ここにマケイン、ジョン・マケインは居るか?」


自分の名前を呼ばれて、返事がし辛いためマケインは挙手で答えた。


「君か・・・出ろ。お前を病院に搬送する。」


房から出されて自分を病院へ搬送すると言う。


だが、マケインの心境は複雑だった。


きっと、父親が海軍大将だという事がバレたに違いない。





数日後、北ベトナム軍は海軍大将の息子、ジョン・マケインを捕縛したと公表した。


海軍大将の息子と言うこともあり、象徴的である彼を取り戻すために交渉を始めるか?


それとも、作戦遂行を優先するために敢えて他の捕虜と同等に扱うか?


アメリカは判断に困る決断を迫られる。


そんな中、ノーフォークでは空母フォレスタルの修理が完了した。


彼女の今度の航海は、穏やかな海が広がる地中海に向けてとなっている。


オーリスやティコ、そして妹たちもベトナムで戦っているというのに、フォルは自分だけが戦地から遠く離れた

地中海に派遣されるのということに、事故の後と言う事を考慮してもいささか心苦しさを覚えた。


久々に仕事場に戻って来たクルー達が実際に発艦を伴わない仮想の訓練に励むのを、アイランドから見つめるフォル。


早朝の朝日に、フォルの銀髪が輝く。


だが、彼女の表情は決して晴れないものだった。


新しく配属された見慣れないクルーの顔が目立つ―――やはりその中に、彼の姿は無い。


事故が起きなければ今も彼と一緒にいれた、たくさん話も出来た―――


生きてると信じていても、彼と離れ離れになった事は悲しみ以外の何物でもない。


(もっと話をしたかったのに―――ううん、ただ一緒にいるだけで良かったのに)


艦尾付近では、事故の後という事もあって緊急時の脱出訓練なども行われている。


中には、あの事故の時に奇跡的に助かった大砲制御室の下士官たちもいる。


経験者から新人へノウハウが伝えられていく、事故の教訓が生かされていた。


フォルが手すりにつかまって、フライトデッキで作業をするクルー達を眺めていた時だった―――


「ん?―――ぶほっ!!?」


彼女の目に白い何かが映るのと、それが自分の顔に覆いかぶさるのはほぼ同時だった。


「か、紙―――これは、新聞!? 風で飛ばされたのね・・・あ!」


飛んできた新聞、この日のニューヨークタイムズのトップ記事を見て、フォルは待ち焦がれていた名前があるのを発見した。


“マケイン海軍大将の息子、捕縛される!”


しかしそれを見たフォルの目には、うっすらと悲しみとは違う涙が―――


「良かった―――生きてるって信じてたよ、マッキー。」


誰も見ていた者はいなかったがこの時彼女の表情は、事故以来一番と思えるほどの満面の笑みだった。





1968年、空母フォレスタルはベトナムの戦列を離れた後、地中海に向けて出港―――


第6艦隊の空母打撃群主力艦として地中海に展開した。


この間、マケインの父親であるジョン・S・マケイン二世がアメリカ太平洋軍の司令長官となる。


この時一つの提案が、北ベトナム軍よりアメリカへともたらされる。


それは、捕縛されて捕虜となっていたマケインの解放だった。



「そうですか―――」


それを収容所に訪れるアメリカ側の大使と面会した時に、マケインはそう呟いた。


ギプス姿のマケイン―――拷問はやはりあったのだろう、極度の精神的苦痛により彼の髪は30台にも関わらず白くなっていた。


だが、そんなマケインの返答は目の前の大使や早期解放を願う国民達の期待に反するものだった。


「しかし、それは断ります。」


「何? 君は自分が言ってる事が分かってるのかね? 解放されるんだぞ、君は―――なのになぜ断る必要がある?」


一息ついて、彼は思い出す言葉を言うように口を開いた。


「First in,First out.―――最初に入った者が最初に出る。 捕虜になった時の、米海軍の行動規範です。

 もし自分より前に入った人が一人も居なくなった時に―――その時は自分を収容所から出していただきたい。」


「しかしね、この後も無事でいられる保証はどこにもないんだぞ?」


「それでも結構です。 自分には家族や、アメリカに帰らなければいけない理由―――私の帰りを待ってる人がいます。

 ですが私を解放する事で、北ベトナム軍は事実に反して人道的であるというプロパガンダが広まってしまいます。

 悪意が見え隠れした偽善にあやかってまで私が逃げ帰ったら、それこそ彼らは悲しみ怒るかもしれません。

 皆も、きっと分かってくれる筈です。」


それを聞いて諦めたのか、それともマケインの話を聞いて納得したのかはわからないが、

大使としてやって来たその男は立ちあがる。


「―――今回のような話は、もう二度と無いかもしれないぞ。 だが、それでも良いのかね?」


呆れたように言う大使の男―――


「はい、それで結構です。 それから―――」


彼は自分にとって最も影響力のある人物の顔を思い出して一瞬悩むが、結局言う事にした。


「父に伝言を頼みます。 “出来の悪い息子で、申し訳ない”と。」



解放の美味しい話を蹴ったマケイン。


だがそれは、捕虜としての辛い日々が続く事を意味していた。


肉体的拷問は外から彼を責め、反アメリカのプロパガンダにサインを強制される事は彼の精神を内側から削った。


辛さ故に自殺を考えた事もあった。


だが脳裏に浮かぶ家族、そして大切な親友が必ず自分を引きとめる。


そんな日々が、数年続いたある日―――


「出ろ。 お前たちは釈放だ。」


同じ房にいた捕虜たちの間で、一斉に歓声が上がった。


1973年 3月15日―――


ジョン・マケインは、アメリカの理念―――自由を再び手にした。


この他国での経験により培われた、ある夢を抱いて―――




それからさらに、8年の月日が流れた1981年―――


既に50手前となったマケインは、この日ノーフォークを訪れていた。


内にあるはやる気持ちを抑えながら彼は、グレーの美しい造形美を持つ艦の前まで来ていた。


全盛期に比べ衰えた足腰だが、タラップを上るのはまだ苦じゃない。


懐かしい感触―――あの事故以来、実に14年の歳月が経過していた。


艦橋構造物、アイランドには《59》の数字が―――


タラップを上り終えたマケイン、辺りを見回すが待ち望んだ人影が無い。


自分を待つ約束をした筈なのに、彼女の姿はどこにもなかった。


「まさか―――年を取り過ぎた俺にはもう見えなくなったのか?」


不吉な考えが頭をよぎったマケイン、その時誰かが彼を後ろからガバッと抱きしめた。


14年前に覚えているより、手の位置が少し上にあがっている。


「―――ただいま、フォリー。」


「おかえり、マッキー。」


この14年の間に、マケインとフォルは他の艦で再会を果たしていた。


しかし、彼事故以来フォレスタルへと帰って来たのは今日が初めてだった。


フォルが手を離すと、お互いに向き直る。


やはり、フォルはあの時に比べ少し成長していた。


「フォリー、立派になったな。」


「ふふ、おかげ様でね。」


二人が再会を祝して言葉を交換し合っていた時、近くに光が集まった。


現れた人影―――マケインも良く知る、空母の艦魂だった。


「オーリスさん! 来てくれたんですねって、アレ??」


確かにオーリスは居たのだが、もう一人の人影があった。


それも、オーリスに背負われる形で、10歳より手前の海軍の制服を着た小さい子供だった。


真新しい制服で、逆に制服に着られているようだ。


「あなた確か―――ティコちゃん、だっけ?」


「そ〜だよ、久しぶりだねフォル司令!」


「ティコ、目上の人には敬語を使いなさいと何度言ったら―――」


ため息交じりに言うオーリス、知らない人が見たらまるで母親とその子だと思うかもしれない。


「あ、紹介するねマッキー。 彼女は、今年就役した最新鋭艦―――ミサイル巡洋艦タイコンデロガの艦魂の、ティコちゃんだよ。」


ティコ、といってもフォルが負傷した時に妹たちによるお見舞いを提案した空母タイコンデロガの艦魂ティコとは別人である。


「ティコちゃんか・・・俺はジョン・マケイン。 昔、フォレスタルやオリスカニーのパイロットだった男だ。

 ところでオーリス、なんでティコちゃんをおぶっているんだ? それじゃまるで母親だぞ?」


「私がいつ産んだっ!! そうじゃない、こいつが懐いて来たんだ。 ただ、それだけだ!」


顔を赤くしながら、オーリスが必死に弁解する。


「それだけですか? いつか、“でも、アイツと同じ名前だから何か放っておけない”って言ってたじゃないですか。」


「んっ―――そ、そう言った事もあったかもしれないな・・・。」


たちまち沈黙してしまうオーリス。


それもフォリーの成長の賜物だろうか・・・?


「アイツっていうのは?」


「空母タイコンデロガの艦魂、名前も同じでティコさんよ。 5年前に、解体されて最期を迎えられたわ。

 私やキティーに、米海軍の後を託されてね。」


「そして名前が同じ子が、今度は巡洋艦としてか―――確かに、運命を感じるな。」


マケインが自分には似合わないロマンチックな言葉を言うと、フォルは苦笑しオーリスはまた一段と顔を赤くした。


話が弾んでいた中、フォルの背中を誰かがツンツンと突いた。


「ん?」


フォルが振り返った先にいたのは二人の少女。


肩までの長さで切りそろえた青い髪が特徴の少女、もう一人は茶髪のショートカットの少女だ。


二人とも米海の制服を着ているところを見て、マケインは瞬時に二人が艦魂である事を見抜いた。


「あの、ちょっと良いですか?」


青い髪の方の少女が、フォルに尋ねる。


「ニミーにアイじゃない、どうしたの?」


ニミーと呼ばれたのは青い髪の少女、ニミッツ級原子力航空母艦のネームシップ、ニミッツの艦魂。


そして、もう一人のアイと呼ばれたのはニミーの妹、ニミッツ級航空母艦の2番艦、ドワイト・D・アイゼンハワーの艦魂。


生まれて草々、米海軍の重要なポストにいる彼女たちだが、経験が無い彼女たちにとって失敗や行き詰る事がよくあった。


そんな時の頼れる先輩が、フォルであったり空母キティホークの艦魂のキティだったりするのだ。


「実は、計算が―――」


ニミーが最初に口を開く―――


「全然合わなくて―――」


次いでアイ。


「私たち―――」


またニミー。


「困ってるんですよ。」


最後にアイが〆た。


「今の、一人がぜんぶ言えば良かったんじゃない??」


フォルがちょっと驚いたように言うと、ニミーとアイが顔を合わせる。


「「そうですね。」」


そして、二人の声が見事にかぶった。


(ははは、姉妹仲が良いのね―――そう言う事にしておこうかしら)




ニミー達は問題を解決すると、すぐに自艦へと帰っていった。


マケインのもとに戻った彼女、するとマケインはアイランドで彼女を待っていた。


「ごめんねマッキー、ドタバタして聞けていなかったわ。 話が、あるんでしょ?」


「ああ」とだけ言うと、彼はフォルの方を向かずに海の向こうを眺めていた。


「実はな俺、軍を除隊しようと思うんだ。」


突然の切り出しに、反応に困るフォル。


「フォリーにはすまないとも思う。 実際、父のようになっても良いかなとも思っていたが、俺にはどうも性に合わない。

 除隊して、お前と昔話した夢を、本当に叶えてみたいと思ったんだ。」


「それって・・・?」


フォルが見たマケインの表情は最初は複雑なものだったが、やがて迷いを払拭するように彼は笑う。


「俺は、軍を除隊した後―――政治家になろうと思う。 ベトナムでの経験や、フォリー達に教えてもらった。

 本当の平和って言うのは、お互いの人を信じて生まれる事だってな。 それを、政治に反映させたい。」


それを黙って聞いているフォル。


マケインは振り返るのがちょっと恐ろしくなった。


夢の為に軍を辞める―――だがマケインにとっては、まるで恋人と別れるかのような感覚だったからだ。


「覚えてたんだね、ずっと・・・」


「唐突で悪かった―――すまないと思う。」


「ちょっと待って、なんで謝るのよ?」


「―――怒らないのか? 俺は軍を辞めるって言ってるんだぞ、お前と別れるって言ってるんだぞ?」


「怒らないわよ。 それに、私にも夢があったから。」


物哀しさはある、しかしそれにも増してフォルにはある喜びがあった。


「私の夢はね―――平和ってのをずっと考える人に、この国の大統領になって貰う事だったの。

 マッキーみたいな人にね。」


それを聞いてマケインは照れを隠せなくなる。


「おいおい、大統領なんて―――スケールが大きすぎないか? まだ議員にもなっていないのに。」


「そんなこと無いわよ。 確かに、別れるのはチョットさびしい―――でも、それ以上に私は嬉しいの。」


思わぬフォルの反応に、マケインは頷かざるを得ない。


「それは―――」


と言いかけた時だった。


彼の唇に柔らかい感触が―――


「―――マッキー、私はあなたが好き。 人間だったら、恋人になりたいくらいに。 

 だから、マッキーが行こうとしている道を、私は応援したいの。」


ほんのりと顔を赤らめて言うフォルの言葉を聞いて、マケインの意志は固まった。


「分かった、ならば俺は政治家への道をありがたく進ませてもらうよ。 ところで、フォリー・・・」


「ん?」


「50過ぎのおっさんにキスなんて、後悔しないのか?」


マケインのその言葉を聞いた途端、フォルの顔が非常赤色灯に負けないくらいに真赤になった。


「そ、そんなの・・・言わないのが普通じゃない!! もう!! マッキーの馬鹿ぁ! K・Y!!

 ろくでなしっ!!! もう知らないッ!!!!」


羞恥が最高潮に達したためだろう、普段フォルからは聞けないような言葉が聞こえた。


言い終わると、涙目になってた彼女はフォレスタルの艦内のどこかに転移して行った。


その艦橋テラスに残っていたのは、未だにケラケラと笑う50過ぎのおっさんだけだった。


内容がちょっとスカスカになったかもしれないです。


多分、次話も合わせて加筆修正する可能性大ですので―――



それでは、次話で最終回。


この話も遂に完結します。

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