しょんぼり
「まさかの出会い頭だったね。はーーー。とりあえずなにも起こらなくてよかった。」
ノアが安堵のため息とともに呟く。
「でも、なんでこんな方まで来たんだろう?侍女が新人だったとしてもあの人、結構道には詳しくなってるはずだよね?道に迷うなんてことなるかな?ん?そんな怖い顔してどうしたの?」
「なんか、前回と印象というか雰囲気が違いすぎるように感じて……」
前はこう、人のことをバカにして、見下していたが、そのなかに優越感とか楽しさを感じている節があった。
しかし今回は、悪意しかないように感じられた。
どうしたんだろう。
「実際接点がないからわからないけど、聞いた話の通りのようだけどな。」
「うーん。」
私の考えすぎかなぁ。
そう思うことにしてノアと別れ、自室に戻った。
次の日、私は昨日買ってもらった探偵助手の格好で仕事に出掛けた。
すれ違う人が「誰?」みたいな反応をするが、制服で歩くときよりも反応がうすい。
一瞬ざわめいた気配もあった気がするが目的地についたのでスルーすることにする。
執務室の扉を開け中に入る。
「おや?」
「あれ?」
「あっ。」
事情のわかるノアは、笑いをこらえているが他のメンバーは、キョトンとして誰?という疑問を浮かべている。
「誰っすか?」
「道に迷ってしまってたんですか?」
誰も私と気づいていないのが、なんだかおかしくて、面白くて小さく笑う。
その瞬間。
「ん?」
アレンがひょいと首を傾げる。
「もしかして」
アレンは、ツカツカと歩み寄ってきて、なんの前触れもなく私の帽子を持ち上げる。
「え?」
あ、ばれた?
帽子の中にしまっていた髪の毛がばさりと落ちる。
「「えーーー!!!」」
「ななな、なんでそんな格好してんすか?」
「んー。ノアがこの格好で来いって言うから。」
「ノア!!説明しろ!!」
「いやぁ、実は昨日、出掛けたときに服を買ってさ。よく似合ってたからみんなにも見せてあげたいなと思ってお願いしたんだ。」
ノアが笑いをこらえながら説明する。
「はあ?」
「なんでアレンは、アイナだってわかったの?」
「笑い方がアイナのそれだったからな。」
え、なにそれ?
「貴女は自分で思っている笑いと実際に表情に出てるのとでは大分差があるんですよ。気づいていませんでしたか?」
「全然。」
「例えばすごく面白いと思って笑っているとき、実際には微笑む程度しかでていませんよ。」
そうなの?
「たぶん意図的に表情を作っている時は違うと思いますが、普段は自分で思い以上にでてないですよ。」
「へー。」
「自分のことなのにその反応?」
「自分の顔が見えないのでなんとも……この格好、ダメでした?」
やっぱり、騙されたのかと思いながら聞く。
「ダメと言うわけでは……」
「似合ってはいますよ。」
「ただ、ちょっとちびっ子…っす…」
ウォルター、小さい声でも聞こえてるぞ。
誰も目を合わせてくれない……
ちょっとしょんぼりしていると、どこからともなくノアがワンピースを出してたので、そちらに着替えることにした。




