ここまで来たらコスプレ?
ズボンを見ていたら、ノアが話しかけてきた。
「何か良いのがあった?気になるのがあるなら着てみたらどう?」
「いや、別に見ていただけなので。」
私の視線をたどって察しをつけてきた。
「ズボンはきたいの?」
「はきたいかはきたくないかで聞かれれば、はきたいです。」
「じゃあ、これと~あと、これ。あとこれだな。はい、着てみて。」
「はい?」
突然服の塊を押し付けられる。
「あら?試着?ならこっちよー。」
おネエに案内され、あっという間に試着室に押し込められる。
持たされた服を広げてみると白いシャツに青いチェックのハーフパンツ、同じ青い色のベストに青いスキャット帽。
探偵の助手みたい。
とりあえず着てみるが、やはり最初の印象通り探偵の助手だった。
「着れたぁ?」
「着るには着れましたが……」
「出てきて~。」
まあ、ズボンがはきたいって言ったのは私だからな。別に自分で見て変ではないからいいか。
あ、ついでに帽子の中に髪の毛全部しまっとこっ。
シャッとカーテンを開けて出る。
「どうでしょう?」
「わー。似合ってるよ!!どっかの貴族のお坊っちゃんみたい。」
「うんうん。可愛い!!」
え、何歳ぐらいの設定で話してます?
「10歳より前ぐらい?」
くっ。やはりか。
「どうせちびですよ。」
「気にしてるの?なんで?いーじゃない。可愛いわよー。でかくてむさいのよりちっちゃくて可愛いのがいいわ!!」
さいで。
近寄ってくる勢いがすごいおネエを避ける。
「じゃあさっ。これでお出掛けしようよ。」
「はい?」
「帽子かぶってるし、今日は暑いから上着なしのがいいでしょ?」
まぁ、そうですが。
「じゃあ決まり。いこっ。」
まじか。
グイグイと手を引っ張られ、店をあとにする。
注文の服と着ていた服は部屋まで届けてもらい、この服はノアがお支払である。
その後、ご飯を食べたり、本屋に行ったりした。
メリットとしては、ポンチョでない分涼しいのと既存の服なので街には溶け込めている。
デメリットとしては、歳より下に見られ、普段より増々である。
「今日は楽しかったね。」
「まぁ。」
若干いつもと違う視線もあったような気もするが気にしないでおこう。
自室へ帰る道の途中、見覚えのある侍女服にヒラヒラな淡いピンクのワンピースの人がいるのが目に入る。
おや?
そのワンピースの人に見覚えがある気がする。
「あ!イケメン発見!!」
威勢のいい発言と共にその人が小走りで走りよってくる。
ノアが一瞬嫌そうな顔をするが、すぐ業務用の笑顔を貼り付けた。
私だってここで問題を起こす気は更々ないので、素知らぬ顔をしてノアの影に隠れていることにした。
ふわふわという擬音が聞こえそうな雰囲気で楽しそうに近づいてきたのは、久々に見る聖女様こと浜島 凜だった。




