side:オリバーとアレン#2
またまた、重い足取りで団長の執務室を訪れる。
「失礼します。」
「おぅ。お疲れさん。昨日のことは聞いてるぞ。災難だったな。」
「いえ、それについて細かい報告に来ました。」
昨日の闇落ちについて詳細な報告を上げる。
報告を聞いた団長は、難しい顔をして天井を見上げながら話を聞いていた。
話が終わるとすぐに視線を戻す。
「第一のやつらがきっちり監視なりなんなりするっつってたが、やっぱりダメだったか。」
「そうですね。あの場には他に誰もいませんでした。私のわかる範囲では。」
「お前のわからん範囲のやつだったら相当な手練だし、そんな凄腕を監視に使うわけ無さそうだがな。」
言ってみたものの団長の言う通り。つまり、誰も付いていなかったのだろう。
「もう一人の、主犯のほうは?」
「現在、行方不明中。今、第三のやつらに街を、レティシアの班に情報収集と捜索をさせてる。」
「そうですか。それも第一は把握してなかったんですよね?」
「ああ……いや、把握はしていたらしいが所在確認は出来ていなかった。最初は家にいる、と言っていて、次に聞いたら、病気療養のため別荘にいるとか抜かしやがった。問い詰めたら行方不明だ。」
なんともまぁ、お粗末な話だ。
「そっちはまぁ、任せることにして、嬢ちゃんの様子は?」
「あの子もまぁ、変わった子です。いや、変わった子なのはわかっていたのですが。まさかの殺られる前殺ろうと相手の懐に飛び込むとは思いませんでしたし、怪我をしているのにやっていることが真面目と言うか想像の斜め上です。」
昨日着ていた上着が直されていたし、ご飯の件もある。
彼女の様子についても伝える。
「ポケットから何てもんを出すんだ、まったく。平和な国にいたって話なのに、発想が物騒だったり、度胸ありすぎだろ。」
団長が遠い目をしている。
「一緒に来た騎士のハルトは、対人戦をするとなったら気後れして、真剣を持たせたらビビりまくって使い物にならないって話だ。勇者のヨシムネの方は、ハルトより筋は良かったが、魔物の討伐に出て戦うまでは頑張っていたようだ。しかし、他のやつが敵の首を跳ねたのを見て卒倒したらしい。」
普通は、そうなるよな。
その子達より年下の女の子が刃物持ち歩いて、明らかに力量の違いものに一対一を張り、挙句の果てに自分の身を省みず刺し違えようとしたのだ。
地味にダメージをいれるために刺した刃物をグリグリとしたらしい。検分をした第三の者から報告が上がっている。
「そこまで来たら、嬢ちゃんの闇落ちも警戒したほうがいい。」
「それについてですが、多分大丈夫かと。」
「理由は?」
「刃物を持ち歩いていた理由を聞いたら、『向こうにいたときから自衛のために持っていた』と。しかも、何かあったときに死ぬために。」
「相手を殺すためでなく、自分が死ぬために、か。」
「はい。闇落ちは相手を憎み、殺そうとするものです。元々、誰かを陥れたり、他人を敬えない者が堕ちるものです。誰か傷つけたいと思っています。アイナは、誰かを傷つける前に自分が死のう、刺し違えようと考えます。それに考える方向が暗いですが……えぇ、暗いです。人間不信なところもだいぶあると思われます。闇を飼ってはいそうですが、それは『闇飼い』とは違うようです。だから……」
「俺もそう思うがな。とりあえず、いろんな意味で目をはなすんじゃねぇぞ。」
「はい。」
本当にいろんな意味で目の離せない子なのだ。




