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得意技披露

アレン視点です。

 三人が出ていくと沈黙が下りる。


 ご飯がやって来るのを待つ間、アイナは手持ちぶさたになったのか机のすみに片付けた書類を広げようとする。


 真面目だな。


「休憩時間なので、仕事をしなくても大丈夫ですよ。」

「そうですか?」


 広げようとしたてを止めて、また沈黙。


 何だろう、気不味い。何か話題を……


 するとアイナから話しかけてくる。


「切ったり、折ったりしてもいい紙、ありますか?」

「?ありますよ。……これを使ってください。」


 手持ちぶさたなのだな。休憩なのだから休憩すれば良いのに……


 要らない紙を渡すと、アイナは正方形になるように折り、余った端を切り取る。

 そして、その紙に折り目をつけては広げ、を繰り返している。

 何をしているのかが気になったので本人に尋ねてみる。


「何をしているのですか?」

「折り紙です。元の世界にあった、紙を折って違うものを作る遊びです。」

「へー。そんな遊びがあるんですね。好きなのですか?」

「好きです。」


 楽しいのか?

 イマイチよくわからない。ただ紙を折っているだけだが。


「どんなものが作れるのですか?」

「花とか鳥とか色々と作れます。ちなみに今は、薔薇を作っています。」

「バラ、ですか?」


 話をしながらも紙に折り目をつけていく。

 今のところ、折り目が増えていくだけで、バラになりそうな気配はない。


 本当に、何をしているのやら。楽しさが全然伝わってこない。


 アイナは黙々と折り目をつけていく。


「今のところ、折り目しかついていませんが?」

「この折り目が後から生きてくるんです。」

「へー。折り目がそれほど多いのに、よく覚えられましたね。」


 その質問をした瞬間、一瞬折り目をつける手が止まった。

 しかし、すぐ再起動する。

 そして、


「落ち込んでいる時に折り紙を折るのが好きなんです。落ち込めば落ち込むほど、折り目の多い折り紙を、紙のサイズを小さくして作るんです。」


 急に闇をぶっこんできた。


「……そうですか。」


 どう反応すればいいのか、反応に困る。


 それを無視してアイナは折り目をまだまだつけていく。

 折り目をつけ終わったのか、次はそれに沿って組み立てていく。

 そして、


「出来ました。」


 出来たものを掌にのせて、こちらに見せてくれる。

 覗き込んでみると、掌にちょこんと立体のバラの花がのっていた。


「すごい。平面だった一枚の紙から立体が作られるなんて、魔法ですか?」

「元の世界には、魔法はありませんよ。」

「そうでした。しかし、すごいですね。他にもつくれるんですよね?」


 尋ねれば「もう一枚、紙をくれれば。」と返事が来たので渡す。


 次は『ツル』という鳥を作ってくれた。

 さっきより簡単そうだが、自分では再現できない。

 そして、もう一つ『ケーキ』も作ってくれた。

 もちろん、全て一枚の紙から立体に仕上がっている。


 やっている動機は暗いし、作業も地味である。

 しかし、出来上がった物は感動ものだった。


 お昼が届くまでの手持ちぶさたが、楽しい待ち時間となったのだった。

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