進路希望調査
いちゃこらしている二人はほかっておいて、とりあえず話を進めよう。
近くにいた人に成人の年は幾つなの聞いてみる。
「15歳で成人です。社交デビューの年と一緒です。」
「そうなんですね。向こうの世界は20歳だったので、成人してるのは僕だけだったけど」
大学生がそこまで言ったところで、続きを私が紡ぐ。
「此方では全員、成人してることにりますね。」
ぽそりというと全員の視線がこちらに向く。
あ、もちろんいちゃこら組は別世界だから、気にしてないよ。
ん?なに?怖いんだけど。
「「15歳?」」
あぁ、そこね。ちびですみませんね。
あと、人を指差しちゃいけないんだぞ。
「15歳ですよ。」
きっと信じてもらえないであろうから、セーラー服の胸ポケットから生徒手帳をだす。
最初のページに生年月日が書かれている。
まだ若干落ち込みぎみの男子高校生に見せる。
「あぁ、ほんとだ。15歳だ。」
「えー。僕にも見せて!」
大学生が手帳を見ようと近づいてくる。
さっと胸ポケットに手帳をしまい、一歩後ろに下がる。
「なに?僕、なにもしてないよ。その行動、地味に傷つくんだけど。」
ごめんなさい。
今までであった男子は、「最低限の話をする」か「意地悪目的」かのどちらかしかいなかったもので……
あと、人見知りが発動した。
ちなみに私の中では、前者が男子高校生、後者が大学生だ。
さて、今後この人たちは、魔物の討伐に行くのだろうけど、私はどうする?
やりたいこと、進路希望は、ハッキリと伝えましょうって担任が言ってたな。
「あの、私は魔物討伐に行かなくていいですか?役に立たないと思うのですが。」
「うむ。成人済みといえど、突然魔物と戦えなどとはよう言わぬ。」
王さま話がわかる人!
でも、どうしよっかなー。
このまま頼み込んで、城に住まわせて貰うか、金を貰って城の外でなんとか暮らしていくか。
独り暮らししたことないから、城のが便利なんだろうけど、こんだけ人が沢山いるところは、全然落ち着かない。
正直にそれを伝えてみると、すぐに出ていくのは却下された。
流石に危ないと。でしょうね。
とりあえず、しばらく城に住んで、こっちの常識などを教えてもらうことになった。
で、出ていくことになったら、また詳しく話しましょうと言うことで話がまとまる。
綺麗にまとまったけど、本当に約束を守って貰えるかわかんないよな。
よし、出来ことは自分でやるようにしよう。