異世界へ
私の名前は佐藤 愛奈。15歳。
日本の地方都市に住むしがない中学三年生だ。
細かく言えば、学校でいじめられていて、世の中に絶望して毎日死んでしまいたいと思いながら過ごしていた。
それが何でこの中世ヨーロッパみたいな剣と魔法のファンタジー世界にいるかというと、『勇者召喚』に巻き込まれたからだ。
暇つぶしにネット小説でたまに読んだその手の話が、まさか現実に起こるとは思ってもみなかった。
『勇者召喚』の儀式を執り行ったのはマルサ王国という国だった。
この国の上の方々は、割りとお花畑な方が多いようで、『最近、魔物多くね?魔王復活すんじゃね?じゃあ、勇者召喚しよう。一人じゃ足りないかも!!三人ぐらい!!』と、勇者召喚をしたらしい。
召喚した勇者は3人だったはずなのに、4人現れたものだからあれ?どうした?みたいに皆でアイコンタクトをしていた。
一番困惑していたのはいきなり異世界に召喚された私たち。
予定外の事が起こってる?っていうのは雰囲気でわかる。
一緒に来たのは、金髪でチャラ男っぽい大学生と真面目そうな男子高校生、そしてその男子高校生と同じ制服をきた女子高生。
三人とも不安そうな、期待もあるような顔をしている。
たぶん私は無表情だけど。
私の表情筋死んでるから。
でも、私だって期待がない訳じゃない。
死んでしまいたいと思った世界より、魔法があるファンタジーな世界のが楽しいかもしれないから。
そんな淡い期待をこのときはまだ持てていたんだ。