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プロローグ

 

異性と仲良くしたいと思ったことはある。

 しかし、産まれてから三十年間そういう関係になった異性は一人もいない。


 ブサイクには彼女や女性の友達なんて出来るはずがない。ましてや三十歳のおっさんだ、夢も希望も無い。


 早木楓斗は自分の置かれている状況に絶望していた、普段通り今日も一人寂しく家路をとぼとぼと歩いていた。 


 この曲がり角を右に曲がれば数分も掛からず家に着く。


 しかし、早木楓斗が家に帰ることはなかった。


 目の前が真っ白な光に包まれたのだ、そしてその光が消えた時、そこに早木楓斗の姿はなかった。

             .

             .

             .

             .

 気が付くととそこはさっきまで歩いていた道ではなく、足元に

少し靄がかかった真っ白な部屋に替わっていた。


 部屋の中央に一人の女性が立っているのが見えた。しかも美女だ。長い黒髪のその美女は俺に向かってこう言った。

「ようこそ未来の勇者、早木 楓斗さん。」


 どうやら俺は頭を強く打って変な夢を見ているらしい...。

 

 美女はそれを見透かしているかのように

「残念ながらこれは現実だ。それでも尚、解らないのなら自分の頬をつねってみろ。」

と言った。

 言われた通り頬をつねってみると痛い、確かに痛かった。だが、そうすると何故、俺がここにいるのか解らなかった。

 すると美女は俺のことなどお構いなしに話を続けた

 「お前には異世界に転生して魔王を倒して欲しい。」

  彼女の口から出た言葉は、余りにも突拍子がなかった。


        

 

           沈黙が訪れる。


 つまりこれはあれだ、ゴールデンタイムとかにやるドッキリ番組のようだ。たまたま俺が通った道に番組スタッフが居たのだろう。

 このまま俺がドッキリだと言ってしまったら企画倒れになってしまう。それは可哀想なので、あえて気付いてないふりをして話を合わせよう。


「何故俺なんだ?」

 

 それっぽい表情でそれっぽいことを言ってみる。名演技だ。


「簡単なことだ。お前は明日死ぬからだよ。」

 「...へ?」

 突然のあまり変な声が出てしまった。いくらドッキリとはいえこれは放送禁止用語なのではと思うのだか...


 美女はそんな俺にはお構い無しに話を続ける。

「人は死んだら、生き返ることは出来ない。それが理だ。」

「だが、死ぬ前に、その人を別の場所に移せば、そいつが死ぬという事象は起こらなくなる。寿命で死なない限りな。」

「つまり私は、お前を救った救世主というわけだ。」

 なるほど、よく作り込まれている設定だ。なら少し困らせてやろう。


「俺はどうやって死んだんだ?」

 美女は俺を試すようににやけ笑いをしながらこう言った。

「いってもいいが、ものすっっっっっっごいグロテスクだぞ。」

「あぁ、聞かせてくれ。」

 さぁどんな嘘をいうのかな?


「轢かれたんだよ、トラックに、お前は内臓を撒き散らして死ぬんだよ。」

 

 うん、これは放送禁止になるレベルだ。生きている人に明日トラックに轢かれて死ぬとか不謹慎にも程がある。誰だか知らないけどこの女優炎上必至だな。取り敢えずこの話は終わりにしておこう。


「そ、それはともかく、その俺が今から行く世界の概要を教えてくれないか?」

「まぁ、いい、教えよう。」

 なんでこいつはこんな恍惚の表情を浮かべているんだ?


「とりあえず、この世界には魔法というものが存在する。そしてその魔法の力を使って世界を侵略しようとするものが魔王だ、何か質問は?」

「ありません。」

「そして今からお前には、そこで魔王を倒してもらう、質問は?」

「ありません。」


 これから異世界に飛ばされる人を見事に演じているもはや俳優の域だ。自分にこんな才能があったとは...。

「だが、お前は戦うにはあまりにも弱すぎる。そこでお前の三つの要望を聞こう。」


 来たぞこの展開。二つは堅実的にいって最後に地雷を仕掛けてやろう。


「じゃあ、取り敢えず、俺のパラメーターを強めに設定してくれ。」

「ん、意外と判断が早いんだな、まぁいいだろう。」

 あと一つはもう決まっている、だが、もう一つの願いはなかなか出てこない。

「あなたを連れて行くってことは...」

「無理だな。」

 即答だ、被せてきやがった。

「この仕事は替えが効かないんだ、残念だか私は行けない。」


 ここはアニメの様にはいかないらしい、俺のモテないスキルは健在のようだ。

「じ、じゃあ、なんでも入る鞄とかで...」

「了解だ。」


三つ目の願いはもう決まっている。この美女が困る表情が目に浮かぶ。これから怒るコメディに思わず吹き出しそうになる。

 俺はにやけ笑いをしながら、俺が思い付いた最高の地雷をかました。

        「俺を美少女にしてくれ。」

              .

              .

              .


           再び沈黙が訪れる。

 先に沈黙を破ったのは、美女だった。

「ほ、本当にそれでいいんだな?」

 明らかに戸惑いの表情を浮かべていた。ヤベェ口角上がりぱなしだ。

「ブフッ...ああ、間違いない。」

「...了解した。」


 最高の気分だ、


 美女は戸惑いを隠せていないようだったが、早口に話を進めた。

「もう、いい。さっさと転生の儀式を始めるぞ!」

「待ってました!」

「...意外と図太いんだな、お前。」

「俺自身でもびっくりしてるよ。」

「あと、いい忘れたが、お前はすでにあっちの世界の言語を会得している。すぐに会話をすることが可能だ。」

「バイリンガルだな☆」

「そうだな!!」


 こんなことをしていたら完全に黒歴史に間違いないが、そこに恥じらいはなかった。


「それじゃ始めるぞ。」

 その言葉と同時に、魔方陣が白く光出した。凄い演出だ、そしてその光はどんどん強さをましていった。そしてそんな最中美女は俺に向かってこう言った。

「今までの無礼は、聞かなかったことにしてやる。女神の慈悲だ、ありがたく思え。」

 もう、そんな設定いいから早く《ドッキリ大成功》の看板出してくれや。


 そんな会話をしているうちにも光は、どんどん強くなっていく。やがて光が目の前を真っ白く包み込んだ。

 


 しかしそこにあったのは《ドッキリ大成功》の看板ではなく。


 自分のいた世界のどこにも当てはまらない紛れもない異世界だった。

 御閲覧頂き、ありがとうございます。


 拙い文章ですが最後まで読んで頂けると嬉しいです。


 感想やこうした方が読みやすい等のアドバイスも待ってます。



 不定期でまったりとやっていくのでこれからよろしくお願いします。

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