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無課金無双  作者: 原雷火
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「仲間を集めろ」その4

異界には八百万もの神が存在していると言われている。


 神と冒険者を引き合わせ、冒険者に神の加護を与えるのが伝奏師の役目だった。


 当初、神と人を結びつける彼らを、唯一にして絶対なる光の最高神を掲げる教会は異端とした。


 だが、異界の神は魔王城攻略のために必要不可欠な存在であり、教会は異界の神々を「最高神に仕える守護天使」と定義することで、その存在を容認するような形になり、今に至る。


「ってことなんだけど、わかった?」


「光の最高神ってなんなんだ? なんか偉そうだな」


「いくら田舎でも教会くらいあったでしょ? 光の最高神はこの世界の神よ」


「その神さまが、魔王討伐に力を貸してくれないから、他の神さまを頼るってことだろ。だから偉そうなんだよ。神なら神らしく仕事しろっての」


「人間なのに堂々と光の最高神を批判するなんて、やっぱりユーマって変かも。けど、その通りなのよね。


 魔王の結界を打ち破り、外郭迷宮に侵入するには、人の力だけじゃ足りないの。そこで異界の神の力を借りようって話になったわけ」


「ちょ、ちょっと待て! 異界の神さまはなんで協力してくれるんだ? もし魔王に勝っても、異界の神さまがこの世界を支配する……なんてのはごめんだぞ」


 エリーは腕組みすると、思い出すように小首をかしげた。


「えっと……たしか、異界の神にとっても、魔王は倒すべき存在らしいの。


 侵略の意思まではそれこそ神のみぞ知る……だけど、現状のままでは魔王が復活しちゃうし、助けてくれるっていうなら、その力を借りるべきよ」


「異界の神が魔王を直接倒したりはできないのか?」


「ええ。こちらの世界に異界の神は直接干渉できないわ。だから、異界の神による侵略の脅威は薄いって言われてるわね。異界の神も、この世界の人類と共闘しないと魔王とは戦えないのよ。共闘は必然ね」


「共闘っていうと、なんだかかっこいいな! 神と一緒に戦うなんて、なんかわくわくしてきたぞ。つうか、魔王に負ける気がしない!」


「それがそうとも言えないのよ。一口に異界の神って言っても八百万もいるわけだし、中には神格の高い神もいるけど、神の奇跡をろくにつかえない、神格の低い神も混在してるの」


「神さまにも色々あるんだな」


「ええ。ここでようやくコストの話ができるんだけど、コストっていうのは重さのようなものなのよ」


「エリーは重いのか?」


「わ、わたしのコストは軽いわよ! 体重だって軽いんだから」


「なんだ。やっぱり軽い方がいいのか」


「ええ。だけど、重たい人には重たいなりに理由があったりするものなの」


「俺の80って重いのか?」


「それは正直なところ、守護神の神格次第なのよね。神格が高いほど、高コストの冒険者を外郭迷宮に送り込めるわけ。逆にコストが軽ければ、神の負担も軽くて済むのよ」


 ちゃんと理解できたか心配そうに、エリーはユーマを見つめた。青年は首をかしげる。


「だったら、すごい神さまを紹介してもらえるまで、なんどもチェンジしてけばいいんじゃないか? 俺ってば頭いいな」


「着目点は良いけど、それがそうもいかないのよ。守護神決めは一発勝負……って、言っても、わたしも全部人から聞いた話だし、実際に守護神を決めるのは、これが初めての経験なんだけどね。


 ともかく、一度決まった守護神を、こっちでキャンセルすることはできないの」


「運を天に任せる……か。ギャンブルみたいだな。運も実力のうちっていうし、ここは一つ、すごい神さまを引き当てるしかないか」


「ええ。そうなることを祈るわ。それで……これは街の酒場で聞いた話なんだけど、コストが重い人がリーダーになって交神をすると、それに見合った高い神格の神と結ばれるっていう噂があるのよ。


 だから、ユーマにリーダーをお願いしたいんだけど、いいかしら?」


「わかった。じゃあエリーは影のリーダーだな」


「二人しかいないのにリーダーと影のリーダーって、なんだか変な感じね。じゃあ、行ってらっしゃい」


「おう。すごい神さま見つけてくるぜ!」


 ユーマは伝奏師に促されて、石造りの狭い小部屋に入った。


 部屋の真ん中には台座があり、伝奏師を挟むようにして青年は対峙する。伝奏師が台座の上に水晶玉を収めて「時と世界を越えて異界の扉、今、開かれん」と、呪文を唱えた瞬間……ユーマの視界が真っ白に染まった。




「なん……だと!? マジか! ドッキリか?」


 天から降り注ぐ声にユーマが顔をあげると、そこに「神」の姿が浮かんでいた。


「あんたが神さま……なのか?」


「お! これが噂の交神モードか。つうかお前、マジで勇者なの?」


「おうとも。ほら、免許もあるし。本当は知的な魔法使いが良かったんだよな。あ! けど、なったものはしょうがないんだし、勇者としてベストを尽くすぜ」


「ほほぅ、気が合うな。それで、勇者はなにができるんだ?」


「えーと、剣と盾が使えて、あと、さっき冒険者ギルドの人に初級の回復魔法ってのを教わったぞ」


「超級レアなわりにしょぼ……いや、成長に期待しているぞ勇者ユーマよ」


「任せとけ! なので神さま。俺たちに力を貸してほしいんだ」


「ああ、わかって……んんんん!? なんだこのコストは! お前は化け物か!」


「人聞きの悪いことを言うなよ神さま。俺は人間だってば」


「あーあーそうね。うん、つうかまぁその……ため口か。勇者ってもっと品行方正かつ慇懃な優等生タイプと思ってたんだけどな」


「そういう神さまだって、大概だぜ? もっと威厳に溢れてるってイメージなんだけど、正直、俺とあんま変わらないし」


「その変はお互い様ってことにしよう。


 さてと……無課金勢の俺としては、せっかくの超級レアだし、このまま運用するしかないわけだが……というわけで、酒場に行って残りコストであと二人ほど仲間にするのだ勇者ユーマよ!」


「オッケー。ところで残りコストってどんなもんなんだ神さま?」

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