表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無課金無双  作者: 原雷火
22/36

「命とお金は大事に」その4

 白い空間に並んだ四人は、バッファーにお願いして神を呼んだ。


 空に神の姿が浮かび上がる。開口一番、神はあきれ顔で四人に告げた。


「お前ら、いったいなにしてたんだ?」


 代表でユーマが一歩前に出る。


「弱点を克服しようとおもって、それぞれの役割を交代してみたんだけど、全然だめだった!」


 神はため息を吐いた。


「お前らが縛りプレイしてどうすんだ!」


「縛りプレイってなんだ? エリー、知ってるか?」


「し、知らないわよ! こら貧乏神。ユーマに変な言葉を教えないでちょうだい!」


「変な言葉じゃねーよ。縛りプレイっていうのは、あえて有効な戦術や、効果的な武器や便利な技なんかを使わないで、クリアを目指すというストイックかつ、高尚な行為だ。


 今日、お前たちがやってたのは、特技を封印して……まさに、自分の手足を縛ったまま戦った、縛りプレイだっていいたいんだ。っていうか、なんでそんなことした?」


「俺たちが弱点を克服できれば、神さまも前向きになってくれると思ったんだよ。けど……つ、次は一勝! 一勝してみせるぜ!」


「あー……前にログインした時にそんなこと言ってたよな。律儀な奴め。いいから、ユーマは勇者の仕事をしろ!


 あと、お前たちが階層をクリアして得たボーナスの神珠で装備ガチャをしてやったから、剣士のエリーが着るように。いいな!」


 デモダッテがちょこんと首を斜めにした。


「……着る? 斬る?」


 空から光り輝く宝箱がユーマたちの前にゆっくりと降りてきた。


 エリーが目を丸くさせる。


「え? わ、わたしが斬るって……新しい武器をくれるの? どうしたの貧乏神じゃないの? 熱でもあるの病気なの明日あたり死ぬの?」


「うるせぇ! ガチャだからなにが出るか、回してみないとわからねぇんだよ。たまたま剣士向けが出ただけなんだ」


 ユーマが笑顔になった。


「ありがとうな神さま! エリーも口では怒ってるけど、本当はすごいうれしいんだ」


「ば、ばか……そんなことあるわけないでしょ? ともかく、わたししか装備できない武器なら仕方ないわよね。はぁ~~んなにかしら。


 銀のレイピアかな? もしかしてファルコンソード!? どうしよう、今のわたしに装備できない高レベル武器だったりしたら……がんばって強くならなくちゃ!」


 シエンがあくびをした。


「ふあぁ……エリーちゃんって武器マニアだったのね?」


「い、いいでしょ別に! 武器……っていうか、剣は剣士の心だもの」


「じゃあ、良い剣だったら、今使ってる剣はどうするの?」


「もちろん売却するわよ」


「心を売るのね?」


「違うわ! 次に使ってくれる人に譲るのよ。それにこの戦友……鉄のレイピアとの思い出と、その魂はずっとわたしの心の中で生き続けるの」


 講釈するエリーの脇をすり抜けて、デモダッテが宝箱を開いた。


「……これボクのー」


「あ! こら、わたしのよ! わた……し……にたい」


 宝箱からデモダッテが取り出したのは、布地の面積が極端に少なく、宝石が留め金部分にあしらわれた……ビキニアーマーだった。


 神がにんまりとした笑顔でうなずく。


「気に入ってくれたかエリーよ?」


「ふ、ふざけるなー! わたしの期待を裏切ったわね!」


「武器と言った憶えはないぞ。お前が勝手に勘違いしたんだろうが」


 デモダッテが、アーマーの胸の部分を自分の胸にあててから、落ち込んだようにうつむいた。


「……残念、ボクじゃ足りないみたい。これはエリーにぴったりだよ」


 腰鎧……といっても、ほとんど薄布なのだが、それを手にしてシエンが頷いた。


「鎧の留め金の部分にあしらわれてる宝石、ただの飾りじゃないわね。これ、魔法力が込められてるわよ。一種の防御力場を発生させているみたい。


 極端に布の部分が少ないのは、運動性をあげるためね。今よりも守備力をアップしながら、エリーちゃんの長所である俊敏さが上がるわよ」


 ユーマがぽつりと呟いた。


「弱点を補強しつつ、長所を伸ばすなんて……やっぱ神さまってすげぇ!」


 エリーがじっと、ユーマを見つめた。


「ね、ねぇ。ユーマ……どうしても着なきゃ……だめ?」


「エリー。嫌なのか? 俺が着るか?」


「そ、それはいけないわ! あなたは勇者なのよ? 変態じゃないんだし……うう、けど、わたしだって……こ、困るっていうか……」


 シエンがエリーの耳元で囁いた。


「朴念仁なユーマくんにアピールするチャンスなんじゃない?」


 エリーは目を見開いて、ユーマに告げる。


「こ、これはあくまでパーティーの戦力アップのためであって、すっごく恥ずかしいけど、実利をとるために……き、着てあげるわ」


 足下で傍観していたバッファーを地面に寝転ばせ、お腹をモフモフとさわりながら、デモダッテはぽつりと呟いた。


「……ばかばっか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ