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無課金無双  作者: 原雷火
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「命とお金は大事に」その2

 ユーマとエリーの手からフォークが落ちる。シエンは付け加えるように呟いた。


「上級蘇生魔法。はい、死んでよみがえっらから、お腹痛いの治っられしょ?」


 再び息を吹き返し、目をぱちくりさせてから、デモダッテは恨めしそうにシエンを睨みつけた。


「……お腹痛いの仮病だし」


 ユーマが悲鳴のような声を上げる。


「おいシエン! 仲間を殺すな!」


「いいのよ。お風呂に入ったら『はぁ~~生き返る~~』って言っらりするれしょ? 今のは『リアル生き返る療法』っれいう、れっきとした治療法なんらから」


「いやいやいやいや、いくらなんでもそれは無ぇよ!」


 エリーががっくりと肩を落とした。


「こんな酒癖……もとい、ミルク癖が悪いなら、これからはシエンのミルクは禁止ね」


「ま、まっれ! ミルクがないなら生きてる意味がないから! あんまりらわ! あんまりよおおおおお!」


 泣きながらシエンはエリーの胸に顔を埋めた。


 おまけにデモダッテまで泣きそうな顔になる。


「……本当に病気になったらシエンに殺される……死にたい」


 シエンをエリーに任せて、ユーマはデモダッテを気遣った。


「大丈夫かデモダッテ?」


「……うん。死になれてるから」


「なあ、その……本当に体調が悪いなら、無理せず街で休んでてもいいんだぞ」


 泣きすぎてしゃっくりまで始めたシエンの背中を、エリーがさすりながらユーマにくぎを刺す。


「ユーマはデモダッテを甘やかしすぎよ」


「甘やかしてるつもりはないんだけどな……どうしてだろ? 自分でもよくわからん」


 エリーの耳がピクンと反応した。


「へ、へぇ。あ、なんだか、わたしもお腹が痛くなってきたかも。あたしもお腹痛いよぉ痛いよぉ」


 エリーの胸の中で、シエンが呟いた。


「初級即死魔法&初級蘇生魔法」


 エリーは一度死んでから、生き返った。


「ちょ、ちょっと! いきなりなんてことするのよ! そして、蘇生魔法がわたしだけ初級ってひどいじゃない!」


「らっれ魔法力は節約れしょぉ」


 完全にできあがっているシエンは、再びエリーの胸の谷間に顔を埋めた。


 デモダッテがぼそりと呟く。


「……ボクなら大丈夫。ユーマが心配だから、明日もついてくよ」


「お、おう。ありがとなデモダッテ。これからも一緒にがんばろう!」


「……うん」


 話がまとまったところで、四人は食事を再開した。


 それから、女子たちが冒険者浴場に向かったあとで、ユーマは独り別行動をとり、交神所を訪ねた。




 白い世界に神の姿が浮かび上がった瞬間、ユーマは涙目になった。


「神さま! 俺たちを見捨てたんじゃないんだな! よかったぁ本当に……」


「なに泣いてんだよ。ちょっと休止してただけだっての」


「それじゃあ、神さまが病気になったり事故ったりしたわけじゃないのか?」


「風邪引いたくらいなら、むしろプレイ時間が増えるな。つうか……今、忙しいんだよ」


「忙しいって……神さまって、他にもやることがあるのか? 世界を救うだけじゃないのか?」


「テストがあるんだよ」


「テストってなんだ?」


「試験だよ試験。赤点とったりでもしたら、神失格なんだ」


「へぇ~~。あ! 俺もエリーに便乗したけど、冒険者免許を取る試験に受かったんだぜ! 褒めてもいいぞ神さま」


「おー偉い偉い。じゃあ、俺がテストをパスしたら褒めてくれよ」


「もちろんだ! つうか神さまが試験に合格できるように、俺にできることはあるか?」


「無いだろうな」


「ど、どうしてそんなに即答なんだよ! 少しくらい考える素振りを見せたってバチは当たらないぞ!」


「神にバチが当たるだの当たらないだの言うかよ普通」


「じゃあじゃあ、どんなことするのかくらい教えろよ神さま」


「だんだん俺に対する口調がため口どころか、命令形になってるのが気になるんだが……えーとだな、お前にわかるように言うと……ともかく、力だけでもだめ。


 技だけでも魔法力だけでもいけないんだ。バランス良くまんべんなく、神の力を示さなきゃならん。まあ、俺に得意な学問の分野なんてないんだけどな! ああそうだよまんべんなくダメだよ!」


「なんか、よくわかんないけど、大変そうだな。どんまい」


「神をやるのも楽じゃないんだ。俺なんか自分の弱点を知りすぎてるからな。一つでも得意な分野があるやつがうらやましいっての」


「エリーは剣術が得意だし、シエンは回復魔法が使える。デモダッテは魔法で敵をまとめてやっつけられる……得意分野か。安心しろ神さま。俺も得意なことがない!」


「お前には俺にない前向きさがあるだろ」


「じゃあ、神さまも前向きになろうぜ!」


「そういうところ、マジで尊敬するわ」


「なんだよ褒めんなよ照れるだろ神さま」


「おだてに乗りやすいのは弱点かもな。いいか勇者ユーマよ。成長について理想を言えば、長所を伸ばして短所を無くせるのが一番だ」


「どうしたらいいんだ神さま?」


「苦手なことでも、我慢して練習……って、俺ができないことをお前らに言っても説得力ないか」


「ふーん。じゃあ、俺たちができたら、神さまもがんばるってことでどうだ?」


「ことでどうだ……って、そんなことできるのかよ。まぁ心配してくれてるんだろうけど、安心しろ。赤点とったらスマホ没収されかねんからな。


 俺だってそんなのはごめんだ。というわけで、神は今しばらくお前たちに力を貸すことができない。けど、見捨てられたなんて思わないで、がんばってくれ」


「わかった! 神さま、早く戻ってこいよ!」

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