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鬼人幻燈抄  作者: モトオ
江戸編
15/216

『貪り喰うもの』・1




「最近は明るい話題がありませんねぇ」


 江戸は深川にある蕎麦屋『喜兵衛』。甚夜がここ数日足繁く通う店である。 

 店主は小忙しく手を動かしながら、軽い笑みで愚痴を零す。近頃の世相か、物騒な話ばかり耳に入ってくる。庶民の生活は決して平穏とは呼べなかった。


「聞いた話じゃ外国船がちょこちょことちょっかいを出してきてるとか。だってのにお上はなんもしやがらない。はいよ、かけ一丁」

「はーい」


 可愛らしい声と共にそれを受け取り運ぶのは、薄桃色の着物を纏った、年の頃は十五、六の小柄な少女。

 店主の一人娘、名をおふうといった。

 喜兵衛は四十歳くらいの店主と、この娘の二人で蕎麦屋を営んでいる。

 おふうは狭い店内をゆっくりと歩きながら蕎麦を運ぶ。しかし慣れてないのか、どうにも見ていて危なっかしい。


「お、お待たせしました。かけ蕎麦です」


 はにかんだ、というよりも引き攣ったような笑みを見せ、甚夜の前にかけ蕎麦を置く。

 見た目は整った顔立ちにすらりとした立ち姿が奇麗な少女だが、案外不器用なようで、手際は決して良くない。父親も心配そうに娘の働きぶりを眺めていた。


「よし、よくやったおふう。……それに最近は辻斬りまで出て。俺にも娘がいますから不安で仕方ない。ったく、お上ももうちょっと真面目に仕事をして欲しいもんですよ」


 蕎麦一つ運んだくらいでよくやったという言葉が出てくる辺り、彼女の働きぶりは推して知るべしというものである。

 それはともかくとして、このご時世彼の発言はちとまずい。箸を取り蕎麦を啜りながら、一段声を低くして甚夜は店主を窘める。


「滅多な事は言わない方がいい」

「まぁ確かに。睨まれて店潰されたらかないませんしねぇ。開いてから十日しか経ってねぇのに、そりゃあちょっと」


 開いてから十日。おふうが手馴れない様子なのはそのせいか。

 思いながら甚夜は店内を見回す。新しい店にしては壁が随分汚れている。

 掃除をしていないのではなく、長い年月経って木目が変色してしまっているのだ。


「古くからやっている店だと思っていたが」

「店構えがぼろいのは、前の建物をそのまんま使ってるからですよ。安く買い叩けたんでね」

「ああ、道理で」

「しっかし、こんな閑古鳥が鳴いてるような店に毎日来るなんて、旦那も物好きですねぇ。もう五日連続ですよ?」


 言葉通り、店には甚夜以外に客の姿はなかった。

 ここしばらく通ってはいるが、開いてまだ十日という点を差し引いても、客入りはあまり良くない。

 もっとも、だからこそ通っているようなものではあるが。


 甚夜は外見こそ人と変わらないが、その正体は鬼。

 かつては人として生きていたが、想い人を妹に殺され、憎悪から鬼へと転じたのが彼である。

 そして鬼であることこそ、彼がわざわざ人気の無い店を訪れる理由だった。 

 江戸へ来てから既に十年以上が経っている。

 しかし彼の外見は──鬼と人の間に生まれた妹がそうであったように──まるで変化はなく、未だ十八の頃のまま。

 鬼の寿命は千年以上、ある程度成長すれば外見の変化はせいぜい爪や髪が伸びる程度で殆どない。


 今はいいが、長く江戸に留まれば、いずれは奇妙と思う者も出てくるだろう。

 故に甚夜は客入りの悪い、常連のいない店を選んで利用し、そこも長くなれば二度と行かないよう気を付けている。怪しまれない為のせめてもの工夫、といったところだ。

 とはいえ、まさか正直に答える訳にもいくまい。

 返答に困っていると割り込む形でおふうが父を叱責する。


「お父さん、折角のお客さんになんてことを言うんですか」

「そう怒んな、おふう。ただの世間話だろう。で実際どうなんです? うちの蕎麦うまいですか?」


 その流れに安堵し蕎麦を一口啜る。

 不味い、ということはない。寧ろ美味いと言ってもいい味だ。とはいえ江戸の都に数ある蕎麦屋の中で飛び抜けている訳でもなかった。


「……不味くはないと思うが。まぁ普通だな」

「旦那もたいがい正直ですね……ま、下手の横好きで覚えた蕎麦ですから当たり前っちゃ当たり前ですが」


 苦笑いで返される。

 職人気質な店主なら追い出されるところだが、彼は随分とおおらかな対応だ。

 というよりも、自分の作る蕎麦が特別美味いものではないという自覚があるのだろう。「ああ、やっぱりな」とでも言いたげだった。


「それでも店を出した。何か訳でも?」 

「ま、色々ありましてね。人に歴史あり、旦那も話したくないことくらいあるでしょう?」

「違いない」


 そう言われてはこれ以上聞くことは出来かった。

 そもそも聞いたのも単なる雑談の延長、然して実りのある話でもない。適当なところで打ち切り、黙って蕎麦を食べることにした。


「でも、怖いですね。辻斬りなんて」

「そう、だな」


 数少ない常連だからか、おふうは割合気軽に声をかけてくる。

 返事は話を合わせただけということも無かった。

 人であっても鬼を打ち倒すことのできる者もいる。事実甚夜は人として生きていた頃、剣技を持って多くの鬼を討ち倒してきた。だから辻斬りが人であることは、自身より弱い証明にはならない。


「甚夜君も気を付けてくださいね?」


 言葉の通り、気遣わしげな視線。だが「む」と甚夜は唸った。

 というのも、外見は十八のままで止まっているが、彼の実年齢は三十一である。

 対しておふうは、正確な年齢は知らないがせいぜい十五かそこらといった所だろう。

 不愉快、とは思わないが十以上も年下に見える少女から君付けと言うのは、流石に違和感がある。


「君、という歳ではないのだがな」

「そうやって背伸びしたがる内は『君』で十分ですよ」


 やんわりと否定の意を告げるもおふうはくすくすと笑い、軽く流してしまう。

 まったく、女というのは何故こうも男を子供扱いしたがるのだろうか。

 


 ───もう、仕方無いなぁ甚太は。お姉ちゃんがいないと───



 やめろ。考えるな。湧き上がる感情を一太刀の下に切り捨てる。


「馳走になった、勘定を」


 眉一つ動かさず蕎麦を片付ける。

 葛野を出て江戸で過ごすうちに覚えたものが幾つかある。

 例えば、赤い眼を隠す業と、自身の心を隠す術。

 下らないことばかりが上手くなる。顔には出さず甚夜は自嘲した。


「へい、十六文になります」


 懐からちょうどの小銭を取り出せば、受け取った店主は枚数を確認しながら、意外そうな声を漏らす。


「しかし旦那は浪人って言ってた割りに金回りいいですよね」

「まぁ、な。仕事はある」

「ちなみにどんな?」

「鬼退治だ」

「そりゃあ豪気で。次は竜宮城ですか?」


 冗談ではないのだが、と小さく呟く。

 江戸にも鬼は少なからず存在する。当然その被害に逢う者もおり、力を持たぬ被害者の代わりに鬼を討ち払うのが今の甚夜の生業だった。

 時折商人や旗本など金を持った人間からの依頼もあり、案外と実入りは悪くない。

 何より自分を鍛えることにも繋がる為、一石二鳥である。


「はい確かに、ありがとうございやしたー」

 

 小銭を数え終えた店主が軽い調子でそう言えば、おふうも楚々とお辞儀をした。

 今夜はまだ依頼を受けていない。腹も溜まったことだ、適当に夜の街を歩き、妖しげな噂でも集めよう。

 踵を返し出口へ向い、二歩三歩と進んだところで、思い出したように背後の店主が言う。


「そういや鬼といえば、さっきの辻斬りなんですがね。死体には刀傷がないって話でして」


 その言葉に、ぴたりと足を止めた。


「なんでも獣に引き裂かれたような無残な死体ばかりらしいんでさ。それに、死体の数が合わないって話も聞きますね」

「数が?」

「へぇ。死体の数とここら一帯でいなくなった人の数が合わないとか。攫われたのか、神隠しにあったのか。そんなだから、下手人は鬼じゃないかって噂が流れてるんですよ」


 鬼が犯人ってんなら丸ごと喰われたのかもしれませんねぇ。

 脅かすように、店主は意地の悪い笑みを浮かべる。

 しかしそれを聞いた甚夜は、表情を変えずに小さく呟く。


 


 ────それは、面白い話を聞いた。





 ◆





 江戸橋は徳川家康がこの地に訪れ四十年ほど経ってから造られたもので、神田川に掛かる橋の中でも規模が大きい。

 昼間は町人や流れの商人がこぞって利用するが、黄昏が過ぎ宵闇の響く今は人影もまばらである。

 此処は辻斬りが出たという場所だった。

 辻斬り、とはいうがその死体は獣が引き裂いたような無残なものだという。

 鬼が事を起こしたという噂もある。橋とは現世と幽世を繋ぐ道。鬼が出るにはお誂え向きの場所なのかも知れない。


 甚夜は腕を組んで欄干にもたれ掛かりながら、周囲の気配に意識を向けている。

 空を見上げれば朧月夜。しっとりと肌に触れる夜露は絹の心地良さ。淡く揺れる青白い月光も相まって実にいい夜だ。こんな夜に鬼を追うなど我ながら風情がない。表情こそ変わらないが内心溜息を吐いた。


 しばらく時間が経っても変化はなく、今度は欄干から背を離し歩き始めた。

 現場に来ては見たものの、流石に都合よく辻斬りは現れてくれないか。

 面倒ではあるが、落胆はない。そもそも、そう易々と馬脚を現すならば、とっくの昔に岡っ引きが捕まえているだろう。

 とはいえ、それも普通の辻斬りならば、の話ではある。

 噂通り辻斬りの正体が鬼ならば、奉行所ではどうにもなるまい。出来れば新たな被害が出る前に止めたいところだが、肝心の辻斬りが何処にいるかも分からない。結局今は何か事が起こるのを待つしか術がなかった。

 

「まったく、儘ならぬものだ」


 小さく呟く。この身は人ではなく鬼。だが鬼になったとはいえ、都合よく超常の力を得られる訳でもなく、探し人は足を棒にして探さねばならない。

 特殊な<力>がない訳ではないが、万能ではないのだ。鬼であれ人であれ、現世とは儘ならぬものである。

 溜息を吐き、ぼやいても仕方がないと気を引き締める。

 さて、見周りでもしながら鬼を探すか、と思った矢先。


 ………いやあぁ…あ………


 掠れた女の悲鳴が聞こえた。

 弾かれたように走り出し、声の方へ。

 橋を渡り、右に見える荒布橋。その先、東堀留川にかかる思案橋へ辿り着く。

 

 死体。死体。死体。


 川の近くでありながら、その空間は濃密な血の匂いで濁っている。

 それもその筈、其処には三つの、無惨に打ち捨てられた町人の死骸が在った。


 辺りを見回すも辻斬りの影はない。どうやら少しばかり遅かったらしい。

 甚夜は死体の傍に寄り、片膝立ちになって顔を近付ける。粗雑に転がされた屍は目を背けたくなる程に無残だが、今更臆するほど初心でもない。表情も変えずに三つ全てを検分する。

 

 そっと死体に触れる。まだ生温かい傷口は、切り口ではなく抉り取ったように荒い。

 確かにこれは刀傷ではない。爪で引き裂かれた創傷。鬼が下手人というのもただの噂では終わらないようだ。

 しかし、おかしい。


「男、か」


 転がされている死体は男のみ。

 だが聞こえた声は確かに年若い女だった。

 では悲鳴の主は何処に消えた。



 ───へぇ。死体の数とここら一帯でいなくなった人の数が合わないとか。攫われたのか、神隠しにあったのか。

    そんなだから、下手人は鬼じゃないかって噂が流れてるんですよ。


 ───鬼が犯人ってんなら丸ごと喰われたのかもしれませんねぇ。



 蕎麦屋の店主の言葉を思い出す。

 彼は冗談めかして言っていたが、或いは、その科白は真実を言い当てていたのかもしれない。

 調べてもこれ以上得るものはないだろう。立ち上がり、この場を後にしようと一歩を踏み出す。

 刹那の瞬間である。


 ひゅっ。


 すぐ近くで、音が聞こえた。

 宵闇に鳴る風切の音。聞き慣れた音。

 だから意識よりも先に体が反応する。反射的に体を捌き、音の方向とは逆に飛ぶ。


「ちっ」


 一手、遅かった。

 小袖が斬られ、右腕から血が滲んでいる。

 斬り付けられた。深手ではない。動きにも支障はない……が、そんなことよりも問題なのは。


 なにが、起こった?


 甚夜は一瞬本当に理解できなかった。

 慣れ親しんだ音だった。刀を振るう、その度に聞いてきた音。それが急に聞こえたかと思えば、実際に自分は斬り付けられた。

 辺りを見回しても誰もいない。

 自分は今襲われている筈だ。

 だというのに、肝心の襲撃者が何処にもいないのだ。


 ひゅっ。


 再び音が前方で鳴り、後ろに退くも胸元を斬られた。

 それでもやはり斬り付けられる瞬間まで敵の存在に気付かなかった。

 斬り付けられた今でも、やはり敵の姿は見当たらず、気配も感じない。


 今度は音が鳴らなかった。

 音もなく、鋭い痛みが肌を刺す。

 刃が背の肉に触れている。それは体に侵入しようとしている。見えないが感触として分かった。

 すぐさま痛みの方向とは直角に離れる。肉は多少抉れたがそんな事を気にしている場合でもない。

 一間は飛んだ後、辺りに視線を向けるもそこにあるのは静寂のみ。襲撃者など影も形も存在しない。

 だが現実としてこの身は傷を負っていく。

 そして下手人は鬼という噂。

 つまり、


「……それがお前の<力>か」


 辻斬りは<力>を得た、高位の鬼ということだ。

 おそらくは姿を消し気配を断つことがこの鬼の<力>。

 しかし物音を消すことは出来ず、鬼自体の膂力は然程でもない。素手で倒す程の膂力がないからこそ刀を使う。

 ならば対策はある。正直好んで使いたい手ではないが、手段を選べる程己は強くない。


「こうなれば生き残りがいないのは幸いだな。おかげで……」


 だから使えるものは使う。当たり前のことだ。

 一度眼を伏せる。瞬間、めき、と気色の悪い音が鳴った。

 甚夜の左腕の筋肉が隆起し、見る見るうちに赤黒い異形の腕となる。

 再度瞼を開けた時、彼の瞳は黒から赤に変化していた。


「隠す必要もない」


 甚夜は鬼となり、されど襲撃者も止まらず。

 皮膚に痛みが走る。だがそれはチクリと針で刺された程度の痛み。鬼となったこの身を貫く程ではない。

 おそらく刀があるだろう場所を左腕で払う。

 ぺきん、と頼りない音を響かせて刀身は折れる。

 脆い、見えざる鬼の得物は数打ち。大量生産のみを考えられた刀では鬼の膂力に耐えきれない。

 切っ先が地面に落ちる。傍目には、刀が急に現れたようにしか見えなかった。


 成程、消えるのは体に触れている部分だけ。

 ならば一度体を裂き流血させればその<力>の意味も無くなる。


 それを確信し、右腕だけで刀を構え、腰を深く沈める。

 肌に何かが触れた瞬間、周囲を凪ぎ払うためである。

 

「さて、辻斬り。仕切り直しだ」


 これで既に相手が逃げていたらお笑いだが。

 心の中で呟く。実際の所、甚夜には相手がいるかどうかも分からないのだ。この場から去っていたとしても知る術はない。

 相手はどう出るか。


 思考した瞬間、目の前の空気が揺らいだ。


 かと思えば其処には小柄な、五尺……甚夜よりも一回小さい程度の体躯をした鬼が姿を現した。

 黒ずんだ肌。肩幅はあまりなく、身体も細い。やはり膂力の無い鬼らしい。

 特徴的なのは右目。左よりも大きく白目の部分まで赤く染まった、何を見ているか分からぬ無貌の瞳だ。

 右目の周りは、そこだけが歪。

 まるで鋭角な意匠の鉄仮面。顔の半分が奇妙に盛り上がっており、そのせいで異形の眼球が余計に際立って見えた。

 腕には折れた刀がある。

 彼の鬼が襲撃者で相違ないだろう。


「……私の名は甚夜だ。お前は何という。斬り捨てる前に聞いておこう」

 

 わざわざ姿を現した理由は分からないが、取り敢えず名乗りを上げ鬼にも問う。

 随分と昔、鬼の名を知らぬまま斬り殺し後悔したことがあった。

 奪うならば背負う。せめてもの礼儀、彼の流儀である。


『俺は茂助、です』


 鬼は意外にも素直に答える。

 高位の鬼の名にしては随分と庶民的な名前だ。放つ気配も圧倒するような力強さはない。

 とはいえ姿を消す<力>は厄介。油断していい相手でもない。


「そうか。その名、確かに刻んだ。安心して消えるがいい」


 名を噛みしめ、ぎり、と刀の柄を握り直す。

 そして一足を持って間合いを詰めようと体重を前に倒した瞬間、


『いえ! 俺に争う意思はございません!』


 刀を捨て、慌てた様子で両腕を突き出し、戦う意思はないと主張する鬼によって動きを止められた。


「………………ぬ」


 どうにも斬り掛かる機を逸してしまった。

 肩透かしを食って、しかし飛び出す訳にもいかず、前傾姿勢のまま鬼を睨め付ける。


「戦う意思がない、だと? 自ら襲いかかっておいてよく言う」

『それは……貴方が辻斬りだと思ったからです。辻斬りは鬼だという噂が流れて、実際鬼の匂いを漂わせた貴方が現場にいた。疑うなって方が無茶でしょう。ですが貴方も俺を辻斬りだと言う。どうにもおかしな様子だった。だから』

「姿を現した、という訳か」


 今の所、話の流れとしては不自然なところはない。

 話してみたが、茂助とやらに粗野な印象はなく、人斬りに身を落とすような輩とも思えなかった。

 だが演技ではない、とは言い切れない。疑念は消えず、眉を顰め甚夜は更に問う。


「鬼が辻斬り退治をして何になる」

『取り敢えず此処から離れませんか? 誰かが来てはよろしくない』


 改めて辺りを見回す。

 転がる死体と異形の己。

 確かに、この状況では己が辻斬りと思われても仕方無い。人の姿に戻り、血払いをして刀を鞘に納める。

 それを「戦う意思はない」と取ったのか。

 鬼は異形に見合わぬ朴訥とした笑みで言った。

 

『では小さいながら我が家にご案内しましょう』




アルカディア版からの変更点

『貪り喰うもの』


 登場人物の名前変更

 茂吉→茂助もすけ※明治編の登場人物「宇津木平吉」と名前が被っていたため変更。


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