便利に復讐。
ここまでの物語----
化け物ばかりの絡繰街に住む平凡な少年、池上慶太。
彼は今日も教師からの暴力にあっていた。
ボロボロの慶太の前に現れたのはある一人の男だった…………
「んで、あの化け物どうやって倒すんだよ。
」
信用した訳では無いが、今は目の前にあるその希望に頼る以外の道はなかった。
「君は、なにか能力はあるのか?なんせこの街に住んでるんだ。能力の一つや二つはあるだろう。それより君はあれか?なにも分からずここに来た大馬鹿者か?もしそうなら、帰りなさい。見返すなんて事はしない。そうやってまた、平凡で楽しくない苦痛の日々を楽しみなさい。」
説教されている訳では無いのにやけに心にくる。なかなか、こいつの話術は侮れないらしい。
「俺の、能力か……想像した物を具現化するリプートオンぐらいかなぁ。」
「へぇ!!面白いもの持ってんなぁ!!やってみせてよ!!」
そいつは、俺に懇願した。
「仕方ねぇな見てろよ?このペンを、リプートオン。」
俺は、いつもの通り、そう呟く。
「………」
あいつは、黙り込んだままでなにも言わなかった。
「どうだ!ビビったろ?」
「なにが?なんかしたのか?」
「なにいってんだよ?ほら、このペンが!!」
「うん、ペンのままだね。」
「っ!?なんで!?具現化しない!?」
「なるほど。君はまだ自分の能力を理解していない。そもそも、具現化する能力なんてあるわけないだろう。なぜなら、そんな物使えたところで術者の体になんらかの反動がある。しかも、そんな事をできるなら、お前は、俺の助けなんて必要無いんだよ。あっ、そうだ。お前、これ持っておけよ。まだ使えるぞ。」
あいつは、大きすぎるカバンの中から小さめの砂時計を出した。
「?なんだこれ?」
「それは、機械仕掛けの砂時計。俺のお気に入りだ。時間を止めたり、時間を早めたり、時間を戻したり等の能力がある。」
「そいつはすっげぇ!!これで勝てるな!!」
「まぁ、一つだけデメリットがあってな。その砂時計、時間が10秒なんだ。」
「はぁ!?使えねぇじゃねえか!!」
「まぁ、なんとかなる。それより、明日にあいつを懲らしめるぞ」
「あ、あぁ。んでもよ、どうするんだ?あいつ強えよ?」
「おれは、負けないから大丈夫。」
そいつのその一言は、確実に俺の中で何かの火が付いた。
そして、計画は本番に移る。
次の日。俺は、学校に様々な道具を仕掛けた。
あいつの名前はまだ知らないけどなかなかの友好度だとおもう。
「よし、オッケーだ。作戦を開始しよう。」
あいつはそう言うと、スーツに着替えた。
「池上のやつ、まだ寝てるのか。ふん!わしに楯突くから悪いんじゃ。」
「すいません!教授、あの研究のことですが……」
「ん?おぉ、そーいえば、研究しておったな。」
教授はあるはずのない研究を続ける為に研究室に向かった。もちろん、あいつの演技だ。
「ん?ここでは無いのか?」
教授が研究室を一歩歩いた瞬間、壁が爆発した。スイッチは、教授が踏んでしまった。そう、研究室自体が起爆スイッチになってしまっていた。
「なんじゃと!?」
教授が慌てふためいて歩き続けるとその分、爆弾も爆発していった。
「一体誰じゃ!!あのこぞうか!!ブチコロス!!」
教授が部屋を出た。この時、時間は………8:30を過ぎていた。もちろん、授業は行われていないので生徒は慌てている。
俺は、あいつのバッグから、ある物を出した。
「これは、花火セメントだ。俺が作ったんだ。簡単に起爆出来る爆弾ってとこだ。起爆方法は、爆発したいとこに、セメントを塗る。あとは、そこを踏んだら、ロケット花火のような音がする。」
「音だけ?」
「あぁ、それだけでいいんだ。おそらく、相手はかなりのチキン野郎だ。」
あいつのことを信じて、セメントを塗り続けた。教授が歩いてくる。
ここで、もう一つ道具を出す。
「これは、傀儡ブーツだ。これは、標的を決める。履く。あとは、やりたいように動かす。これで充分」
「よし!教授、悪いな!」
俺は、教授の右足を動かした。
「ぬぁぁ!?」
教授はビビった。だから、俺は追い打ちを掛けた。爆発音だけが響く廊下。
「やめてくれぇ!!!」
教授は気絶していた。
「こんなもんだ!!へっ大したことねえ……」
背骨が砕けた。うん、これは砕けた。
「脱皮すりゃこんなもんだ!!おい!池上!こんなとこでなにしてんだぁおい!!」
「まじかよ……こんな、ことってありかよ……」
「少年っ!!!」
「お前が池上に入れ知恵してたのかおい!お前もコロシテヤル!!」
ちっ!マズイな。バッグはあっちか……どうする俺。
男は慶太を助け、教授を倒すことは出来るのか……