便利に始めまして。
あなたは、お仕事って聞くとなんて答えますか?
普通は、お医者さんや警察官。公務員もあれば、はたまた大工のようなものも。
しかし、ぼくのいた街は違った。
これは、地味な少年がある一人の男と出逢う物語。
「おじいちゃん!!あの話またしてよ!!」
「そうじゃな、またしてあげようかね。これはのぉ、わしが15歳の頃じゃ…………」
おじいさんは、そう言うと少し微笑み話だした………
ここは、絡繰街。(からくり)
ここは全てが普通と違う。
まず、住んでいる人からだ。
いや、人ではない。
ここに住んでいるのは、オークやウルフ。
マンドラゴラ、サハギン。
まぁ、でも普通の人間がいない訳ではない。
僕のように普通なやつだっている。
次に、職業だ。
ここは、環境が環境なだけに普通の職業はほとんどない。
例えば、こんなのは有名どころだ。武器屋である。まぁ、狩りをするのだから、この程度序の口だ。
個人的に、これが一番変だと思う。
爪研ぎ屋。こいつに至っては訳がわからない。かなり塗装された、綺麗な看板にただ、「爪研ぎ屋」とだけかいてあるのだ。これを初めて見た時はお腹を抱える程笑い続けた。
まぁ、そのなかでもあの職業が好きかなぁ。
そう、それは………
僕は、思考を中断させ時計を見た。
ちなみに、僕は高校に通っている。名前は、池上慶太だ。ごく普通の人間だ。
ごく普通の校内に異常な生徒がいる学校。そんな、学校に行っている。
朝の登校時間は、8:30である。
これに遅刻すると大変マズい。
時間は………8:29。
その時、希望の欠片すら失った僕は笑っていた。
「ちょっと、慶太!!いつまで寝てるの!!起きなさい!!」母さんの叫び声で現実に戻される。急いで着替え、朝ごはんも食べずに僕は、家を出た。
ガラガラガラ
教室の戸を開ける。授業中だ。
「す、すいません。先生。」
僕の担任は少し怖い。しかし、先生は怒らず僕にこう言った。
「すまん、池上。来たところ悪いが36P読んでくれ。」
その時、僕の動悸はとてつもなく、早くなった。
カバンを見る。みろ、空っぽだ。
僕は、先生に笑いながらこう言った。
「忘れましたっ!」
その瞬間、僕の体の左側が砕ける音がした。
先生の先制攻撃が決まった。恐らく、肋骨がおれまくっている。
「っぐぁはっ!!」
「おい、くそガキ。テメェ何回教科書忘れテンダオイ!!」
先生の体から棘みたいなものが出てきた。
先生は、どうやら珍しい化け物らしい。
まぁ、僕は逃げるつもりもなく戦おうとしていた。
リプートオン。
その時、ポケットにいれていたペンが変形し、ナイフのような形状になった。
よし、これで決める!!
「うおおおぉお!!」
僕の声は、儚く散った。
床に叩きつけられ、僕は気絶していた。
「あちゃーこれはひでぇや」
声がする。誰だろう。
「あぁ、おれはお前の名誉挽回の為に来たいわいる、キューピッドだ!!」
「は?てか、夜まで寝てたか僕は。」
「そりゃ、あんだけ喰らえば二日間も寝るはずだ。」
「なに!?僕は二日も寝ていないぞ!?もしかして、僕が倒れたのは昨日なのか!?リプートオン。……はっ!ウソだろ……」
「少年、落ち込む必要はない。さぁーて、今から見返してやりましょうかね。あの、ハリセンボン野郎を。」
厄介なことに巻き込まれたな。でも、この出会いが僕の人生をこんなにも左右するなんて思いもしなかったんだ…………