表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プレッシュ  作者: 子竜
5/8

第4話 カイトさんを少し可愛いと思ってしまったbyアル

風亀どこ行った!?


痛いのは嫌いですということで第4話です。

というわけで体育館に移動してきた1―Eの教師と生徒達。


「ここの体育館の強度はそれなりのものですからね。アル先生どうでしょうか」


ちなみにここを選んだのはリリ先生、他の人に見つからない都合のいい場所を提案してくれた。


とっても広い体育館だった。


本当にいい人です、リリ先生は。あのアルに敬語使ってるしね。


「あぁ、申し分ない。これなら大丈夫だろう」


カイトさんは気に入ったようだ。


え?アルはどうしたって、決まってるだろう。


「(ミストラルちゃんには何が似合うかな?猫耳とかいいかも。やば!鼻血でそう)」


このような感じに暴走寸前でございます。


こんなのに一日中付き合っているカイトさん偉いね。


そんな無駄話はその辺にして本題を始めましょう。



室内にもかかわらず心地よい風が吹く。


(一瞬で決めてやる、です)


心の中でつぶやくエリーヌ、ガンバレ!


お互いに向かい合っている。


「私の武具を見せてやるぞ、です。驚き叫ぶがいい、です」


エリーヌはトントントンと三回その場で軽くジャンプする。


そして4回目!


エリーヌは高く飛ぶ、そしてバク宙した。


5メートルは飛んだだろうか。


そして煙を巻き上げながら着地を成功させる。


煙は突如現れた突風により飛ばされエリーヌの姿がさらされる。


「驚いたか、です。これが私の武具『風神拳装』だ!です」


そこにいたのは緑色の鎧を着たエリーヌだった。


鎧といっても動きやすさを重視した肌の露出の無い軽い鎧に見える。


「む・・・武具?近距離型か」


カイトは武具という言葉に眉を動かす。しかし、直ぐにいつもどおりに戻る。


カイトは何も準備をしていない、丸腰と言っていい。


唯一あげるとしたならば昨日リアから渡された手袋だけだろう。


だがそれにしたって何も付けていないのと同じようなものだ。


特殊な能力が付いているわけでもないのだから期待できない。


というか、最初から期待なんてしていないのだが。


エリーヌとカイトとの距離は約10メートルだ。


「さて―――」


―――これから~―――と続けようとしたカイトはいきなり吹き飛ばされた。


「が・・・ぁ!」


いきなり吹き飛ばされたカイトがやっと出せた声にならない声。


それは明らかに苦痛を耐えるために出された声だった。


五臓六腑が悲鳴を上げ出し、その役割を一切機能しなかった。


吹き飛ばされたカイトはそのままきれいな放物線を描いて地面にご対面した。


カイトは背中から落ち、なんとか受け身をすることはできたのだが。


(ん、なんという見事なボディブローだ。体が貫かれていないのが奇跡だな。かなり痛い・・・。しかし、彼女はかなりせっかちらしい。話しは最後まで聞いて欲しいものだな)


そう、エリーヌはあの一瞬で10メートル先のカイトの所まで移動し本気の一撃を放ったのだ。


それでも体を貫かれなかったのはその一瞬でカイトがなんとか服の下に衝撃を吸収するクッションを作り出していたからだ。


しかしそれでもカイトが受けた衝撃は常人では体に穴があいて死んでいてもおかしくないレベルだった。


単にアルが普段から体を鍛えていた事で助かったのだった。


しかし無傷ではない、今の一撃で体はボロボロだ。


動くこともまま為らないほどにやられていた。


まるで動く事を体が拒んでいるかのようだった。


(本当ならこのまま倒れていたいがそうもいくまい。使闘はまだ始まってすらいないのだから)


だからカイトは立ち上がった。駄菓子菓子、それは失敗だった。


今度は20メートルは離れていたがそれでもエリーヌは一瞬で移動してきたのだ。


「な!?―――」


カイトは成す術も無く上にあげられた。


今度はアッパーだった。


反応など出来るはずがない。


もちろんこれも本気であり常人ならば顔を吹き飛ばされていただろう。


重力など、この場において全く無いに等しいのかもしれない。


カイトは10メートルは上がっていただろう。何もしなければの話だが。


そう、実際カイトは10メートルも上がりはしなかったのだ。


カイト自身が何かをしたわけではない。


急に重力が大きくなったわけでもない。


単に地上にいたエリーヌがさらに攻撃を加えたのだった。


素早く移動し空中でくるりと前転して右足を落とす単純なかかと落とし。


単純に、それ故に最も力を乗せられるエリーヌの繰り出した暴力。


それはカイトの肩に当たる。


バキッ!!!


それは確実に骨が折れたであろう音だった。


「・・・・・・・・・」


カイトは何も言うことも無く強制的に地上に落とされる。


受け身もせず頭からズドンッ!と。


そこにはカイトを中心にしてクレーターが出来ていた。


体育館は『創力(クリエイト)』で出来ている。


いや、この世界のあらゆる建造物は『創力(クリエイト)』で作られている。


もちろん『創力(クリエイト)』を使わずに作られた建造物もほんの少し存在している。


だが、このような教育の場においてだけは例外無くあらゆる建造物は『創力(クリエイト)』を使って作られている。


そして此処を作ったのは『創力(クリエイト)』使いとして、とても優秀である学園長 デリネ・ヘレン・デシルク。


今ではとても数が少ない第15工程を終了させている、我らがカイトと同じ場所に立っているすんごい人だ。


だから本来ならばこの体育館にクレーターが出来ることなどあり得ないのだが・・・・・・(汗)


(期待外れすぎ、です。失望したぞ、です)


エリーヌは落ちて行ったカイトを見下しながら着地した。


(さすがにうらやましい限りだ。あの戦闘スキル、アルに及ばずとも俺には持ちえないもの。うらやましい限りだ。それにしても無事か?アル)


「(・・・カイトさんそのセリフ本気で言ってる?痛みを全部俺に受けさせて自分だけ痛くないのに)」


(・・・痛いのは嫌いだ)


カイトさんが拗ねてしまった。


「(・・・・・・何故だろう。今のカイトさんを少し可愛いと思ってしまった。痛すぎて意識が朦朧としている所為だよね、絶対)」


アルは自己暗示を繰り返す。


(さて・・・まずはまだ始めていない事を伝えないとだな。そのためには彼女を止めなければならない。しかしどうする。接近戦では勝てる道理はないし、かといって遠距離からでは怪我をさせてしまうかもしれない。・・・・・・ひとまず立つか?)


最初の一撃以外、全て衝撃をアルに喰らってもらっているからこそカイトはまだ余裕なのだ。


もちろん体が無事なわけではないので動きにくくなってしまっているのだが。


カイトは立った。それがさっきと同じ間違いだと気付かずに。


(な!?まだ立てるのか、です。なら!!!です)


エリーヌは先ほどと同じように一瞬で近づいた。


「恐ろしいほど早いな。そうか、ここで立つのは間違いだったか」


カイトはそう言って何もしない。否、なにも出来ない。


カイトには何もできないのだ、それが接近戦ならば例外なく。


故に決まる、エリーヌの最後の決め技が。


「あなた弱すぎ、私に教えるならもっと強くなれ、です。これで終わりだ!!!です。『拳殺!超風双撃』です、です!」


エリーヌの左右の拳がカイトの胸板にコツンと押しつけられる


それは今までの攻撃に比べると弱弱しくさほど威力の無さそうなものだったがその実、今までを遥かに凌ぐ威力を持っているのだ。


カイトで無くアルならばあるいは避ける事も出来たであろう。


ここで少しだけ解説しておこう。


今までエリーヌが移動や攻撃に使っていたのは『風』。


それもエリーヌが『創力(クリエイト)』で作った風だ。


風はエリーヌを襲いその威力を利用し移動、攻撃を行っていたのだ。


当然、エリーヌの生身の体では負担が大きく耐えられない。


だからこその武具『風神拳装』だ。


同じく『創力(クリエイト)』で作られたその武具は、敵からの攻撃を耐える物ではなく自分の風に耐える物だったのだ。


そのおかげでエリーヌには傷一つない。


ではその風で生身のカイトに攻撃したのならどうなるか。


結果はもちろん一つだ。


エリーヌの拳から作られた風はカイトを襲い吹き飛ばす。


風はこぶしに見えていた。


(私にも少し衝撃が来るくらいの威力だ、です。余裕の勝利だ、です)


カイトは地面に平行に20メートルほど吹き飛ばされ、体育館の壁にぶつか……らなかった。


リアの作ったクッションで受け止められたからだ。


「やったか?です」


あ、ダメその言葉は!!!


近寄ったリアにありがとうといったのち何事も無かったかのようにカイトはすぐさま立ち上がり言った。


「さて、区切りが付いた所でさっそく戦いを始めようか。エリーヌ」


「な!?何で動ける、です。それにどういう意味だ、です」


あれは致命傷だったはず、それで無くとも―――そう言って更に追い打ちをかけた。


「君はかなりせっかちだと見える。俺はあの時まだ――さて――としか言っていないのだがね」


否、かけようとしたが止められた。カイトによって作られた人型のゴーレムの軍団によって。


「な!?一瞬でこれほどの数の人形を作ったのか、です」


それはこの場の全員の心に思っている事をエリーヌが代わりに口にしていた。


創力(クリエイト)』で一瞬にして作られたゴーレムは余裕に100を超えていた。


この数はそう、彼女たちにとって明らかに異常だった!!!


「これは単なる小手調べだ。一体一体はそれほどは強くないぞ」


そして始まる、今回フルボッコにされたカイトの逆襲が!!




解説


室内にもかかわらず心地よい風が吹く~エリーヌは風使い


武具~学園で創る事を義務付けられた武器防具。形は人それぞれ。


武具『風神拳装』~自分の風に耐える物であり敵の攻撃に耐えるものではない。エリーヌはそこまで頭が回らなかったようだ。


・・・痛いのは嫌いだ~もしもカイトさん自身の体でそれ言ってたら可愛くて悶えてしまうことが予想される。


やったか?~ →やってない!! フラグありがとうございます!


カイトさんに近接戦闘なんてやらしたら負けること間違いなし。

いつか近接戦闘が強いカイトさんを見てみたいね。


それでは今回はこの辺で、また逢う日まで

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ