第1話 ロリコンカイトだって。ハハハbyアル
タイトルと内容はあまり関係ない。
一線越えちゃったぜってことで第1話です
アルはまず着るものを探した。
さすがにこのまま裸というのはまずい。
幸いすぐに見つけられた、とりあえず取られたものはない。
「まぁ、取るようなものは持って歩いてないけどね。それにしてもここはどこなんだろう。ドアは開かなかったし。」
そう、この部屋の出口もすぐに見つかった、しかし特別な力『創力』のルールがかかっててそのままでは開けられない。
仕方なくベットに背を向けて座る。
「あれくらいならすぐに壊せるだろうけど、まずはこの女の子が起きるのを待つかな。」
アルは両手を見る。
「これは・・・・・・そう言うことだよね。どうしてこういうことになっちゃうのかな。」
アルの手の甲には右手に翼の印が、左手には剣の印がそれぞれ出ている。
「それにしてもお腹すいたな。確かキッチンも食材もあったし何か作ろうかな。」
という理由で立ち上がったアルはふと女の子の顔を見た。
「初めまして、お兄ちゃん。リア・キリヤです。昨日の夜は楽しかったですね。」
女の子が裸で正座してちょこんと座っていた。
アルの顔から血の気が引いた。
「えっと、今なんと?」
「楽しかった。」
「その前。」
「昨日の夜は楽しかった。」
アルは突然土下座をした。
それはもう見事なものだった。
「(痛いだろうが。頭を地面にこすりつけるな)」
「ご、ごめんなさい!昨日のこと何にも覚えていないんだ。君にお兄ちゃんと呼ばせてたりしたのかな。ハハハ本当にごめんなさい」
リアは驚いた顔をして目を見開く。
「あんな事をしておいてそんなことを言うんですか、お兄ちゃん」
「ななな!?ごめんなさいごめんなさい」
「ひぐ、へぐ。酷いよお兄ちゃん」
「~~~~~~~~~~!!!!!」
リアは口端を釣り上げている。
「(おまえには謝る事しか出来ないのか、アル?それとそろそろ地面から頭を離せ。本当に痛い)」
アルには見えていない。
「なんでもするから、泣かないで。ホントになんでもするから」
一応言っておくリアは泣いてなんかいない、それどころか笑いを堪えている。
「なんでもですか?ならまずは朝ごはんを作ってきてください」
「え?・・・」
「どうしたんですか、ご飯も作ってくれないんですか。お兄ちゃん?」
「は!はい!作ってきます」
アルは急いでキッチンに飛び込んでいった。
「すごい速さですね。・・・・・・お兄ちゃん、『なんでも』という言葉確かに聞きましたからね。逆らえませんよ、もう」
リアの左手の甲が光る。
「それにしてもあの子、リアちゃん『キリヤ』って言ってたよね」
「(俺はあまり料理はしないが、さすがだな。短時間なのにしっかりと火が通っている)」
アルは考えながら次々に朝食の準備を終えていく。
カイトはそれを見てしゃべっている。
外に声は聞こえないが、アルには筒抜けにしてある。
もちろんカイトの気分次第で聞こえないようにも出来るのだ。
今日のメニューはトーストとスクランブルエッグ、サラダ。
ちなみにデザートにミカンを出す、ちゃんと白い所はすべて取ってある。
これだけの作業を僅か1分で行ったアル。
材料のチェックは10秒で終わらした。
かなり料理になれている動きだ。
「それにしても材料がまるで俺が作ることを読んでいた位のそろい方だったな」
「(意図的に用意されていたんだろう。俺、もとい君が作ることが分かっていてな)」
それに見覚えがある部屋―――そんなことを考えながら料理を運ぶ。
「美味しそうですね。お兄ちゃんは料理も出来るんですね。いただきます」
リアは朝食を口に運んでいく。
「(とても行儀のいい食べ方だ。どこかのお嬢様かもしれないな。アル、失礼の無いようにな)」
「・・・・・・」
リアの動きが止まる。
「リア・・ちゃん?えっともしかして口に合わなかった。」
「お兄ちゃんは女の子の料理の自信をたたきつぶす人なんですね。正直驚きです。おいしかったですよ」
(よ、よかった。口にあったみたいだ。)
アルはリアが服を着ていないことに気が付いた。
「(いや、なんで今まで気づかないんだ)」
「ちょ!リアちゃんなんで服着ないの!?」
「え?兄妹で恥ずかしがる事ないでしょう。それに今更、あんな事をしていろいろ教えてくれたじゃないですか、お兄ちゃん♪」
アルは土下座をする。
リアは最後にサラダを口にして食事を終える。
「ごちそうさまでした。お兄ちゃん、移動しましょう。起きてください」
リアはなにも着ずにドアに向かう。
「リアちゃん!せめて服を着て!」
「・・・・・・そうですね。ではこんなのはどうでしょう」
リアが指を鳴らすと服が現れる。
白いふりふりのワンピースだ。
「(『創力』か。それもその年にしてはかなりの力だ。第7工程まではもう終了しているな)」
「それは・・・・・・『創力』だね」
「はい、私たち女にだけ使える始祖様の贈り物『創力』です。極めればいろんなものが作り出せる。例えば『このドアは絶対に開かない』なんていう絶対のルールでさえ作れる。それはそうと、この服はどうですか?お兄ちゃん」
「そんなの・・・」
可愛すぎて言葉が出ない。
アルの思考が10秒ほど止まってしまった。
「(君にはこんなにも出来のいい妹がいたのか。それでなぜ君には才能が無いのだろう)」
リアはアルが元に戻ったのを見計らってこう述べた。
「さあ行きましょうお兄ちゃん。プレシアン学院に」
プレシアン学院、『契約』についてや学業を修める学校であり各国にある同じような教育機関の中で特に優秀な功績を修めている。
それ故各国の名のある貴族様達も多く通っていて、優秀な平民には肩身の狭い所であると思われているがそんなことはない。
女子に関しては『創力』も同時に学んでいる。
そしてカイトが昔お世話になった女性が理事長を務めている。
「付きましたよお二人さん。プレシアン学院だ」
「ありがとうございます、運転手さん」
「あぁ、ありがとう」
途中に乗った馬車を降りて校門をくぐる。
桜の木でできた校門で、さらに言うと『創力』で作られた桜の木で出来た校門である。
(とうとう着いてしまった。ここに来る気はなかったのに。でもリアちゃんが何にも話してくれないから離れることも出来ないし、本当にいざという時は覚悟しておかないと。カイトさんいやでも行くよ)
「(仕方がないか。今のこの体の所有権は君だ。俺は静かに見守っているとしようか)」
少し歩くと噴水のある広場に出る。
この学園の生徒たちか多くいる。
「あら、おはようございます、キリヤ会長」
「おはようッス、キリヤさん」
「所でそちらの方は?」
「見ない人なんだな」
何人かの人たちが集まる。
「皆さん、紹介は後でしますからここを通して下さい」
リアのその一言で集団は散っていった。
(へえ、リアちゃんって会長さんなんだ。それにしてもみんな制服なのに、リアちゃんだけ違うのにいいのかな。可愛いからいいんだけどね。それにしてもみんな手袋してるな。俺もさっき渡されたけどしておいて正解だったかな)
「(この手袋には印を隠す意味と誰も差別は無いという意味があるからな。していないと逆に不快な思いを相手に与えてしまう)」
(へー。さすが物知り博士カイトさんだね)
「こっちですお兄ちゃん。行きましょう」
リアがアルの手を掴んで走り出す。
その手には妙に力が入っていた。
(どうしたんだろう?)
「おはようございます。先生」
「あら、おはよう。キリヤさん、そちらの方は?」
「お客様です。理事長さんはいらっしゃいますか?」
アルとリアは大きなドアの前にいる。
「(・・・・・・やはり会うのか)」
今アルは頭を抱えていた。
リアはなにも話さないし、昨日何をしたのか覚えていないしと相当参っていたからだ。
「鳥は帰ってきた。通して下さい」
「!!!、はいわかりました。どうぞ」
「(あいつまだそれを使ってるいるのか)」
理事長に何かとても大事なことを伝えるときに必ず使われる『鳥は帰ってきた』、それを言われたら例え教師でも反論できない。
理事長が昔、隊を率いていた時にも使われていた。
その時の位は総隊長である。
そして二人は部屋に入っていく。
そこにはちっちゃい女の子が座っていた。
「理事長さん、言われた通り連れてきました」
「リア・キリヤ。御苦労。もう下がっていいぞ」
ちっちゃい女の子はそう言って視線をアルに移した。
(なんかとても背中が寒いんだけどどうしてかな?)
「(後ろを見ろ。そのわけが分かるぞ)」
アルはそっと後ろを向いてしまった。
そう、向いたのではなく、向いてしまった。
リアが立っていた。
「どうした、リア・キリヤ。早く下がれ」
しかしそこから動こうとしないリア。
リアの目には光が無い。
しかも後ろからとても黒い何かが出ているようにも見える。
「理事長?もしも私のお兄ちゃんに手を出したらどうなるか分かってますね」
「り、リアちゃん!?」
「リア・キリヤ。500年前に出直してこい」
「(500年・・・)」
「・・・早く終わらせて下さいよ、理事長」
そう言ってリアは出て行った。
「初めまして、理事長先生」
アルは今理事長と向かい合わせに座っている。
(大丈夫、普通にしてればばれないハズ)
「アル・キリヤ、さっきのリアは本当にお前の妹だ。お前がいくら否定しようが血が繋がっていることを忘れるな。それと私の名は デリネ・ヘレン・デシルク。気軽にヘレンとでも呼んでくれ」
「(近親相姦、最低だなアル)」
アルの頭の中はもうパニックだ。
「(この女、ヘレンが言うのならば妹だということは間違えないだろう)」
ということはアルは実の妹に手を出したことになる、しかも覚えていないのだ。
(最低だ、俺ホントに最低だ)
「アル・キリヤ。お前を呼んだのは他でもない、ここで教師になってもらう。文句はいくらでも聞こう、拒否権は無しだ。」
「むちゃくちゃだね」
「(こいつは昔からこうだな。付き合わされる部下達がかわいそうだ)」
「まあそう言うな。これでも苦労したんだ。『創力』を使える男を見つけるのは。・・・・・・そうだろう、カイト」
「な!?・・・誰それ。」
アルはいきなり発せられた言葉に動揺を隠せていない。
「誰と聞くことはないだろう、カイト。500年前からの付き合いだ。私の可愛い妹を奪っておきながら。」
「・・・・・・・・・」
アルはヘレンの言葉を聞くと、すっと無表情になった。
「変わったな、カイト若くなったか?」
「お前は変わらな過ぎだ、ロリババア。『創力』で無理やり生きてるんだな」
突然アルの口調が変わる。
「(あ!強制的に入れ替わられた!)」
そして手にグラス二つとイスを作り出す。
これも『創力』だ。
ヘレンはテーブルに赤ワインを置き、蓋を開けグラスに注ぐ。
何故、女性しか使えないその力をカイトが使えるのか。
「義理姉さん(おねえさん)だろ、ロリコンカイト。それにしても懐かしい。本当にこの時代出会えるなんてな。それとその口調はやめろ。どうせ私と話すときはこうしろとあの子に『創力』を掛けられたんだろう」
「(ロリコンカイトだって。ハハハ)」
「今の俺は誰に対してもこれだ。それと、どういうつもりだ。ヘレン、お前はなんで俺なんか呼んだんだ」
「だから言っただろう、ここでお前に教師をしてもらう。もちろん教科は『創力』だ。」
「俺なんかより優秀なやつがいるだろう。」
「お前ほどの実力者をあの子以外私は知らない。最高の『創力』使い 災厄のカイト。」
カイトの昔の二つ名。
カイトは右手を掴んだ。
「その名はもう捨てた。ヘレン、君がどういう考えかは知らないが断る。」
「あの子がまだ生きてるとしたら?お前がこの仕事を引き受ければ助かるとしたら」
カイトは目を見開いた。
(嘘だ、そんなことあるはずがない。だってあのとき―――)
「あの時、私があの子の心臓を剣で突き立てたからな。私も死んだと思っていた。だが、見事にだまされたよ。・・・これ以上は言えない。もしも断るんだったらお前が今、あの子から受けている『創力』のルールを壊せ。お前なら出来るだろう。破法を1人で使えるのだから。その最後のつながりを壊せ」
破法、『創力』で作られたものを破壊できる唯一の力。本来『契約』をした二人が最後に極めることが出来る、絶対の力。今ではその存在を知っているのはヘレンや、実力者、お偉いさんだけで片手の指でことたりるくらいしかいない。
「本当なのか?・・・それよりもいいのか、俺はあいつをティヒアを守れなかった。約束を守れなかったのに、俺を恨んでるんじゃないのか。」
ヘレンはため息をする。
そして立ち上がりアルの頭を思い切りたたく。
「そんなこと分かっているだろう。私がお前を恨んでいるのは私の可愛い妹ティヒアを連れていったことだけだ。それ以外怒っていない。逆に感謝している位だ。あの子が笑う所を何度も見れたからな。ありがとう、カイト」
「・・・・・・分かった。俺に出来ることをさせてもらう」
(断れなかった。ヘレンが嘘をついていたとしても協力しようと思ってしまった。悪いなアル。勝手に決めて)
「(いいよ。カイトさんが我がまま言うのなんて珍しいしね)」
カイトとヘレンはワインを飲んだ。
「それはそうと、俺はいいが、この体のアルには『創力』の才能が無い」
「はぁ!?」
「有るのは、類稀なる戦(運)闘(動)ス(力)キ(と)ル(体力)だけだ。それを活かせる所でこき使ってくれ。俺に負担は無い」
「(ちょっと待ってよ。なんでそんな話になるの!断ってよ!)」
「ほうほう、それはいい。さっそく考えておこう。拒否権は無しだ」
「(理不尽だーーーーーー!)」
カイトさん>>>>>>>超えられない壁>>>アル
カイトさんは少し子供っぽいところがありますが基本大人です。
え?アル、露理魂です
この物語ははたしてどのようなエンドを迎えるのか。
それは作者も知らない。
それでは今回はこの辺で、また逢う日まで