360日 逆探知
「サイレンが鳴っている!来たんだわ!」
パトカーから降りる天使。そして、その天使の顔には怒りと悲しみが浮き出ているようだった。
「まず整理をしましょうか。」
「はい。まず私たちが最後に見たのは家の前。そこまでは証言できるわ。」
「そのあと、飛翔さんとはわたくしも家で話しています。しかし、すぐ眠りについてしまいましたわ。そして、朝起きたら飛翔さんが連れ去られたんです。」
「なるほど…それで警察に行ったというわけですか。」
「はい…」
「それで、現場に痕跡はあったの?」
「はい…この手紙です。」
“飛翔さんをお連れしました。私には必要だったからです。すみません、誘拐という形で攫ってしまって申し訳ありませんでした…
なんてね。飛翔は私の物。誰にも渡さない!大好きだからね!うふふ!”
「誰だよ!」
「こんな口調の人…知らんだろ?」
「とりあえず判明しているのは犯人は女の人で…飛翔に恋愛感情を強く持つ人。ちなみにつむぎさんは違いますよ。」
「どうして!?」
「つむぎさん…実はあの日ライブにいたのですよ。しかも、3階席。」
「そうだったんだ…」
「ほかに考えられるのは…そういえば飛翔は亀大に行ったんだよね?そこの可能性は…」
「ないですね。むしろ…あんな扱いされるなんて思わなかったです。」
「心中お察しします…」
「…一人いる。」
「沙恵さん?どうしてここに?」
「昔拉致した人を呼べたから。」
「どうも、葵です!」
「凛です。実は立てこもりのあと拉致したのは私たちです。もしかしたら…」
「それもないですわね。あの立てこもりのあとでしたらわたくしも避難してましたし。空襲警報なってたから仕方ないですよ。」
「それにさ…実は無理なんだよ。どうしてだと思う?」
「…どうして?」
「千明さん、昨日ライブにいたよ。」
「夢川奏さんのライブ…となると…かなり人を絞られますよね…」
「でも…まだ未解決なんです…とりあえず…また情報があり次第…お伝えします…」
その時、誰かの電話が鳴った。電話に出ると…飛翔の声がした。しかし…内容は大変なものだった…
「飛翔さん…今どこに…」
「わからない…目が覚めたらここにいた。今目を盗んで電話をしている…時間がないので手短に言うと…僕は誘拐され」
「…切られてしまいましたけど…誘拐で正解みたいです。」
「みなさん、ご心配くださいませ。」
「どうしよう…どうするんだ…」
「ひーくん…救ってあげたい…」
「誰か…救急車!呼んでよ!」
「落ち着いて。大丈夫。飛翔は戻ってくるから。いや、私たちで戻すから。次の電話が来たら逆探知で…その前に、飛翔のケータイにイマドコサーチは入ってる?」
「入ってませんわ。」
「それじゃあ私が逆探知を行うから。電話が来るまで…待ちね。」
「あ、その…」
「大丈夫、もう別の場所に移動するから。ありがとうね。」




