354日 これが結晶
「おはよう。どういう感じになりそう?」
「飛翔さん…学食部が喧嘩してます。」
厨房に向かうと散乱した食材と食器、真ん中で喧嘩をしている。
「おい…てめぇらええ加減にせえや…」
「なんでですか?私悪くないでしょ。」
「まぁ、みんな話そうじゃないか。アリアもそこまで怒らないで。」
喧嘩の理由と事情を聴いた。
「なるほど。京弥と秀太と麗子が僕を困らせようとほかの料理に嫌がらせをしたと…」
「はい…私は止めましたが…その時に吹き飛ばされて…」
「綾ちゃん…部長って大変でしょ。」
「そうですね…」
「僕の時は真音が部長だったんだけど…知ってる?あの吸血鬼。」
「真音さんって…有名な料理人じゃないですか!」
「そう。あの子はカリスマあるでしょ。でも、カリスマもそうだけど…状況を見極める能力もすごかったんだよ。」
「…私には足りませんね…」
「仲間がいるじゃない。僕たちの時の京子や雪、さくらとか…」
「…要は仲間を信じて…あとはカリスマ…」
「カリスマなんて考えないで。ちゃんと注意できるかどうかだから…それにしても…僕の事を知らなすぎだね。」
「それは…すみません…」
「いいの。今日は僕が作ってみるよ。」
そして飛翔は、無事な食材を用いて料理を作り上げた。
「…きゅうりのサラダ、冷製トマトスパゲッティ…どう?」
作った料理を食べた瞬間、学食部は涙を流した。
「どうしてここまで言われたのかわかった…」
「冷たいのに…美味しい…」
「…ここまで行ったか。飛翔の料理。」
「伝わったかな?想いって…」
「もしかして…美味しく食べてほしいって…」
「正解。一番大事なのは自分が美味しいと思うことじゃなくて、誰かに美味しいって言われたいと思う気持ち。いたずらしたり喧嘩したりしたら美味しくなくなるんだよ。」
「そうですね…」
「みんなで作るときなんてもっと気を使わないといけない。たった一つの怒鳴り声だけで美味しい料理が美味しくなくなる。それが分かったなら、今日の学習を基にして明日作ってみようか。」
と言っていたが、夕方には定食の案と試作品ができた。
「どれどれ…優しい秋風弁当と…キノコソースのハンバーグ…ほう…」
「これわたくしも頂きますね。」
「…美味しい。うん、美味しい。」
「…そうですわね。美味しいですわ。おとといの肉じゃがが不味く感じるのも理解できるぐらいに美味しいです。」
「こうやって気持ちが入ると美味しいんだよ…もちろんそのままでも美味しいけどね。」
「明日からも期待できますわね。」
「すみません…問題が一つ…」
「はい、何でしょうか…」
「教えるの…明日までになりそうです…」
「まぁ、いいや。」
「いやいや…これでいいのでしょうか!?」
「いいんだよ。もう。綾とさやかが理解できた。それだけでいい。」




