299日 ガレット
「おはよう…」
「飛翔さん、おはようございます。わたくしも仕込みがあるので…と言っても誰も泊まってませんけど。」
「それじゃあ朝ごはんですね。」
「そうですわ。今日はガレットです。」
「そば粉のクレープだよね?どれどれ…」
「初めてなので美味しくないと思いますが…」
「滅茶苦茶美味しいよ。」
「ありがとうございますわ…!」
「それにしても…今日から早くなるかもしれ…」
「…はい、何でしょう?」
「ここに神崎飛翔さんっていますよね?」
「はい、そこでガレット食べ終わって身支度しておりますが…」
「…そこにいたぞ!拉致しよう!」
「…ふふ。わたくしも知ってますのよ。」
こうして7時15分、いつの間にか厨房にいた。
「さぁ、今日はトーストとスクランブルエッグよ。」
「もう分担についたから早めに作っちゃおう!」
「とりあえず25食で…」
「いや、47食よ。昨日のデータからそれぐらいかと思ったのよ。」
結果すべて売り切った。しかもきちんとロスが0だ。
「データ分析は私がやるからいいの。まぁ、そこに貼ってあるけど。」
「ありがたい!」
「昼はいったん20人前ぐらいかな?ただカレーはいくらあってもいいわ。」
「ところで…今日はサバの味噌煮よね?」
「そうだよ。で、麺類はたぬきと醤油。」
「…なるほど…丼もの入れとく?」
「どうしてですか?」
「…昨日も丼もの頼む人がいて…その人にはチャーハン出したんだけどさ、今日は丼もの多い気がするの。昨日より多くね。」
「…それなら唐揚げ作ってきます!」
「飛翔、ありがとう。それじゃあ私たちは調理しましょうか。サークルの子が来たら…雪に頼むわ。」
「はい!」
こうして昼営業へ向かった。今日は昨日以上にスムーズに進んだ。反省もなく雑談して帰った。そして、気が付けば今週も終わるところだった。
「今週もお疲れ様。発注した材料は毎日機械が冷蔵庫に運んでいるわ。」
「そうだったのですか!?」
「…実は私が案を出したんです。楽になるかと思って…」
「さくら…革新をありがとうね。」
「実はもう一つ革新があってね…サークルに新入生が来たようだよ。」
「そうなの!?」
「教育は向こうに任せちゃうけど…この後来るからね。」
「本当は今来るところだったんだけど…講義の都合で4時だって。ずっとここにいるしかないわね。」
「あ、ひなたさんとか沙織さんをここに…」
「あの子たちは普通に就職したわ。ここには残業はあれど9時~17時までが基本なの。だから普通に就職したらここを手伝えないってこと。残念だけど。」
「そうか…でも、サークルに人が増えたのは良いね。」
「そうだ、来週の献立をどうしましょうか…」
「私と真音が決めておくから大丈夫だよ。決まったらみんなに報告するね。」
「すみませーん!」